2010年8月16日月曜日

米国史上最大規模の原油流出事故を巡る連邦規制・監督機関やEU関係機関等の対応(第6回)

6月29日付けの本ブログで、本年4月20日に発生した歴史的海洋汚事故である米国メキシコ湾「ディープウォーター・ホライズン(Deepwater Horizon)」 の半潜水型海洋掘削装置(rig)爆発事故とその後の「MC252鉱区」の大規模な原油流失について連邦監督機関の対応を中心にとりあげた。

 その際、連邦商務省・海洋大気保全庁(National Ocean and Atmospheric Administaration: NOAA)の取組状況や連邦内務省(DOI)による鉱物資源管理局(Minerals Management Service:MMS)」の機能の抜本的機構改革とトップ人事について説明した。

 一方、わが国のメディアでも報じられたとおり、オバマ大統領は8月4日、NOAAが発表した政府および独立系専門家の25人の科学者の報告「ディープウォーター・ホライズンの結末:原油流失事故で結果的に原油に何が起きているか( BP Deepwater Horizon Oil Budget: What Happened To the Oil?)」を引用し、NOAAやDOIが8月4日付けで発表した流失原油の74%が回収または自然分解・蒸発により海中に残った原油は26%と推定する調査結果を述べた。
 また、泥等を油井に注入するMC252鉱区Macondo 海底油田におけるBP社の封鎖作業につき「完全封鎖(static kill)」工法(static kill技法とは海上から泥を詰め、その後セメントで固める。目標は全ての 原油を海底数マイル下の溜め池(reservoir)に戻し、油井を完全封鎖するというもの)(筆者注1)につき8時間にわたり行われた同作業は望ましい結果が得られたと述べた。(筆者注2)

 これと時期を合わせ8月2日、連邦保健福祉省・食品医薬品局(FDA)は漁業が認められる海域の海産物につきフロリダ州ミシシッピー州の「安全宣言」(筆者注3)を行った。

 ここまでであれば、今回のブログをあえて書く意味は極めて薄い。筆者は「安全宣言」に関しNOAA等の資料を改めてこれまでの経緯を含め整理し、同時にNOAA・DOIがまとめた科学者報告の内容につき原資料の内容を検証してみた。

 専門外の筆者にとってこのような作業に意味はごく限られた科学的意味しかないことは十分承知しているが、内外のメディアが正確に分析していない2009年12月に欧州委員会が行った米国からの貝類(molluscan shellfish)および一定の水性無脊椎動物(marine invertebrates)等の本年7月1日以降の全面的輸入禁止措置決定や、米国の食品の安全性問題の専門家の意見についても正確に反映しなければ「真実」は永久に見えてこないし、消費者の健康は誰も保証できないと考えあえて本ブログをまとめた(オバマ大統領がミシシッピーを訪問した際、現地でシーフードを食したというAP通信やBP社の幹部がメキシコ湾産の魚介類を家族にサービスするというコメントを鵜呑みしてはいけない)。

 また、これらの作業を通じて筆者は連邦機関と州機関によるメキシコ湾沿岸の商業漁業の再開に向けた連携の内容と、そこから見える今回の安全宣言は決して十分な科学的根拠に基づく手法といえるのか、BP社の被用者が本当の被害の訴えを出来るのか、さらにわが国の海底開発や食品安全関係者による専門的検討やその公開が重要であるという確信が得られた。
 その意味で本文で紹介する全米科学アカデミー医学研究所(Institute of Medicine of the National Academies)が7月22日、23日に主催した研究会「メキシコ湾原油流失による人の健康被害に関する科学的評価」の各アジェンダは網羅的かつ専門的であり、その内容は極めて興味がある。

 さらに補足すると「スペイン・ガリシア海岸沖のタンカー流失原油清浄作業者の長引く呼吸器系疾患(Prolonged Respiratory Symptoms in Clean-up Workers of the Prestige Oil Spill)」は2002年11月19日、スペインのガリシア海岸沖で発生した老朽タンカー「プレステージ号」の海洋汚染事故によるスペインやフランス等近隣国の清浄作業員や地元住民の健康や自然環境への影響の分析は数少ない研究成果として貴重なものであるが、米国行政・研究機関がどれほど重要視しているかは定かではない。


1.NOAA・DOIが発表した「ディープウォーター・ホライズンの結末:原油流失
事故で結果的に原油に何が起きているか( BP Deepwater Horizon Oil Budget: What Happened To the Oil?)」の内容と意義
(1)本報告(全5頁)の要旨
 ここで報告書の内容についてあえて詳しく紹介する意義を述べて置く。
 本報告のポイントは2点であり、4月20日のrig爆発から流失の封じ込めが成功したとされる7月15日の間の原油流質量は490万バレル(約78万キロリットル)と推計したこと、油膜など流失原油の海中に残っているのはそのうち約26%であるというものである。
 わが国のメディアも報じているとおり、74%の内訳はBP社等による直接回収(17%)、海上での燃焼処理(5%)、手作業等によるすくいとり(3%)、処理剤による分散(8%)である。
 また、バクテリアによる自然分解や気化で41%が消失したという内容である。
 関係機関による今後のモニタリングや調査活動の重要性は継続するとともに連邦機関専属科学者によるメキシコ湾の生態系への重大な懸念は依然残されているという表現も残している。
 筆者は報告書から次のような米国の大規模災害時の全米非常時指令官(National Incident Command:NIC)(筆者注4)を中心とする関係機関による具体的な活動内容に注目した。長くなるが、メディア報告以上にダイナミックに理解するため、以下のとおり仮訳する(専門外の訳文作業なので誤訳等があればコメントいただきたい)。

