2013年7月15日月曜日

欧州司法裁判所AGがGoogleを巡るEUデータ保護指令(95/46/EC)等の解釈につきスペイン裁判所に意見書












筆者の手元に米国のローファーム・サイト(Inside Privacy)や英国のローファーム・サイト(Out-Law)から興味深いブログが複数届いた。(筆者注1)
6月25日、欧州司法裁判所(Court of Justice of the European Union:CJEU)のNiilo Jääskinen法務官(Advocate General:AG)が、スペイン裁判所から出されていたスペイン住民のGoogle(検索エンジン・プロバイダー)への検索削除権に関する一連の照会に対し先決裁定意見書(opinion)(筆者注2)を提出したというものである。

CJEUにおけるこの種の意見書は初めてであり、その法的意義もさることながら、特に、(1)「データ主体による削除請求権(right to be forgotten)」(筆者注3)問題は2012年1月25日に公表された欧州委員会の「電子化社会の進展に対応した個人情報処理とこれら情報の自由な移動に関する規則(最終案)( Proposal for a Regulation of the European Parliament and of the Council on the protection of individuals with regard to the processing of personal data and on the free movement of such data (“General Data Protection Regulation”(以下、「データ保護一般規則(案)」という)」との関係、また(2)その実現に向けて検討すべき技術面の課題や限界に関するENISA(European Network and Information Security Agency)の3つの勧奨事項報告書に関する問題を正確に取り上げるべき時期にあると思う。

なお、筆者は2012年3月26日ブログ「EUのENISAがEU情報保護指令に代替する規則草案等支持を前提に2つの勧奨研究成果公表とフォーラムを開催」において欧州委員会の一般保護規則草案の立法化問題とENISAの勧奨報告書の内容につき解説した。今回は、さらにENISAのその後の問題提起内容につき一部重複を覚悟で改めてフォローする意義を考えた。

この問題につき、欧米の関係メディアの今回の先行裁定にかかる解説記事(ブログを含む)を読む限り、これらの点を網羅しているものは皆無であった。その意味で改めて本ブログをまとめることとした。

また、法務官意見書の内容と極めて関連するFasebook等SNSプロバイダーのEU内の本拠地と適用保護法問題に関する2013年4月22日のドイツ: シュレスビッヒ・ホルシュタイン行政裁判所(OVG)判決の意義を併せて解説する。

さらに、CJEUの裁判制度の特殊性や法務官の先行裁定の意義等についても適宜補足説明する。
 

1.本先決裁定に係る照会事項のこれまでの裁判経緯
(1)裁定上の論点

①EUデータ保護指令(95/46/EC)の下における領域の範囲と国内適用問題

②検索エンジン・プロバイダーはデータ管理者(data controllers)であるか。

③欧州委員会が提案する「データ主体による削除請求権(right to be forgotten)」が、欧州連合基本権憲章(Charter of Fundamental Rights of the European Union )第8条(Article 8:Protection of personal data)やEUデータ保護指令(95/46/EC)等にいう「データ主体による削除請求権(right to be forgotten)」としてEUの一般保護原則として適用されうるか。

(2)本裁判手続きのこれまでの経緯
1998年前半に新聞記事の報道記事に取り上げられたスペイン人の個人のデータ削除要求問題が引き金となった。
2010年に彼(A氏)はグーグル・スペインに対し、グーグルユーザーが検索エンジンを用いて新聞記事に関し自分の名前を入力してもリンクできないようにするよう申し入れた。彼が接触した新聞社は、関連データの消去を拒否した。このため、A氏はスペインのデータ保護機関(Agencia Española de Protección de Datos: AEPD)に苦情を申し入れた。
AEPDは調査・検討した結果、Googleに対し検索エンジンのインデックスを撤回させるべく必要な手段をとること、また、今後同データへのアクセスを不可能にするよう命じる決定を行った。
Googleはこの問題につき司法裁判所の判決前手続き「先行判決(preliminary ruling)」を求めるべく、スペインの裁判所にこの決定に対する控訴を行った。

(3)AGの意見書内容(EU保護指令における適用地問題と該当国の国内保護法適用問題)(なお、この解説部分(3)と(4)は“Inside Privacy”の解説ブログから引用した。その理由はIT専門的な視点から意見書内容を解説していると考えたことによる)

AGは、Googleの検索エンジンがスペイン人のユーザーの眼が個人の評判を狙ったとしても、そのことはスペインの保護法の適用の引き金とならないと断言した。
特に、EU保護指令第4条第1項(注4)の解釈につき、指令適用の地域を完全に調和させるべく「紛争の重要性から見た中心地(centre of gravity of the dispute)」という新たな判断基準を追加する必要はないと論じた。

むしろ、関連する質問事項であるスペイン国内において、Googleが第4条第1項にいう「データ管理者の設置地における活動の文脈においてデータ処理を行っていたか」という問題であろうと指摘した。

この問題に関し、AGはGoogleの主張点すなわちGoogleの検索エンジンにかかる個人データの処理はスペインで行っておらず、同社の広告機能の商業代表部門としての活動のみであるという意見に好意的な立場を示した。
しかしながら、AGは指令適用地域につき次のような見解を示した。
ビジネスモデルの観点から見てインターネット・プロバイダーをどのように判断するか。通常、キーワード広告(keyword〔……〕 advertising)に基づき決せられる。このキ-ワード広告〔….〕につき責任を負う企業は、インターネット検索エンジンにリンクさせる。〔and〕検索では全国ベースの広告市場の存在を必要とする。
本事件において、Googleスペインはスペインの広告市場に参照する橋として活動しており、AGの見解はその十分な結びつきを提供した。その結果、AGは法廷は個人的な処理がコントローラーの文脈の中で次のように行われたことを明示すべきことを提案した。
「PRや販売広告スペース目的で、EU加盟国にその国の国民に向けた活動に適合する事務所や子会社を設置する目的で検索エンジンの提供を保証しているか。」

重要な点は、AGはEU以外の国で参加しうるであろう技術的なデータ処理運用に含まれる設置が必要であるとは考えていないことである。また、AGは会社グループの場合、別の法人格(単一のデータ管理者概念)ではなく1つの機構として扱われるべきであるという見方を支持し、また経済的に見た運営者は1つの機構として扱われるべきであり、個人データの処理に関する個人的な活動に基づき分断すべきでないと考えていることである。

