12.EUの取組み
欧州連合は、加盟27か国の協力のもとで「欧州安全なインターネット環境ネットワーク(the Europe-wide awareness network:INSAFE 」(筆者注18)による意識改革活動を通じて、この問題に取組んでいる。このネットワークの活動は両親、教師や子供に変化を与えることを目指している。
INSAFEによって組織化された活動の代表的なイベント(毎年開催)が“Safer Internet Day”である。2008年は50か国以上100の機関が参加し本当に国際的なイベントとなった。2007年のイベントでは、デンマークのティーンエイジャーが良く利用するデンマークを拠点とするSNSサイトと協力して非常にうまく行っているキャンペーンを立ち上げた。そのキャンペーンは「アンチ・ヒーロー」というタイトルで個人情報や友達のビデオを流し、ありとあらゆる悪さを行うといったユーモアたっぷりのものであった。2009年2月10日に次回の“Safer Internet Day”が始まる。
欧州委員会は、子供のオンライン利用時の安全性の強化するための努力を続ける。委員会が提案した2009年から2013年を新たな期間とするより安全なインターネット・プログラム(サイバーいじめやその教育対策等で特にSNSを通じて広がったリスクを排除することが目的)が、2008年末までに欧州議会と閣僚理事会において採択されることを希望する。
13.まとめ
SNSは我々に1枚のコインの両面を与える。一方で、SNSはITの新技術を使い理解するといった変化をもたらした。我々をインターネットの活発なユーザーに変え、オンラインで新しい様式の芸術を作るための特殊技能が必要でないことを示した。またSNSは、我々の、①社会的関係、②どのように仕事を得るか、③情報をどのように探すか等についても変化をもたらした。そうすることで、SNSは現実社会やオフラインの世界の市民と同じくらいにオンライン世界の市民であるデジタル時代に生まれた子供や若人の日々の生活に影響を与えてきた。
他方で我々はデジタル社会が子供や若人のプライバシー権を尊重し可能な限り安全であるよう保証しなければならない。若年層に人々が自分自身を表現することを許し、またSNSが提供する多くの機会に接する利益がいかに重要かを忘れてはならない。
このことが、我々が若い世代に①リスク、②権利に関する情報や③彼ら自身を守るためのツールを提供しなければならない理由である。そして、我々は我々自身が彼らの考え方、要求、不満ならびに大変大事なのは彼らの助言に耳を貸すといったかたちで相互のコミュニケーションのチャンネルを常に開いておくということである。
私は今回参加された皆さんが、我々の責任をすべて理解されていると信じる。2009年2月に開かれる“Safer Internet Day”までにSNSが未成年者の保護やデータのプライバシー保護に関する自主規制に取組み、適宜な「行動規範(code of conduct)」を持つことを期待する。そのことが、EU全体でSNSを前進させる重要なステップとなろう。
(筆者注18)“insafe”は、要するにEU加盟国が協力して安全なIT社会特に若年層の保護を狙いとするネットワーク拠点である。実際アクセスしてみると分かるが、各国の情報拠点との接続やEU加盟各国(25か国)へのヴァーチャルツアー接続ができる。試しに英国の国旗フラッグをクリックしてみた。主人公の名前の紹介からはじまり、“detail” というタイトルのアニメが始まった。要するに「個人情報は簡単に他人に渡してはいけないよ!」という内容である。マイクロソフトが作成したもので大変楽しくかつ教育的配慮が気に入った。このほかに、違法なSNSのコンテンツの報告サイト(国際インターネットホットライン協会の報告サイト(inhope)にリンクする。当然ながら、EU以外のわが国や米国、台湾、韓国など35か国がリンク対象国になっている)やFAQによる解説など、わが国でも多くの参考となる内容が盛り込まれている。
〔参照URL〕
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/08/465&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/08/587&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
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