 「全米非常時指令官(National Incident Command:NIC)は、BP 社のデープウォーター・ホライズンの原油が油井から流失した際、原油とその最終結果を見積るために多くの省庁の専門家による科学者チームを組成した。 これらのチームのメンバーとなる連邦機関専属科学者の専門的技術は、流失量の推定計算と流失結末を見直す民間および政府の専門家によって補完された。
 第一のチームは、原油の流速と総流失量を推定計算した。 連邦エネルギー長官スティーブン・チュウ(Steven Chu)と連邦地質調査局(USGS)局長のマーシャ・マクナット(Marcia McNutt)によって指揮されたこのチームは、2010年8月2日に合計490万バレルの石油がBP Deepwater Horizon掘削パイプから流失したと見積もったと発表した。
 2番目の省庁チームは、連邦商務省・海洋大気保全庁(NOAA)と連邦内務省(DOI)によってリードされ、最終的に何が流出原油に起こったかを確定するために「流失原油の最終結末(Oil Budget Calculator)」と呼ばれる推計計算ツールを開発した。同ツールにより何が流失原油に起っているかを決定するとともに490万バレルの流失量の見積りを行った。 以下の関係省庁共同科学報告書は、同計算結果に基づき、これまでの原油の状況をまとめたものである。

 結論を要約すると、油源から流失されて、海上燃焼処理 (burning)、海面でのすくいとり(skimming)、および原油の直接回収により源由井からの流失源油の四分の一(25%)を取り除いたと見積もられた。 総油の四分の一(25%)が、自然に気化(evaporated)したか、または溶けた(dissolved)。そして、自然または清浄部隊の作業の結果、ちょうど四分の一(24%)未満は顕微鏡大の小滴としてメキシコ湾の水域に分散した。 残りの量とちょうど四分の一(26%)以上は 海面の上または海面のすぐ下で軽い輝く物(light sheen)として残り、乾燥タールの塊(weathered tar balls)となったり、岸に漂着するか、岸で集められるか砂と沈殿物の中に埋れた。 残余物や分散化カテゴリーに含まれる原油は分解された。 以下でのレポートは、それぞれのこれらのカテゴリーとその計算根拠について説明する。 これらの推定見積りは、追加情報が利用可能になるかぎり精査され続ける。

[分析結果の補足説明]
 非常時指令官(National Incident Command:NIC)を中心とした緊急時対応: 原油流失に対処するための関係機関の努力は極めて積極的であった。 円グラフ(図1)に示されているように、人為的対処の努力は流出原油の33%を回収することに成功した。 これには油井パイプ挿入チューブとトップ・ハット・システム(17%)による回収、燃焼(5%)、すくいとり(skimming)および化学的分散(8%)が含まれる。 直接採取、燃焼、およびすくいとり水から油を完全に取り除くが、以下で議論するようにそれが生物的に分解されるまで、化学的に分散している油は水中に残っている。

 化学処理剤による分散: 見積りに基づくと、自然に原油の16%は海洋の鉛直構造の水柱(water column)の中で自然分散し、また8%は海面の上および海面の下の化学分散剤の散布で分散された。 自然分散は高速でライザー管から油がわずかな小滴状態で水中にスプレーされた結果で起きた。 そのこの分析の目的のために、‘分散された原油'は人間の髪の直径に相当する100ミクロン未満の小滴と定義された。 ごく小さいこれら油滴は、自然に浮揚性があって、その結果、次にそれらが生物分解し始めるところで水柱に残っている。 化学的分散では、またそれが大きい表面油膜が浜に上がるのを妨げるためにわずかな小滴に油を壊れさせるため、それは生物分解のために容易により利用可能になる。 化学分散剤は海面およびその下で適用された。 したがって、化学的に分散された原油は水柱における深部みと表面のすぐ下では作業は終わった。 分散剤は減油が水柱と表面で生物分解される可能性を広げる。分散剤は少量な量でさえ、それが生物分解されるまで自然的または化学的に分散された油は弱い生物には毒性がある。

 蒸発(Evaporation)と分解(dissolution): 流失原油総量の25%がすぐに自然気化したか、または水柱に溶けたと見積もられている。 蒸発と分解割合の推定は、ディープウォーター・ホライズン事故の間に行われた科学的研究と観測データに基づいている。

 「溶解」は「分散」と異なる。「溶解」は油からの個別炭化水素分子(Hydrocarbon Molecules)がちょうど水で砂糖を溶かすことができるように水の中に分離して溶ける過程である。一方、「分散」は油のより大量が油のよりわずかな小滴へ砕ける過程である。

 残余部分の問題: 直接測定するか、または見積もることができるカテゴリー(すなわち、直接回収、分散、蒸発、および分解)を計算した後におよそ26%が残る。 [図1]はそれのすべてが測定するかまたは見積もることが難しいカテゴリの組み合わせである。 それはいくつか海面上、または海面下でまだ軽い輝き物またはタールの塊の形のもの、岸に漂着したりまたは岸で集められた原油、さらに砂と沈殿物の中に埋められ時代を通して再浮上されるかもしれないいくつかの原油を含んでいる。 また、この原油は自然回復過程の中で分解し始めた。