(4) AGの意見書内容(ISESPはデータ管理者(コントローラー)であるか?)
この問題に関し、AGはGoogleが個人データの処理しているか否かという問題に関しては比較的ぞんざいに対処している。特に、姓名、映像(images)、住所、電話番号、記述文等のコピー、索引付け、キャッシュメモリーに格納(caching)、ソースウェブページの表示(display of source web pages)は「処理(processing)」を構成すると述べているのみである。これら個人データの特性は、インターネット検索サービス・プロバイダーにとって未知のままである、またはソース・ウェブページの中の個人データはある意味で無作為であるという事実はこの結論を変えないであろう。
さらに、検索条件としての所与の姓や名を通じて行う自然人の間接的認証(indirect identification)は、「検索結果〔….〕はインターネット・ユーザーに対し同一名の個人間の区別において限定的なリンクを明らかにする。

ISESPが個人データのプロバイダーであるかどうかに関し、AGはEU保護指令の解釈は「バランスが取れかつ合理的な結果を実現すること」ならびに「実質的にスマートフォン、タブレットやノートPCを持つ人々に対するインターネット環境を踏まえ」行うことを提案する。

AGの意見書はこれらの状況はカバーされていない。とはいうものの、AGは以下の2つに状況を分けて区別した。

(A)AGの見方では、ISESPは第三者のウェブページ上の個人データのコントロールを機能情報位置の提供道具を提供するに過ぎない。
むしろ、その役目は電気通信事業者やその他の放送事業者(これら事業者の場合、主たる管理者は情報プロバーダーである)と類似の機能である。インターネット検索エンジン・サービスは、統計的事実以上の他の意味で個人データの存在に気づいていないし、事実上情報管理者の責務を果たしてもいない。また、ISESPは原則としてキャッシュメモリーのコンテンツを制御しない。

(B)これと対照的に、ISESPはキーワードを関連するURLアドレスにリンクさせる検索エンジンにインデックス中に含まれる個人データのコントローラーではある。また、もし、彼らがウェブページのロボット検索排除プログラム(exclusion codes on a web page)(注5)を遵守しないまたはウェブサイトから受けた要求にも係らずキャッシュのウェブページを更新しないときは、キャッシュメモリーのコンテンツのコントローラーでもある。

これらのケースでは、ISESPは保護指令において次の事項を含むコントローラーに課されるすべての義務を守らなければならない。

・「データ処理に係る法的根拠の要求要件」:AGの見解によるとISESPは原則として指令第7条(f)号に従い合法的利益基準に依存することが出来る。(注6)
・「保護指令第6条にいうデータの品質保持原則」:AGは、検索用語に対応したデータが表示されるかまたはリンクされたウェブページが表示されれば十分であると考える。(注7)

(5) AGの意見書内容(現行保護指令上「忘れられるべき権利」は認められるか?)
AGはデータ主体による自身のデータにつき「削除権」や「ブロック権」、さらに「第三者提供の反対権」、「忘れられるべき権利」という一般的な疑問点につき論議したが、いずれも否定的に答えた。

AGは、特にデータ主体には、自身の情報につきデータ主体の主観的好みに基づいて第三者のウェブページにおいて合法的に公表された情報のインデックスを阻止すべくISESPに向け強制する権利はないとした。
欧州委員会がまとめた保護一般規則(案)と比較して、現行保護指令にはそのような権利は備わっていないとした。

欧州連合基本権憲章(Charter of Fundamental Rights of the European Union)第8条(注8)や欧州人権条約(European Convention for the Protection of Human Rights and Fundamental Freedoms:ECHR)に基づいたとしても同権利は保証されない。それとは反対に個人情報の保護と私生活の権利は絶対的なものではなく、表現の自由、情報の自由やビジネスの自由など他の基本的権利とバランスをとる必要がある。
AGの意見は、忘れられるべき一般的権利はとりわけ結果的に見て、非公開のパーティでの非難されるべき公開されたコンテンツに関する重要な権利を犠牲にするであろうというものである。

(Inside Privacyブログの結論部分)
AGの意見書はEUの保護指令の重要な解釈上の観念や原則につき検索エンジンにみの適用を十分に越える斬新的な方法を含む。
AG自身が意見書で「インターネットと関連してデータ保護の専門家にとり保護指令第4条の解釈はかなりの困難であったことは驚きに当らない。法廷がこれらの点につき判決でいくらかでも光を当てることを期待する」と認めていることが注目される。


2.「データ主体による削除請求権」に関する2012年12月EU委員会による「データ保護一般規則(案)」
(1)規則案の提案の背景、検討経緯

2012年1月25日、欧州委員会は「個人情報保護に関するEUデータ保護一般規則(最終案)( Proposal for a REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL:on the protection of individuals with regard to the processing of personal data and on the free movement of such data (General Data Protection Regulation))」を公表した。

同提案書は全文で119頁である。主な改正事項は、EU加盟国内の規制のあり方につき、(1)これまでの位置づけを「指令」から「規則」へ格上げ、(2) 従来の18年前に策定した「指令(Directive)」から「規則(Regulation) 」に格上げ (個別国に立法を待たずに運用、解釈等の一元化が可能となる)、(3) 個人データ保護の権利の強化(自己情報コントロール権の強化など)、(4) EU域内でのデータ保護ルールの一元化(EU域内企業にとってメリット)、(4) グローバル環境でのデータ保護ルールの詳細化(第三国へのデータ移転ルールの詳細化など)等である。

以上述べた、EU規則案策定に至る経緯やわが国の法制との比較等主な問題点は、2012年4月に(社)電子情報技術産業協会・情報政策委員会「EUデータ保護指令改定に関する調査・分析報告書」のサマリー部分がほぼ網羅しており、加盟国政府や議会資料と比較しても遜色ないと思えることから、あえて本ブログではその説明は省略する。(同報告書は全91頁で、「付録2:EUデータ保護規則案 条文和訳集(仮訳)」が添付されており、貴重な参考資料といえる。本ブログでも、適宜参照した)。また、JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)が平成23年度に開催した「個人情報の安心安全な管理に向けた社会制度・基盤の研究会」用に全文を仮訳している。ただし、訳語自体の正確さで見ると疑問が生じる。例えば3.4.4.4. 第4節- データ保護職員 3.4.4.4. Section 4 – Data protection officerの例で見てみる。これは「データ保護担当役員」または「データ保護オフィサー」(前述の「情報政策委員会」の訳文参照)とすべきであろう。

(2)欧州議会「産業・調査・エネルギー委員会(Industry, Research and Energy Committee :ITRE)」の保護規則案の支持意見取りまとめリリースの要旨

2013年2月20日、欧州委員会はITRE(意見書の作成者はショーン・ケリー(Seán Kelly )議員(アイルランド選出))が規則案を支持する意見書をまとめた旨報じた。同時に欧州委員会は目下「市民の自由、司法および域内問題委員会(Civil Liberties ,Justice and Home Affairs Committee)」においてそれまで出された修正意見を統合後、同委員会の意見書案(筆者注9)を本年4月に公表すると発表した。

実際にどうなったかにつき、筆者なりに調べたので、以下のとおり補足する。

①2013年1月16日、「法案修正意見集約報告(DRAFT REPORT on the proposal for a regulation of the European Parliament and of the Council on the protection of individual with regard to the processing of personal data and on the free movement of such data (General Data Protection Regulation))」(全218頁)が第一読会に提案された。

続いて、3月上旬に次のとおり全10回に分けて各委員からの修正案が取りまとめ役であるドイツ選出で「緑グループ/欧州自由連盟(Greens/European Free Alliance)」会派に属しているジャン・フィリップ・アルブレヒト(Jan Philipp ALBRECHT)(筆者注10)により提出されている。

② 2013年3月4日 「AMENDMENTS (1) 351 – 601」(全173頁)

③ 2013年3月4日 「AMENDMENTS (2)602 – 885」(全155頁) 

④ 2013年3月4日 「 AMENDEMENTS (3)886 – 1188」(全163頁) 

⑤ 2013年3月4日 「AMENDMENTS (4)1189 – 1492」(全154頁) 

⑥ 2013年3月6日 「AMENDMENTS (5)1493 – 1828」(163頁) 

⑦2013年3月6日 「AMENDMENTS (6) 1829 – 2090」(全134頁)


⑧2013年3月6日 「AMENDMENTS (7)2091 – 2350」(全129頁)

⑨2013年3月6日 「AAMENDMENTS (8) 2351 – 2617」(全147頁) 

⑩2013年3月6日 「AMENDMENTS (9)2951 – 3133」(全175頁) 

⑪2013年3月8日 、「AMENDMENTS (10)2951 – 3133」(全111頁) 

(3)英国政府や議会の資料内容

EU規則案の検討内容の要約資料として英国議会下院公式ライブラリー注釈(Commons Library Standard Note )である「EU情報保護法規制に関する新たな枠組み(The Draft EU data protection framework)」の内容と注釈文原文(注釈からリンクのみ)を紹介する。

・EUの情報保護法の基本法は1995年データ保護指令(95/46/EC)であり、同指令に基づき英国は「1998年情報保護法(Data Protection Act 1998:ch29)」により適用した。1995年以来、技術進歩とグローバル化がデータ収集、アクセス、使用面において、従来の個人情報規制のあり方の道筋を大きく変えた。

・さらに、EU加盟国は1995年指令について異なる国内法立法を適用したことから、結果においてその具体的な法施行に当り法適用の分岐性が生じた。このため、欧州委員会はオンライン・プライバシー権の強化とEUのデジタル経済の増強を目的として1995年指令の包括的改正案を提案した。

この新規則案の下では、EUの事業者等は1つの情報保護法に対処し、また1つの情報保護機関(企業活動のメインの部署がある国の保護機関)に釈明責任を負うのみでよいことになる。

・本規則案は、規則案と従来の指令の法的効力に関し、95/46/ECは廃止、また2005/58/EC指令(筆者注11)との関係規定の解釈、修正案からなる。

・規則案のうち、例えば(1)7条にいう個人的なデータの処理について明示的な(explicitly)同意を要するとはいかなる定義をいうのか、(2)データ主体の公的なオンライン上のデータの削除を含む17条にいう「削除請求権(right to be forgotten)」)の明確な定義等いくつかの問題点が論議を呼ぶことが判明した。

・欧州委員会の新規則に伴う事業者等の情報管理の財務面からみた効率性向上についてのインパクト・アセスメント(規則案第33条 データ保護への影響評価:Article 33 Data protection impact assessment)推定によると、毎年23億ユーロ(約2,921億円)と見込んでいる。しかし、英国政府はこの査定結果とは意見を異にし、規則案実施時に課されるであろう経済的負担は、欧州委員会が見積もった純利益額よりもはるかに重いものであると信じる旨明示した。

・欧州委員会は、欧州連合理事会(Council)と欧州議会(Parliament)への規則案成立に向けた審議を進めている。前述した問題点等が解決されれば、規則案は2014年に採択され、その2年後の2016年に施行される予定である。

3. 「データ主体による削除請求権」に関するENISAの技術面からの問題指摘報告書
筆者は2012年3月26日のブログ「プライバシー-経済と実務慣行の間にゆれる基本的な人権問題-EU規制機関の取り組み」の前書きにおいて「欧州ネットワーク 情報セキュリティ機関(European Network and Information Security Agency:ENISA)」は、2つの新たな研究成果すなわち、(1)EU域内におけるプライバシーの経済効果および(2)個人情報の収集と保持にかかるオンライン実務に関するケース・スタディ報告書となる推奨的性格を持つレポートを発表したこと。(中略)ENISAの2つの研究報告はあくまで欧州委員会が2012年1月25日に提案した規則草案について、ある意味でフィージビリティ・スタディとなりうる内容を持つものであり、今回のブログはその意義とこれらをめぐるENISAの動向につき最新情報を提供するものである」と解説した。

その意味で、今回のENISA報告書も関係する2つのレポートの内容もIT技術の急速な進展の中で揺れ動く人権擁護の法規制の今後を見通すうえで極めて重要な課題と認識すべきと考え、ここで併せて要旨のみ紹介する。

(1)ENISA報告書「忘れられる権利―期待と実務(The right to be forgotten - between expectations and practice )」の要旨

忘れられるべき権利(データ主体の削除要求権)は、2012年1月に欧州委員会によって発表された総合個人情報保護規制案に含まれている。同規則は、施行を待つべく欧州議会や欧州連合理事会(司法部会)で審議・採択手続途上にある。(筆者注12)