 生物分解(微生物分解): 水柱における分散油と水面の油は自然に生物分解する。 湾の中の生物分解のレートを定量化するために行われるより多くの分析がある一方で、多くの科学者からの早期の観察と予備研究の結果は、BP Deepwater Horizon流出からの原油がすぐに生物分解しているのを示している。 NOAA、EPA、DOE、および科学アカデミーの科学者は、この分解率のより正確な推計について計算するために働いている。 原油の溶解や分散については表面油を破壊するバクテリアが機能することはよく知られており、メキシコ湾は大部分が温水、好ましい栄養物および酸素レベルが豊富であることから自然を通して定期的にメキシコ湾に流入する原油の掃除機能があるという事実になじむ。

[分析方法と推定に関する説明]
 流速(flow rate): 原油の結末推計計算(Oil Budget Calculator)は流出の過程の上で放出された油の総量の推計からは始めた。 最も新しい推計は米国地質調査所の(USGS)ディレクターのマーシャ・マクナットが率いるNICの”Flow Rate Technical Group:FRTG”、およびでエネルギー省長官スティーブン・チュウによって導かれたエネルギー省(DOE)のチームとによる科学者と技術者による議論と共同作業を反映したものである。 このグループは、約490万バレルの原油が2010年4月22日から原油流失が一時中断した7月15日の間にBP Deepwater Horizon現場から流失したと見積もった。この見積りの不確実性は10%+である。 図1の円グラフはこのグループの490万バレルの原油流失量の見積りに基づいている。

 直接的流失測定と最高の推定: 原油の結末計算はどこでも可能な方法でありまた計測が不可能なときは科学的に可能な推定に基づいている。 直接回収量や燃焼量は、毎日の調査作業上の報告で直接測定され報告されたものである。 毎日のすくい取りの量もまた報告に基づき推計下ものである。残りの数値は過去の科学的分析や入手可能な情報ならびに広い科学的専門知識に基づいている。 これらの数値は、追加情報と継続的な解析に基づいて精製され続けるであろう。 これらの計算方法の詳細については、2010年8月1日から”Deepwater Horizon Incident Budget Tool Report”の中で2010年8月1日からオンラインで利用可能である。同 ツールは国土安全保障省合衆国沿岸警備隊、NOAA、およびNISTとの共同作業に基づき連邦地質調査局によって作成された。

[今後の継続的モニタリングと調査]
 原油、分散剤、生態系の影響および人間への影響に関する我々の知識は発展し続けるであろう。連邦機関と多くのアカデミックで独立した科学者が活発に原油の最終的運命のより良い理解や搬送および影響について追求している。 連邦政府は定期的に活動、結果およびデータを広く国民に報告し続ける。 www.restorethegulf.gov で最新内容の情報を見つけることができる。また、www.geoplatform.gov では対処とモニタリングに関するデータを見ることができる。

 DOI、NASA(航空宇宙局)およびNOAAは、ガルフ湾の表面で油のままで残る量の理解を精緻化し続けている。 NOAAの対応チームはタールの塊や水面下の原油の監視戦略につきの統一指揮官(Unified Command)と共に働いている。研究者はそこで原油の集中、分配、および影響等をモニターするために水面下のスキャンと標本抽出を続けている。 EPAとNOAAは、慎重に湾における分散剤のBP社の使用所状況をモニターして分散剤と原油成分の存在のために特別な注意を払い、空気、水および沈殿物をモニターし海岸線の近くで人々の健康影響への特別な注意を行っている。 多数のNOAA、全米科学財団(NSF)によって資金を供給された学術研究者、およびNOAA専属科学者は生物的分解、生態系(ecosystem)および野生生物への影響の割合を調査している。 DOIとDOEの対応チームは、環境に自然に残る油の正確な測定方法のコントロールすることを保証できる適切な方法に開発について働いている。 DOIは原油の地域的な野生動物、天然資源や公有地における影響を最小限化するためのリーダー的役割を担っている。

 BP社の油井流失個所のキャピング作業により海岸線、魚、生態系への脅威は減少しているにもにもかかわらず、連邦機関専属科学者によるメキシコ湾の生態系への重大な懸念は依然残されている。その意味で引き続きのこれらの問題に関する完全な理解を得るためのモニタリングと調査が重要である。」

 なお、NOAAの具体的BP社の原油流失事故へのresponseについては6月29日の本ブログで詳しく紹介したので参照されたい。

(2)同報告の批判的考察
 連邦機関(NOAAやNIST(筆者注5))に所属する科学者を中心にまとめたものであり、一方、日常的に陸海空にわたる多面的な日々の調査活動から得られた結果をもとに書かれたものであることから科学的根拠に基づくものであることは間違いない。
 しかし、かえってその結論部分には説得力が乏しいように思える。すなわち微生物による自然分解や気化により41%が消失したと言うくだりになると全体の推計計算の信頼性に疑問がわいてくる。

①現地での正確な情報を巡るメディアの視点と読者の参加
 メキシコ湾およびその周辺湾岸、河川等における原油の流失状況を定点観測しているメディアも多い。例えば、CNNの“Gulf Coast beaches update”や読者の投稿専用サイトである“iReport”を斜め読みしてみた。一般向にまとめられており、素人にも分かりやすい内容や図解があり、そこでの紹介される写真やレポート・ビデオの各閲覧数は数千とかなり多い。

そこで見られる特徴を掻い摘んで紹介する。
“Depths of the disaster” :日々の原油流失量(総量490万バレル)の推移やメキシコ湾地域の3年以上にわたる潜在的経済的損失227億ドル、BP社の文書苦情受付件数85,923件などキーとなる数値が読みとれる。
“Map: Impact of the oil disaster”:湾岸9箇所の拠点からの漁業禁止海域や撤去作業の画像報告等が見れる。