(報告書全文の前書きおよびリリース文要旨の仮訳)なお、ここでは「忘れられるべき権利」という訳語をあえて使う。

・忘れられるべき(消去またはまさしく忘却させる)権利の異なる法律面については異なった文脈で討論されているが、本報告書はこの範囲を超えている。 この報告において、ENISAは、忘れられるべき権利の他の一面の言及することを目指す。 すなわちENISAは情報システムでその権利を実施できるか、またはそのことを支持するための技術手段に焦点を合わせた。本報告で明らかなとおり、この実現には技術的な限界があり、そしてさらに法的に明確な定義化が必要である。

本報告の主要な推奨事項は以下の通りである。

・各国の政策立案者とデータ保護機関は、忘れられるべき権利(誰が共有された個人的なデータにつきいかなる事情等の下で削除を求めることができるかなどの明確化)の実現を促進するために「その定義の明確化」のために共同して機能すべきである。

さらに、そのような定義の明確化に関し、関連して生じるコストをも考慮する必要がある。

・オープン・システムであるインターネットにおいて、この権利を実施する純粋に技術的な解決策は不可能である。すなわち異なる事業・研究分野相互間協同的なアプローチが必要であり、政策立案者はこの事実を知っておくべきである。

・この権利の実現に向け支援し、かつ実践的なアプローチを行うためには、Google等サーチ・エンジン・オペレータに求めるべきであり、EU領域の内外面に格納された「忘れられるべき」情報の参照に関しフィルターにかけることを求めるべきである。

・これらに関し、破棄されたり、オフラインの記憶装置にある格納された個人情報の削除については、特別な注意を払わなければならない。

(2)Study on data storage and collection

本報告は2012年3月23日に発表された。次の2つの報告書からなる(本リリースから報告全文にリンク可)。

(A)2012年2月28日公表「Study on monetising privacy:An economic model for pricing personal information」(全76頁)

何人かの個人は、彼らのプライバシーに係る個人情報をよりよく保護するオンライン・サービス・プロバイダーに高いコストを支払うことができるくらい評価するか? これはいかなる意味で「ITサービスの個人化(personalisation of services)」(筆者注13)とどのように関連するか?

本研究は「プライバシーの貨幣価値化(monetisation of privacy)」(筆者注14)問題を分析する。貨幣価値化は、購買取引と関連して消費者による個人データの公開または非公開の決定に依存する。このレポートの第一目的はITサービスの個人化、プライバシー面の懸念問題、およびオンライン・サービス・プロバイダー間の競争の相互作用についてより良い理解を可能にすることである。 消費者は、一方では製品の個人化の利益を得るが、他方で1つのサービスに閉じ込められるかもしれない。さらに、個人化はすなわちいったんサービス・プロバイダーにプライバシー面で侵害されるとデータの扱いで妥協せざるを得ないというプライバシー面の危険を冒す。

プライバシーは人権である。プライバシーの経済学的側面について考える場合、この基本的事実は変わらない。このレポートの作者は、個人的なデータに関して私たちの人間の意思決定の理解を改良する上で、プライバシーの経済分析が法的分析を補足すると考える。

(B) 2012年2月23日公表「Study on data collection and storage in the EU」(全60頁)

この研究の目的は、一方では設計原理におけるプライバシーの重要性と他方では、多くのオンライン・サービス・プロバイダーの実践における手ぬるい情報保護の現実の間に明確なコントラストを与え、かつ最小量の公開の原則にかかるEU加盟国の関連する法的枠組みと個人情報の保管にかかる最小の保持時間の分析を提示することである。

本研究は、情報保護立法の法的な複雑な問題の詳細について深く論じることを意図しない。むしろ限られた数の関連使用されるケースの焦点を合わせて、前述の原則がこれらのケースに適合する具体的な法的規定または規制規定においてどのように表現すべきか、またそれらが実際にはどのように遵守されるかを見ようとするものである。

(3) 2012年11月14日公表「Paper on the privacy implications of online behavioural tracking 」(全33頁)

本報告の要旨部分を仮訳する。

インターネット・ユーザーは、ますますアクセス内容を追跡され、かつプロファイルを描かれており、そして、彼らの個人的なデータは利用サービスと引き換えに通貨として手広く使用される。もし、我々がプライバシーへの権利を支援して尊重するなら、私たちが尊重することができるつもりであるなら、この新しい現実がすべての利害関係者によって理解されることが重要である。 本研究は、プライバシーとデータ保護分野におけるENISAのこれまでおよび現在に仕事を補完するものである。ENISAは、運用環境における挑戦すべきテーマを特定して、最も良い実務慣行を開発し、プライバシー概念と技術を促進するために様々な利害関係者の間の対話を支援している。

ENISAによって発表された最近の研究では、我々は、すなわち個人データ保護のための法的必要条件すなわち、個人情報保管の最小量の開示原則と最小の保持時間とオンライン環境における実務慣行の間にギャップがあることを見出した。 プライバシーを高める技術の理解力は低い。 ユーザーには、プライバシーに優しいサービスでいくつかのビジネス利益をもたらすことができたとしても、消費者の小さい、しかし、わずかな割合でプライバシーに優しいサービスに代価を払っても構わないと思うときさえ、実際に彼らにとって多くの選択肢はない。

欧州委員会が法的展望をもってこれらの挑戦を記述する目的で取りまとめた新保護規則案は、意図的にプライバシー保護を強化し、その不履行に対する制裁は含む。本研究は、消費者の行動追跡時の技術的展望を提供する。以下のような質問に答えて、それは包括的な見解を提示する。(1)ユーザーはなぜアクセス行動等を追跡されるのか? (2) どのような技術が使用されているのか? (3) 我々は今日、どんな範囲まで追跡されているのか? (4) その具体的傾向はどのようなものか? (5)リスクとは何か? (6)主体の保護のためいかなる制裁処分が存在するか? (7)保護監視機関は、ユーザー・プライバシーを改善するのをどのような支援策を実行できるか?