②後述するメルビン・クレーマー博士の問題指摘やIOMが開催した7月の研究会等でも指摘されているとおり、2002年11月19日、スペインのガリシア海岸沖で発生した老朽タンカー「プレステージ号」の海洋汚染事故の影響はスペインやフランス等近隣国の清浄作業員や地元住民の健康や自然環境への影響の分析は数少ない研究成果として貴重なものであるにもかかわらず、そのフォロー研究は決して十分ではない。

③米国の地球温暖化や核エネルギー、クリーン・エネルギー施策等を提言している先進的科学者グループ(NPO)で、最近筆者も参加した「米国憂慮する学者連盟(Union of Concerned Scientists:UCS)」(筆者注6)によるエネルギー政策提言
 5月5日付でUCSは「原油流失対策は表面的油井のセメント固定という取組だけではなく米国の石油依存体質を見直す石油節減政策でなくてはならない」と論じている。環境問題の根本的な解決なくして今回のような原油深海掘削施設の爆発事故や老朽タンカーの海難による原油汚染は後を絶たないといえよう。

2.連邦保健福祉省・疾病対策センター(CDC)等の対応
 今回まで特に取り上げてこなかったが、メキシコ湾の周辺州民や清浄作業員の健康に関し、極めて重要な役割機能を担っているCDCや分散剤等毒物被曝への取組みはどのような内容であろうか。
 CDCは“2010 Gulf of Mexico Oil Spill”という専用ウェブサイトを設置している。8月4日付けの最新リリースでは次のような内容の業務に取組んでいる。
「ガルフ・コーストの各州に配置された11名を含むCDCと「毒性物質・疾病登録管理局(Agency for Toxic Substances and Disease Registry: ASTDR)の計 328名のスタッフが対応している。その主な業務は次のとおりである。
[健康への影響の監視体制]
①沿岸5州の原油流失に基づく健康脅威に関する監視体制
CDCは2つの確立された国民の健康に関する国家的監視システム「全米毒物データ監視システム(National Poisoning Data System)」および体的な疾病が診断される前に疾病発生の兆候パターンを検知するウェブベースの電子疾病兆候監視情報システム“BioSense”システム(筆者注7)を使用している。これらの監視システムは喘息(asthma)、cough(咳き)、胸に痛み(chest pain)、目の炎症・痛み(eye irritation)、吐き気(nausea)、頭痛(headache)の悪化を含む目、皮膚、呼吸、心臓血管、胃腸神経系システムの兆候の追跡に使用する。これに関し5州とCDCは定期的にデータと概要を交換している(州の調査結果はCDCウェブサイトで公開される)
これら監視システムがこれらの兆候と合致するグループにつき州や地域の国民健康管理職員はそのフォロ-アップのため兆候と原油流失の相関関係につき調査することになる。
これらの監視システムは異なる方法ではあるがいずれも原油の接触する可能性の高い人々やグループへの健康への影響への兆候を保健当局に提供するよう設計されている。また、CDCの国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health:NIOSH)は産業界、労働安全衛生局や沿岸警備隊その他連邦や州の機関と情報を緊密に共有している。

②ディープウォーター・ホライズン対応作業員の「BP作業に係る病気・怪我に関するNIOSH 報告」を設置している。
NIOSHはまた必要に応じ、原油流失に関する病気や怪我に関し記録の作成や接触するためのメカニズムへの労働者の任意調査への参加も働きかけている。この結果現在までに4万9千人以上の対処作業者(BPの教育を受けた作業員、ボランティア、臨時船舶運行者、連邦機関の作業者等)が回復している。

[データ解析作業]
CDCの環境健康保護チームは、連邦環境保護庁(EPA)と協力してメキシコ湾から送られてくるデータを検証し続けている。原油、原油の構成物や分散剤が長期短期的に健康被害を引き起こすかどうかを決定するためにデータの標本抽出の検査している。これらのデータには空気、水、土や沈殿物、および実際に海岸や沼地に行き着いた廃油の見本等が含まれる。」

3. 連邦保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のフロリダ州ミシシッピー州の「安全宣言」に至る経緯と検討課題
(1)FDAの商業漁業海域規制に関する安全性監督面の法的根拠
 FDAは「食品・薬品および化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act :FD&C Act) 」に基づき、すべての魚類や水産製品につき化学物質や生物学的に見た危険がないことにつき監督責任を持つ。
この目的の実行のため、各州は海産物の収穫海域の閉鎖や再開煮を行う法的権限を持つ一方でFOAAは連邦の監督海域の開閉の権限を持つ。このためFOAA、FDA、EPAお呼び沿岸諸州はメキシコ湾産の海産物の安全性監督のため包括的、協調的複数機関の共同手順を定め一元的な運用を保証している。

[海への原油流出により消費に不適合となるのはどのような場合か]
①発がん性がある多環式芳香属炭化水素(PAHs)の存在が確認された場合である。
②石油臭いが確認された場合である。海の汚れ(taint)といわれており、規制法の下で不純物混入とみなされ食品として販売することは認められない。

[分散剤により海産物が消費不適合となる場合とはどのような場合か]
現在の科学レベルにおいてデープウォーター・ホライズン対応のために使用されている分散剤は海産物における食品の生物濃縮(bioaccumulate)の可能性は低く、また人間にとって毒性は低い。それにもかかわらず用心のため政府は分散剤のモニタリングと被曝したかも知れない海産物の検査を続ける。
分散剤の汚れは有害ではないかも知れないが薬品臭(chemical smell)をもつ海産物の法定基準に不適合とされ、その販売は許可されない。