追跡メカニズムに関連するプライバシーの危険性を記述する学際的アプローチによる多くの仕事が必要とされる。 本研究の推薦内容は、EU各国の監視機関、政策利害関係者、研究者、および開発者に向けて記述するものである。具体的には以下の通りである。

①追跡防止イニシアチブ・システムの開発とモバイル・アプリケーションのための対処プログラムの開発; ほとんどの追跡防止イニシアチブはモバイル機器に焦点を合わせていないため、モバイル機器のユーザーはさらにプライバシー面のリスクに晒される。

②ユーザーにとって透明性とコントロール向上のための使い易いツールの開発; 気づきは重要であるが、ユーザーが、自身の個人データがどのように収集され、管理され、移動されるかを知りうるよう透明性ツールを機能アップする必要がある。

③ 法執行対策として、ふらちな事をするプレーヤーの行動を阻止し、個人データ保護に関する規則等への遵守を強制するために配備されるべきである; そのメカニズムは規則違反の捜査やそのモニタリングに関するもので、規制監督機関によって定義されるべきである。

④ 意図的にプライバシー保護は促進されるべきである。規制規則等は、重要な役割が、プライバシーを保存する解決策の適合を上げる重要な役割すなわち規則等を実行して、完全かつ準拠性を持ち確固たる有意義なプライバシー・ポリシーの存在を確実にすることである。

4.EU加盟国における“ right to be forgotten”問題の整理

あえてBBC Guardian 等メディアの解説は省略する。自国の利害を勘案しつつ、本格的に論じていると思われる英国政府の意見書や法律専門家の意見を中心に問題点を整理してみる。

(1)英国法務省「法務特別委員会意見書」や議会で検討課題の概要

2013年1月の英国法務省リリース「大法官および法務大臣名の英国政府の意見書(法務特別委員会が取りまとめ)(Government response to Justice Select Committee’s opinion on the European Union Data Protection framework proposals」のうち、欧州委員会が策定したEU情報保護規則案およびEU指令(95/46/EC)等改正案に対する意見の結論部分を仮訳する。

〔規則案に対する意見(The Committee’s opinion – Regulation)〕

①本規則案は、第一に1995年指令(95/46/EC)の改正と過去および将来のIT技術更新への配慮、第二に「リスボン条約(Treaty of Lisbon)」「EU基本権憲章(Charter of Fundamental Rights of the European Union)」(2010/C 83/02)が規定する個人情報やプライバシーを保護するために必要な個人の権利を与えるものである。(第102段落)

英国政府の「根拠を明示した意見具申(Government’s Call for Evidence)」に対する応答者の大部分は、特にEUの単一市場の強化に関し、今回の欧州委員会の情報保護立法案を歓迎した。英国政府は、現行EU保護指令が1995年に合意されて以降、個人情報の使用方法が変わったことならびに現行の枠組みの更新が必要であると認識している。

1995年保護指令の制定目的を踏まえて提案された今回のEU規則案は、個人情報の処理における個人を保護することを意図するものである。個人データの保護は「欧州人権条約(ECHR)」(筆者注15)第8条(EU基本権憲章第7条の再規定化したもの)はプライバシーと家族生活の尊重に関する権利の側面でプライバシー保護に特化したものである。

欧州連合の機能に関する条約(Treaty on the Functioning of the European Union)」第16条第2項はリスボン条約により導入されたデータ保護に関する新たな根拠となるものである。また同条は、欧州議会と欧州連合理事会による個人情報保護の規則を個人的なデータの処理に定めるのに権限を与える。この前提に立ってみると、英国政府は、欧州委員会が立法措置を求めて何とかせねばならないと事例は存在せず、また、現時点で従来の「枠組み決定(framework decisions)」 (筆者注16)を置き換える必要性もないと考える。

英国政府は、適切な公衆保護、経済成長、および革新を考慮する一方で個人の市民的自由を保護するEUデータ保護法律を欲している。 これらは一方かもう片方を犠牲にして達成されるのではなく、2人乗り自転車方式で達成されるべきである。

しかしながら、規則案の内容は民間企業や公権力がこれらの権利が是認されるのを保証するためにいかなるかたちで応じるべきであるかに関して作成するものとしては「過剰規範主義的(over-prescriptive)」である。

政府は、英国の保護機関である情報コミッショナー(Information Commissioner’s Office)が実質的に余分な情報資源を求め、ひいては民間企業は公的機関から求められる多くの管理証拠(筆者注17)負担を主張する。(第103段落)

英国政府は、データ管理者(data controllers)がどう規則案を遵守するかといった条件に関し、提案された規則案が過剰規範主義的であるという情報コミッショナー(ICO)の意見に同調する。英国が擁護するリスク・ベースとする保護モデルの下では、それは法律の遵守を確実にするためにデータ管理者を適所に置き、かつその義務を規定化するであろう。

英国政府は欧州委員会規則案が「だれもその代価を払わない管理体制(a regime which no-one will pay for)」に立つものであるという情報委員の主張に同情的である。英国が実施したImpact Assessmentでは、1年あたり800万ポンド(約11億7,600万円)から2,800万ポンド(約41億1,600万円)のICOによって見積もられた補足的手段の必要性を勘案して、また、ICOへの登録手数料収入の損失というICOの収入損失推計を査定した。(筆者注18)

英国は、欧州委員会には次の選択が可能であると信じる。1つ目は、一般保護規則を通してEU加盟国横断的に一貫性と協力関係(筆者注19)を実行すべく調和させる目的を追求し続けることができる一方で、データ保護当局と欧州保護委員(European Data Protection Board)の思慮深さの遵守に関する詳細を任せている不可欠の要素に焦点を合わせることである。それに代替する別な2つ目は、規則案に含まれているすべての領域で達成したがっていることを実現するのに指令を使用する方法である。しかし、この場合、加盟国に具体的な実現を任せることになり、前述調和や一環性の要素に実現は課題として残される。 (第104段落)

提案された規則案はEU指令として書き直すべきであるという英国政府の立場は、加盟国にとって要求される有利性や柔軟性を考慮することに繋がろう。 欧州委員会のImpact Assessmentは、従来のEU指令の使用によりこの調和させることが達成されることを認めている。

例えば、規則案の中で見出しうる基本的権利の調和の例を挙げよう。すなわち、 データ主体の楽しむ権利、独立性を持った監督機関と欧州保護委員会に関するルールである。また、英国政府は一貫性メカニズムの原理を支持する。我々は、 私たちは、データ保護枠組みにおいて個人の市民的自由を保護するべきであると信じている。このことは、個人的なデータの処理が公正、安全であり、そのデータが必要とされる期間のみ保有されるべきであることを確実にする適所にある規則を定めることを意味する。

EUデータ保護立法は、革新と成長を損なうビジネス慣行を強制することなく個人のプライバシーを保護するものでなければならない。例えば、規則案はデータ管理者がどのようにインパクト・アセスメントを完全なものとしまた保護役員を雇用するかにつき規範的な義務を明記する。

彼らがどう提案されたRegulationに従うかに関して提案されたRegulationは規範的な義務をデータ管理者に置きます、データ保護インパクト・アセスメントを終了して、データ保護職員を雇うのなどように。 これはデータ管理者(小さいオンライン小売業者から多国籍の大きなインターネット会社までの)が規則の遵守を確実にするためにそれら自身の実務慣行を採用できない‘フリーサイズ'アプローチである。 欧州委員会の提案は、プロセスではなく、結果を規制することに焦点を合わせるべきである。

英国議会の「欧州問題監視委員会(European Scrutiny Committee)」の英国政府に対する質問事項すなわち現在上程されている規則案はデータ主体にとって交渉の余地がない基本的権利を付与し、また欧州全体で取引を行う民間企業特に中小企業にとってより遵守しやすい本質的なものである。しかし、委員会はEUが現在提示している手続様式は適切、実践的、容易性および効率性なものとは思えない、という疑問である。(第105段落)


英国政府は欧州問題監視委員会への回答として次のとおり指摘した。政府は個人の市民的自由を保護する意味のデータ保護法を見たがっている。 データ管理者がデータ保護につき、ビジネスが成長するのを防げる極めて高価で官僚的手段に従う必要はなく、データ処理できるのを確実にしている一方で、個人の保護を達成したいと思う。

〔EU指令改正案に対する政府意見(The Committee’s opinion – Directive)〕

データ主体の観点から見て、指令改正案は、保護規則案に比べより弱いレベルのデータ保護を提供する。 政府は、法執行当局による機密の個人的データの取扱いの著しい違いを認めるが、多くの点で、保護のこの低いレベルは正当に見えない。交渉の間で、英国政府は旧指令を修正しようとするべきであるので、データ保護原則はできるだけ2つのEU保護手段(一般保護規則と改正指令)の間で一貫すべきである。 これは、リスボン条約で支持された権利が、是認されるのをさらに確実にするであろう。 (第149段落)

前述したとおり、欧州委員の2つの保護手段の間の一貫性のための委員会の求めに応じ、英国政府は、それが可能である限り2つの手段の間には、パラレルな関係があるべきであると信じている。しかしながら、各手段が提案されたとおり異なった文脈で考えられることが重要である。 規則案は一般データ保護処理のために提案されたが、改正指令は警察の分野と刑事問題における司法協力において適用される。各手段でカバーされる領域での個人データの使用は非常に異なっており、そして、警察の分野のより大きい柔軟性と運用上の要件によるこの領域の司法協力の必要があり、必要であるところでは、これらが2つの手段に反映されるべきである。旧指令の詳細説明(recital )10(筆者注15)は、個人情報の保護のときに刑事問題における司法協力と警察の協力の分野、特定の規則がこの分野での個人情報の保護に必要であるかもしれないと認めたDeclaration21を参照引用している。



規則案とは対照的に、保護指令により保護されるレベルの条件に関してよりフレキシブルな手段提供や基本的人権の供与手段の間で、矛盾は全くない。 例えば、Framework Decisionは最低基準となる手段である。Framework Decisionの詳細説明48は、基本的権利を尊敬する点を確認して、欧州基本的人権憲章によって認識された諸原則を明記する。

英国政府の立場は、Directiveが欧州連合の機能に関する条約プロトコル21第6a条に従い、英国にとって適用を制限してしまうだろうというものである。その場合、我々は、法執行当局がDirectiveの中に含まれる過剰規範的な手段によって縛られないので、それがイギリスに有益になると信じる。また、これは、警官隊等のようにEU法が国内の個人データ処理に適用されないことを意味するであろう。 刑事裁判の場合の国内処理は、引き続き「1998年情報保護法」でカバーされ続けるであろう。 (第150段落)

提案された指令改正案によると、EUの手段の外でのデータ処理に適用しないという政府の立場がある。指令改正案が適用しない分野では、英国の国内法はそのような個人的なデータの処理を治め続けるであろう。

(2)筆者は、5月10日の英国の大手ローファームShepherd and Wedderburnの解説記事「The right to be forgotten – who can decide?」を読んだ。

短いレポートではあるが、この問題のEU加盟国(英国、ドイツ)における議論のポイント(GoogleだけでなくドイツのFacebookの法適用領域問題)は具体例をあげて整理されている。その要旨部を以下、仮訳する。


(略す)


(3) チューリッヒ大学・国際ビジネス法主任教授 Rolf H. Weber「The Right to Be Forgotten :More Than a Pandora’s Box?」(全11頁)2011年公表

JIPITEC, the ”Journal of Intellectual Property, Information Technology and Electronic Commerce Law” 2011年第2巻第2号120~131ページ


(略す)


(4) 2013年4月22日のドイツ: シュレスビッヒ・ホルシュタイン行政裁判所(Verwaltungsgerichtsbarkeit in Schleswig-Holstein:OVG)判決の意義と内容

2013年4月22日、OVGはフェイスブックがアイルランドに非米国やカナダの運用に関してはアイルランドに本拠を置くことから、フェイスブックのアカウントネーム・利用規約(ポリシー)では本名の使用を義務付ける。この点につき原告ユーザーはシュレスビッヒ・ホルシュタイン個人情報保護委員は同利用規約は保護法違反であるとする決定を下した。

フェイスブックは控訴し、OVGはフェイスブックのEU域内のオペレーションはアイルランドで行われており、そこで適用される保護法はアイルランド保護法のみが適用され、ドイツ保護法は適用されない旨裁決した。

この決定は他国のデータ保護機関に比べプライバシー保護に厳しいドイツの監視機関にとって打撃である。

なお、OVG決定に対し上告される予定であるが、この問題は欧州委員会が目的とする「一環性メカニズム(consistency mechanism)」問題と極めて緊密に関係する問題であることは間違いない。

また、シュレスビッヒ・ホルシュタイン個人情報保護委員(Das Unabhängige Landeszentrum für Datenschutz Schleswig-Holstein)のプレスリリース「OVG Schleswig-Holstein: For Facebook Germany data protection law does not apply」はOVG判決文の原文等にリンクできる。


************************************************************

(筆者注1)例えば、米国ローファーム・ブログ“Inside Privacy”「Advocate General Submits Opinion in Google Spain Case」、英国ローファーム“Out Law”記事「Google not always a 'data controller' of data processed by search engines, says legal advisor」、 米国CNET記事「EU court lawyer backs Google in 'right to be forgotten' case」、EUobserver記事「EU court: No 'right to be forgotten' in data rules」などがあげられる。

(筆者注2) CJEU法務官の意見書について、リリース文の注記内容をここで仮訳し補足する。

(注)法務官の意見書: 法務官の意見は欧州司法裁判所(Court of Justice)に対し法的拘束力を持たない。法務官の裁定は、完全に独立性をもって責任を負う事件の法的解決において司法裁判所に建議を行うことがその任務である。

司法裁判所の裁判官は、本事件につき現在、彼らの審理を始めており、後日、法的判断を与えることになろう。

NOTE: The Advocate General’s Opinion is not binding on the Court of Justice. It is the role of the Advocates General to propose to the Court, in complete independence, a legal solution to the cases for which they are responsible. The Judges of the Court are now beginning their deliberations in this case. Judgment will be given at a later date.