[標本抽出、検査および閉鎖穫海域の再開に関する共通手順]
1.実際にはまったく原油に汚染された漁業海域の再開手順
2.実際原油に汚染された海域の再開手順
 この試験は魚、エビ、カニおよび二枚貝(牡蠣、イガイ等)に対し行われる。
臭覚試験の評価基準:サンプルは試験される海産物の種の食べられる量により決められる。最低10人の臭覚専門家からなる委員が「生」および「煮た」両サンプルを評価する。再開決定のためには老練な専門家の70%が各サンプルから石油や分散剤の臭いを検出しないことである。

(2)全関係州が安全宣言してはいない
 FDAサイトで見る限り、7月末に再開宣言したのはフロリダ州、ルイジアナ州およびミシシピー州の3州である。

 8月2日のAP通信の記事や7月末にNOAA、FDAが関係州の「漁業・野生動物保護委員会」あて報告しているとおり、その安全宣言の元になる検査は「臭さ検査(smell test)」である。

 なお、8月7日時点のFDAサイトではいつ撮影した写真かは不明であるがFDAのハンブルグ局長がニューオリンズのオクラ料理店(gumbo)でうまそうにシーフード料理を食している写真が載せられている。この写真はあくまで「FDA's Role In Ensuring Seafood Safety」の項目の横に掲載されており、今回の安全宣言とは無関係といえばそれまでであるが、紛らわしい写真である。

4.全米科学アカデミー医学研究所(Institute of Medicine of the National Academies:IOM)が7月22日、23日にルイジアナ州ニューオリンズで開催した研究会「メキシコ湾原油流失による人の健康被害に関する科学的評価(Assessing the Human Health Effects of the Gulf of Mexico Oil Spill:An Institute of Medicine Workshop)」の意義とその内容
 “Bloomberg Businessweek”によると連邦保健福祉省のシベリウス長官のたっての要請にもとづき開催された研究会である。連邦機関による一方的な情報開示だけでなく、歴史上類を見ない大事故に対し米国の科学者の良識を具体的に体験できる良いサイトであるし、科学者が広く国民に扇情的ではなく、あくまで科学的研究結果に基づき正確に説明する姿勢はわが国の研究機関もこのレベルまで進んで欲しいと考え、やや詳しく紹介する。
特に、2日間の全発表のプレゼンテーション資料や速記録も読めて専門外の筆者にとっても大変参考になるウェブ・サイトである。
 そこで網羅的ではあるが、現在および将来の取組み課題を整理する意味で”Agenda”をあげておく。なお、速記録を読みやすくするため1日目と2日目に分け、各agendaにつき該当頁を付記した。

第1日目(7月22日)
SESSION I: AT-RISK POPULATIONS AND ROUTES OF EXPOSURE
・Panel Discussion:「実績の調査( Taking Stock)」:「誰がどのように各種リスクに曝されているのか?( Who Is At risk and How Are They Exposed?)」(64頁~)
・「被曝ルートや被曝する人々(Routes of Exposure and At-Risk Populations)」(66頁~)
・「汚染地域の住民(Residents of Affected Regions: General and Special Populations)」(75頁~)
・「清掃担当者やボランティアの職業面からのリスクと健康への危険(Occupational Risks and Health Hazards:Workers and Volunteers)」(82頁~)

SESSION II: SHORT- AND LONG-TERM EFECTS ON HUMAN HEALTH –
Panel Discussion: The Here and Now: What are the Short-term Effects on Human Health?(109頁~)

・「短期的な身体への影響(Short-term Physical Effects)」(111頁~)
・「短期的な身体ストレス(Short-term Psychological Stress)」(119頁~)
・「暑さによるストレスと疲労(Heat Street and Fatigue)」(126頁~)  

Panel Discussion. 「身体への遅れてかつ長期に健康に影響することにつき正確に理解することの必要性(The Need to Know: What are the Potential Delayed and Long-term Effects on Human Health?)」(146頁~)
・「神経性疾患のガンとその他慢性的な症状(Neurological Cancer and other Chronic Conditions)」(147頁~)
・「子供の健康への影響と脆弱性(Impact on Health and Vulnerabilities of Children)」(154頁~)
・「妊婦や子供への影響(Human Reproduction)」(164頁~)
・Stress(176頁~)
・「従来の原油流失事故で学んだこと(Lessons Learned from Previous Oil Spills)」(180頁~)

SESSION III: STRATEGIES FOR COMMUNICATING RISK
・「国民を引き込む一方で健康の保護(Engaging the Public, Protecting Health)」(205頁~)
・「本研究会参加者との対話(Dialogue with Workshop Participants)」(223頁~)

第2日目(7月23日)
SESSION IV. OVERVIEW OF HEALTH MONITORING ACTIVITIES
Panel Discussion. 「各州政府はどのようにメキシコ湾原油流出に人間への影響についてもモニタリング活動を行っているのか(How are State Governments Currently Monitoring the Effects of the Gulf of Mexico Oil Spill on Human Health?)(10頁~)

SESSION V. RESEARCH METHODOLOGIES AND DATA SOURCES
Panel Discussion.「批判的考察 Critical Thinking」: 「どのような調査手法やデータ資源は監視やモニタリング活動に利用できうるか(What Research Methodologies and Data Sources Could Be Used in Surveillance and Monitoring Activities? )」(65頁~)
・Overview of Research Methodologies and Data Collection(68頁~)
・ Surveillance and Monitoring(73頁~)
・Environmental Assessment, Risk and Health(81頁~)
・Mental Health(87頁~)
・「生物医学的情報科学(Biomedical Informatics & Registries)(95頁~)

SESSION VI. FUTURE DIRECTIONS AND RESOURCE NEEDS
Panel Discussion. 「今後の対策:どのようにして我々は効率的監視およびモニタリング・システムを開発するか(Looking Ahead: How Do We Develop Effective Surveillance and Monitoring Systems? )(128頁~)

3.欧州委員会の輸入品目規制のうち「第三国リスト」の意味と改正内容
 EUの食品の安全性に関する規制は米国に比べ厳しいことはいうまでもない。
 EUの輸入品目規制 II.農産品輸出入ライセンス制度、動物の獣医学的検査、食品衛生については今回のメキシコ湾の原油流失事故と大きく係わってくる(筆者注8)
 欧州委員会決定(2009/951/EU)は2009年12月時点では米国におけるEUに輸出予定の二枚貝に関し適所な管理システムの評価につき生きた二枚貝については認識していたが、メキシコ湾を除き人体への重大なリスクについては具体的に表明していなかった。そのためメキシコ湾以外については2010年7月1日までの6か月間の相互検査体制の同等性を条件に輸入を認める「暫定決定」を行っていたのである。

「筆者注8」で説明したとおり、7月1日以降、結果的にEUの二枚貝や棘皮動物、被嚢亜門動物、海洋性腹足類の輸入が承認される第三国リストから米国は外されたことになり、米国のメキシコ湾だけでなく輸出漁業全般への影響極めて大きいと考える。

5.EHAコンサルテング・グループによる米国食品安全性試験の信頼性への懸念
 環境問題や公衆衛生問題の専門家からなる同グループの研究者であるメルビン・クレイマー博士(Dr.Melvin Kramer)は7月19日、FDA等の海産物採取の安全宣言につき懸念材料がなお多い点を指摘している。
その内容を概略紹介する。
・EHAコンサルテング・グループはメキシコ湾海域における魚類、甲殻類(エビ、カニ)、二枚貝(牡蠣)の調査を独自に行い重要な食品安全面の懸念を見出した。
・原油に含まれる炭化水素は分析が容易ですべてのタイプの化学母体(matrixes)が含有されていることは間違いない。炭化水素は発癌性があるとされる「多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbons)」のレベルにつきまず検査される。炭化水素は食品における石油の臭いをチェックするため化学分析と官能分析(organoleptic analysis)を行う。米国の「食品・薬品および化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act :FD&C Act) 」では分析結果がポジティブの場合は製品は不純物が入っており商業ベースにのせることを禁じている。
定量分析の値が低いが検出可能な臭いがある場合も商業ベースにのせることは出来ない。
・残る問題は、検査生物種の数、サンプル数、湾内のどの領域が検査され、どのくらいの頻度で検査されたか、油や分散剤等の不純物が混じっていないかなどである。

・FDAが6月29日に安全宣言として発表した内容は、化学分析より官能分析や臭い分析に基づくものである。
EHAとしては、次の2つの疑問点を投げかける。
①人間が消費する製品につき統計的かつ環境面からの試験の取組が行われているか。
②動物モデルがこれらの化学物質検査の安全性レベルの敷居値(threshold level)を保証しているか。
FDA、CDC、NOAA、EPAはいずれもこの質問に答えていない。
 さらに、メディア報告によると多くの牡蠣の採取業者が床(beds)で死んでいる牡蠣を見つけており、食品の安全面でこれらの情報は無視しえない。
 
6.2002年11月19日、スペインのガリシア海岸沖で発生した老朽タンカー「プレステージ号」の海洋汚染事故の影響
 詳細は略すが、欧州環境保護局(European Environment Agency)の「欧州環境情報および監視ネットワーク(European Environment Information and Observation Network:Eionet)」(土地利用と空間情報に基づくサイト)の解説によると、2002年11月19日、イベリア半島北西のスペイン・ガリシア海岸の数マイル沖で老朽タンカー「プレステージ号(Prestige)」(原油約77,000トンを運搬中)が2つに破壊した大惨事について詳細に解説している。
Eionetの情報解説の最終更新は2007年3月12日版であるため、その後の詳しい情報は機会をあらためて調べてみたいが、同時点でも船体中になお5万トンが残っており、毎日約120トンが流失し続けている。解説によると約20,000トンが海中に流失したが高レベルの硫黄化合物(いったん遊離するときわめて有毒性)であり、きわめて溶解性が低く、さらにクロームやニッケル等二枚貝に蓄積するという長期的な問題を示している。
 また、公衆衛生・医学分野の調査としては例えば「プレステージ号」の海洋汚染事故に基づき清浄作業者の健康被害につき独自に調査したレポート:America Journal of Respiratory and Critical Care medicineの2007年6月7日号で「スペイン・ガリシア海岸沖のタンカー流失原油清浄作業者の長引く呼吸器系疾患(Prolonged Respiratory Symptoms in Clean-up Workers of the Prestige Oil Spill)」がある。海岸線の清浄作業に携わった6,869人の漁業従業者が調査対象であるが、あきらかに長期的な呼吸器系疾患があると指摘している。