司法裁判所の先行判決(preliminary ruling)の意義について同裁判所の解説箇所を引用、仮訳する。

注:CJEU先行判決の法的な参照性の意義は、加盟国の裁判所(courts およびtribunals)におけるEU法の解釈および有効性に関して司法裁判所(court of justice)に質問を任せるのにそれらの前に持ち込まれた論争に対し行うことが認められる。 司法裁判所はこの論点自体については決定を行わない。 司法裁判所の決定に応じてケースを判断する際、加盟国の裁判所に支配力を持つ(司法裁判所決定は、他の国家の裁判所における同様の問題につき法的拘束力を持つ)。

裁判所法廷は法廷の審理事件として持ち込まれたケースに関する意見を提示することである8人の法務官から法的アドバイスを受ける。 それらの内容は公開的でありかつ公平なものでなくてはならない。

各裁判官と法務官は任期6年で任命され、この任期は更新が可能である。 EU加盟国の政府は、彼らが裁判官や法務官につきだれを任命するかにつき同意権を持つ。

(筆者注3)“right to be forgotten”とは、個人の事業者や機関に対し自己の情報を削除するよう要求することの出来る権利をいう。「忘れられる権利」と訳されることが多いが、データ主体がもつコントロールの1つである「データ主体の削除要求権」という訳語が適切と考える。本ブログはあえてこの訳語で統一する。

(筆者注4)EU指令第4条第1項の原文を以下、引用する。
Article 4 :加盟国の国内法の適用ルール(National law applicable)

1. Each Member State shall apply the national provisions it adopts pursuant to this Directive to the processing of personal data where:

(a) the processing is carried out in the context of the activities of an establishment of the controller on the territory of the Member State; when the same controller is established on the territory of several Member States, he must take the necessary measures to ensure that each of these establishments complies with the obligations laid down by the national law applicable;

(b) the controller is not established on the Member State's territory, but in a place where its national law applies by virtue of international public law;

(c) the controller is not established on Community territory and, for purposes of processing personal data makes use of equipment, automated or otherwise, situated on the territory of the said Member State, unless such equipment is used only for purposes of transit through the territory of the Community.

(注5) 検索エンジンのロボットは、Webページに記述されているリンクを辿ってサイトを巡回し、情報収集、インデキシングをおこなう。Webサーバの管理者やWebサイトの運営者は、自分たちが管理・運営するWebページをWeb検索エンジンに登録されたくない場合などに、ロボットを排除することができる。(Cyber Librarian「ロボット排除」から一部引用)

(注6)保護指令第7条(f)号の訳文を引用しておく。(ECOMプライバシー問題検討WG訳から引用)
第7条
加盟国は、個人データが以下の条件を満たす場合にのみ、処理されることを確保するものとする。
(略)
(f)管理者、データ開示の対象となる第三者、又はその他の当事者の合法的な利益のために、処理が必要である場合。但し、第1条1項に従って保護が要求されるデータ対象者の利益、基本的人権及び自由が上記利益に優先する場合はこの限りではない。

(注7) ECOMプライバシー問題検討WG訳から引用する。
第6条
1.加盟国は、個人データが以下の条件を満たすことを確保するものとする。
(a)公正かつ適法に処理されること。
(b)特定、明確、及び合法的な目的のために収集され、このような目的に反した方法で、処理されることのないこと。歴史、統計、又は科学的目的のための、データの処理は、加盟国が適切な保護条項を規定している限り、目的に反しているとは見なされないものとする。
(c)適切、妥当であること。そのデータが収集された目的、及び/又は、それが処理される目的に関して、過度でないこと。
(d)正確であること。必要な場合には、最新の情報を維持すること。データが収集された目的、又はそれが処理される目的に関して不正確又は不完全なデータが消去又は修正されることを確保するために、全ての合理的な手段が取られなければならない。
(e)データが収集された目的、又はそれが処理される目的のために必要なだけの期間、データの対象者の特定が可能な形式で保存すること。加盟国は、歴史、統計、又は科学的利用を目的として、個人データを長期間保存するために、適切な保護条項を規定するものとする。

2.管理者は、第1項の遵守を確保するものとする。

(注8)欧州連合基本権憲章の第8条の原文を挙げる。
Article 8
Protection of personal data
1. Everyone has the right to the protection of personal data concerning him or her.
2. Such data must be processed fairly for specified purposes and on the basis of the consent of the
person concerned or some other legitimate basis laid down by law. Everyone has the right of access to data which has been collected concerning him or her, and the right to have it rectified.

(筆者注9)ここで欧州議会の委員会における法案に対する修正意見、過程の表示・見方につき補足しておく。

〔規則等法案に対する修正内容の表示の見方〕

議会による修正では、規則案(drafts acts)に対する修正箇所は「太字のイタリック体(bold italics)」で強調される。「普通のイタリック体(italics)」による強調個所は、例えば文言上の明白な誤りや脱落があり修正を必要とするであろう規則案の部分に関する指示個所で、規則案の最終版で修正される個所である。この種類の提案された修正部分は欧州委員会等関係部との同意を前提とする。

法案の修正は行われなかったが、議会が修正したがっていた既存の法案における条項は「太字(bold)」で強調される。 議会が審議過程で指摘した削除事項はすべて[...]で示される。

なお、修正事由(justification)について、各修正個所に表記されている。

(筆者注10) アルブレヒト議員の最近の議会での活動はEUの公式サイトで確認できる。最近時のものでは7月3日の議会でのディベートは、欧州委員会の規則制定の役割の重要性も含め極めて興味深い内容であり、公式動画でも確認できるが、その「動画メッセージ」の内容を仮訳する。