(筆者注1) 7月15日に油井にキャップを取り付け、ラムを閉めて原油流出を止めた以降、噴出につながる漏れがないか確認するため油井の圧力や周辺の海底を調査しているが、漏れは見つかっていない。作業は2段階で行われる。まず8月3日から、キャップの下部から泥を流し込んで油井を封じる「Static Kill」(静的封じ込め)と呼ばれる作業を実施する。
1ガロン当たり30ポンドの泥を低速、低圧力で井戸に流し込み、原油を油層に押し戻す。
その5~7日後にリリーフ井戸の完成を待ち、リリーフ井戸からセメントを流し、油井を下から密封する。(7月29日現在で、流出油井から数フィートの位置まで掘削が進んでいる)
BPは前回、同様に油井に泥やセメントを流し込む「Top Kill」を試み、失敗したが、この時は原油が流出している場面で実施した。
今回はキャップで流出は止まっており、成功の可能性は強いという。(8月2日付「化学業界の話題」から引用。)
 なお、連邦関係機関は直ちにセメントによる油井の完全封鎖を行うか、8月中旬までのリリーフ井の調査結果の基づき行うかを決定しなくてはならない。これには「リリーフ井(Relief Well)」(リリーフ井は現在原油流出が続く油井(本油井)から離れた場所(今回の場合は800m離れている)から斜めに井戸を掘り進み、本油井と交差する場所まで堀り、そこへセメント等を流し込み原油流出を遮断する方法である。この方法は原油フローを遮断する方法としては一番確実な方法とされている。― 2010 年 6 月10 日JPEC 海外石油情報(ミニレポート)より一部抜粋引用。)に漏れがないかどうかの調査が必要である。

(筆者注2) BP社のメキシコ湾原油流で事故専門ウェブサイト“gulf of Mexico Response”は8月5日付けで「BP Completes Cementing Procedure on MC252 Well 」と題してセメント注入作業は完全に遂行できたと報じている。また、BP社の探査・生産担当COOのデューク・シュトル氏(Doug Suttles)はMC252鉱区の今後について「BP社はメキシコ湾の流失完全停止が現下の最大の課題であり、reservoirの将来の活用については考えていない。またセメント注入がうまく行った元々掘削した穴(wellbore)や2つのリリーフ井については今後の油田開発の一部として使用することはない」と強調している。
なお、BP社は流失封じ込め作業手順についての動画解説サイトで解説している。

(筆者注3) 確かにフロリダ州の商業的漁業海域の再開時のFDAのハンブルグ局長の声明は確かに「安全宣言」といえる内容である。しかし、本文で紹介したNOAA・DOIが発表した「ディープウォーター・ホライズンの結末:原油流失事故で結果的に原油に何が起きているか」の原文を再度読んでほしい。ここでは原油や分散剤の気化や処理がすすんでいる証拠は記載されているが魚介類等の安全性について直接は言及していない。

 また、8月5日付け朝日新聞夕刊は「FDAは2日、漁業が認められる海域の海産物について「安全宣言」を出した。」と報じているが本文で説明したとおり、商業的漁業許可海域は連邦管理海域と州の管理海域があり、またすべての漁業が再開されたわけではない(8月2日にFDA局長であるMargaret A. Hamburg氏が安全宣言したのはルイジアナ、ミシシッピー、フロリダの3州のみであり、7月30日時点でフロリダ州漁業・野生動物保護委員会宛送った通知でも漁業・またカニ(crab)やエビ( shrimp)についての検査結果は出ていない旨明記している)。朝日新聞が米国のどのメディア報道を元に書いたのかは不明であるが、このようなミスリードを招く報道は言うまでもなく「No」ある。

(筆者注4) NICは、地方自治体から州政府、連邦政府までの各行政レベルに散在する各種の資源を有機的に動員するため平時は別々の組織であっても、緊急時には相互が連携して統制のとれた活動ができるよう、あらかじめ災害対応手順、指揮命令系統、さらには用語を統一させておくといったもの。その管理システムを”National Incident Management System (NIMS)”という。

(筆者注5)“NIST”は米国国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology, NIST)であり、1901年に設置された連邦商務省傘下の物理科学技術部門の最先端研究機関であり非規制・監督(non-regulatory )機関である。

(筆者注6)“UCS”が専門分野として専門家を擁している分野は次の8分野である。
①科学的公平性(scientific integrity)(この用語のもととなる理念はどのようなものであろうか。あくまで推測であるがオバマ大統領が2009年3月9日に連邦機関のトップ管理者に宛てたメモ「タイトル: Scientific Integrity」との関連を探ってみた。目指すところは同一なのであろう。大統領は「国民は公共政策の決定に当たっての科学と科学的過程を知らねばならないし、公務員は科学的・技術的な調査結果と結論を抑圧・変更すべきでない。また連邦機関は科学技術に関する情報の開発・使用するなら広く国民も利用できるものとしなければならない。この連邦政府は連邦機関の科学・技術過程の完全性につき最高レベルを保証するため「科学技術政策局長(Office of the Science and Technology Policy)」にその責を持たせた。」と述べている。)
 一方、この点でUCSサイト(Scientific Integrity)では連邦機関の科学情報の政治干渉により米国の直面する難問への対応能力を弱めている(まさに今回にBP社の原油流出への対応がその例にあげられよう)。連邦や議会の政策立案者は情報に基づく決定を行うため詳細な情報に依存する。このため我々はこれらリーダーたちが自身の健康、安全や環境を完全に守るため改革を後押しするのである。UCSサイトでもオバマ大統領に対する連邦政府の政策立案に関し具体的な科学的公平性勧告を行っている。

②地球温暖化(Global Warming)
③クリーンな乗り物(Clean Vehicles)
④クリーンなエネルギー(Clean Energy)
⑤原子力(nuclear Power)
⑥核兵器およびグローバルな安全性(Nuclear Weapons & Global security)
⑦食物と農業(Food & Agriculture)
⑧侵入生物種(Invasive Species)

なお、余談であるが最近UCSからどのような研究分野で協力できるかについて照会メールが届いた(筆者はオブザーバ参加であるのであるが)。
内容文は次のとおりである。
“I want to personally extend a warm welcome, and tell you a little more about all that is available to you on our website and via e-mail.

First, I want to make sure you know that your involvement is helping UCS work for a cleaner, healthier environment and a safer world. Your
action supports and amplifies our independent voice for change that is
based on solid scientific analyses. And finally, your passion about the
issues helps motivate policy makers and business leaders to take
positive steps toward addressing some of the most critical environmental and security challenges of our time.

But beyond saying thanks, I want to let you know about the variety of
ways you can keep informed about our work together and take action on
the issues you and I both care so deeply about.”

Sincerely,

Kevin Knobloch
President

 ここまで読まれた読者は気が付くであろうが、筆者に対する「かすかな期待?」がうかがえる。さて、筆者は東大「サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)」等にもオブザーバーとして協力・参加しているのであるが、元々社会科学系の人間である筆者としてはどのように返事を書いたらよいのやら、誠意を持った対応は当然であるが、悩ましい限りである。

(筆者注7) CDCは2003年、具体的な疾病が診断される前に疾病発生の兆候パターンを検知するウェブベースの電子疾病兆候監視情報システム「BioSense」を開発した。BioSenseは、連邦・州・地方政府機関や病院などの公共衛生関連組織向けのシステムであり、一般公開はされていない。BioSenseは、州・地方の公衆衛生局が管轄区域内の病院から取得したデータや、病院、国防総省(Department of Defense:DOD)や退役軍人省(Department of Veterans Affairs:VA)の医療施設や研究所から直接集めたデータを分析し、経時変化や地理的分布などの分析結果をほぼリアルタイムで表示することができる(NTT データ:米国マンスリーニュース 2009年11月号より一部引用)
 なお、CDCの説明では、5つのメキシコ湾岸州の86の医療施設等を包含しており、その職員は原油流失の関連する特異症候群をチェックできる体制となっており、調査結果は日々関係州に通知される。

(筆者注8) わが国のJETROがEUにおける輸入品国規制につき次のとおり解説(6頁以下)している。(英学名および一般的な名称は欧州委員会決定原文に基づき筆者が補足)
「・二枚貝(bivalvia molluscs:ハマグリ、シジミ、牡蠣)、棘皮動物(echinoderms:ウニ、ヒトデ、ナマコ等)、被嚢亜門動物(tunicates :ホヤ等)、海洋性腹足類(marine gastropods:バイガイ、巻貝等 )ならびに魚製品(fishery products)の輸入が承認されている第三国リストを規定する2006 年11 月6 日付欧州委員会決定2006/766/EC(2006 年11 月18 日付官報L320 掲載)
・食用のいかなる種類の魚介製品の輸入も承認される第三国のリストに関し決定2006/766/EC を改正する2008 年2 月18 日付欧州委員会決定2008/156/EC(2008 年2 月23 日付官報L50 掲載)
・決定2006/766/EC の付属書I およびII を改正する2009 年12 月14 日付欧州委員会決定2009/951/EU(2009 年12 月15 日付官報L328 掲載)

[JETROの解説]欧州委員会決定2008/156/EC(2008 年3 月1 日より適用)により、欧州委員会決定2006/766/EC で規定された二枚貝や棘皮動物、被嚢亜門動物、海洋性腹足類および魚製品の輸入が承認される第三国リストが更新された。
欧州委員会決定2006/766/EC は、食用の動物性製品の公的管理体制に対するルールを規定した規則(EC)854/2004 に基づき、これまで個別に規定されていた2 つの第三国リストを統合したもので、同規則の付属書I には二枚貝や棘皮動物、被嚢亜門動物、海洋性腹足類の輸入が承認される第三国リストが、また付属書II には魚製品の輸入が承認される第三国リストが記載されている。
輸入承認の対象となる個別の製品の変更や要件の変更ならびに第三国リストへの国の追加および削除などを反映し、決定2008/156/EC および決定2009/951/EU が採択された。
なお、日本はこの第三国リストに含まれており、日本からの魚製品の輸入および冷凍または加工した二枚貝等の輸入は基本的に可能となっている。ただし、衛生証明書の添付やEU により認定された施設で生産された製品であることなど、その他の要件も満たす必要がある。」


[参照URL]
・NOAAが発表した科学者の報告「ディープウォーター・ホライズンの結末:原油流失事故で結果的に原油に何が起きているか( BP Deepwater Horizon Oil Budget: What Happened To the Oil?)」
http://www.deepwaterhorizonresponse.com/posted/2931/Oil_Budget_description_8_3_FINAL.844091.pdf
・FDAのフロリダ州沖の海産物の安全宣言
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm220843.htm
・FDAのミシシピー州沖の海産物の安全宣言
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm220841.htm
・全米科学アカデミー医学研究所(IOM)が7月22日、23日に主催した研究会「メキシコ湾原油流失による人の健康被害に関する科学的評価」
http://www.iom.edu/Activities/PublicHealth/OilSpillHealth/2010-JUN-22.aspx
・欧州委員会の輸入品目規制のうち「第三国リスト」に関する決定
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2009:328:0070:0075:EN:PDF
・2002年スペインのガリシア海岸沖で発生した老朽タンカー「プレステージ号」の海洋汚染事故の人体への影響検査報告
http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/reprint/176/6/610

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