なお、筆者が従来から主張しているとおり、議会事務局の最も重要な機能はディベート内容につき常に選挙民がチェックできるITシステムの構築である。20以上の国々の異なる原語翻訳システムをフルに機能させている議会事務局の努力に敬意を表す。

「緑グループ/欧州自由連盟を代表して意見を述べる。親愛なる欧州理事会議長(president)、欧州連合理事会、同胞議員、聴衆および本日ここに来ているおそらくそうであろう米国NSAや英国情報機関(British intelligence )の各位に訴えたい。

我々の政府や欧州大陸の国々は、米国の大規模な量の通信内容の諜報監視や基本的権利や保護原則の侵害はまったくけしからんと説明してきた。 むこうにいるそれらの人々に関しては、この欧州議会は法の支配を回復するという望みと基本的権利の敬意を運びこんだ。 今日のデジタル化・グローバル化している世界では、それらの人権価値の保護が強く情報技術にリンクされるため、プライバシーとデータ保護への権利が不可欠である。 世界中、特にヨーロッパ、米国およびラテンアメリカの主要な市民社会グループは、欧州議会が個人情報の保護を強化し、拘束力がある高い規格に同意するために他の国に圧力を加えるよう呼びかけてきた。 今、行動すべきときである。

私はマンフレード・ウェーバー議員(Manfred Weber)意見に同意する。我々は、強固なEU一般データ保護規則とEU保護指令の交渉を加速する必要がある。そして、米国という私たちのパートナー国に対しこれらの保護規格に同意することを要求する必要がある。 我々は、米国による基本的権利の大規模な侵害を停止させるとともに特に我々自身の加盟国の情報当局による侵害をも直ちに停止させるのを確実化する必要がある。緑グループのメンバーとして別の会派グループがスキャンダラスな情報活動に関する調査要求に同意したことは歓迎するが、しかしながら別会派が米国が市民や機関等に対するスパイ活動を止めることの保証なしに太平洋を挟んだ貿易合意交渉を認める点については、不適切でありまた無責任であると思う。

まず、最初に基準となる厳格な規定が必要であり、次に我々EUは協力しあわなければならない。

(筆者注11) 「COMMISSION DIRECTIVE 2005/58/EC of 21 September 2005」は、反応性物質としてbifenazate(殺虫剤「ビフェナゼート(bifeazate)」はヒドラジン骨格を有する殺虫剤、ハダニやサビダニに対し速効的な効果を示す)とmilbemectin(殺虫剤 ミルベメクチン。6 員環マクロライド骨格を有する殺虫剤。本剤は、ダニ、昆虫及び線虫の神経-筋接合部位の塩素イオンチャンネルに作用し、殺虫活性を示す。韓国、ニュージーランド、ブラジル等で農薬登録されている。日本では、1990 年11 月に茶を対象に初めて登録されており、原体ベースで年間3.7 トン(平成15 農薬年度)生産されている)を含む理事会指令(Council Directive91/414/EEC)を修正したもの。

(筆者注12) 欧州議会、欧州連合理事会(Council of European Union)における立法手続きを概観する。

1.EU法の種類

EU法は第一次法と第二次法に分類される。第一次法はEUを基礎付ける条約、第二次法は、条約に法的根拠をもち、そこから派生する法である。EU法あるいは派生法と呼ばれる。第二次法(以下、EU法)は適用範囲と法的拘束力の強弱によって、(1)規則(Regulation)、(2)指令(Directive)、(3)決定(Decision)、(4)勧告・意見(Recommendation/Opinion)の4種類が存在する。

(1)規則(Regulation):すべての加盟国を拘束し、直接適用性(採択されると加盟国内の批准手続を経ずに、そのまま国内法体系の一部となる)を有する。

(2)指令(Directive):指令の中で命じられた結果についてのみ、加盟国を拘束し、それを達成するための手段と方法は加盟国に任される。指令の国内法制化は、既存の法律がない場合には、新たに国内法を制定、追加、修正することでなされる。一方、加盟国の法の範囲内で、指令内容を達成できる場合には、措置を執る必要はない。加盟国の既存の法体系に適合した法制定が可能になる反面、規則に比べて履行確保が複雑・困難になる。

(3) 決定(Decision):特定の加盟国、企業、個人に対象を限定し、限定された対象に対しては直接に効力を有する。一般的法規というよりは、個別的かつ具体的内容を有する。

(4) 勧告・意見(Recommendation/Opinion):EU理事会及び欧州議会が行う見解表明で、通常は欧州委員会が原案を提案するもので、(1)~(3)とは異なり法的拘束力を持たない。

2.EU法の立法過程における決定手続

・通常、立法手続は次のような過程をとる。欧州委員会が欧州議会と欧州連合理事会に提案を提出する。その後、欧州議会で第一読会が開かれる。欧州議会の意見を受け、欧州連合理事会は欧州議会の意見を承認するか、しないかを決定する。

・承認しない場合は、欧州連合理事会は「共通の立場」を採択し、それを欧州議会に伝える。欧州議会では第二読会が開かれ、そこで承認、否決、修正が行われる。

・修正の場合は再度欧州連合理事会に伝えられ、そこで承認ないしは否決が行われる

(総務省世界情報通信事情:国別に見る「EU」から一部抜粋。なお、同資料では“Council of the European Union”を「EU理事会」と訳しているがこれは明らかに誤訳であり、本ブログでは修正した。立法機関たる欧州連合理事会のHPの解説で正確なところを確認されたい。また保護規則案に関するEUの立法審議専門サイトを読んでほしい。そこでは欧州理事会(European Council)は何等法案につき審議していない)

(筆者注13)“personalisation of services” とプライバシー侵害問題につき、次のような説明が分かりやすかろう。

「情報推薦などの個人化サービスを受けるためにユーザは個人情報を開示する必要がある。多くの個人情報を開示することで,さらに個人化されたサービスを受けることができる可能性があるが,一方で情報漏洩や情報流用などによりプライバシーが侵害される危険性も秘めている。(宮本 崇弘、竹内 亨、奥田剛、春本 要、有吉勇介、下條 真司「GrIP:プライバシとサービス品質のトレードオフを考慮した個人情報制御機構」日本データベース学会 Letters Vol.4, No.1 9から一部抜粋。

(筆者注14) 欧米におけるプライバシー問題の強い関心や規制・保護が論じられる中で基本となる「プライバシーの貨幣価値化」論文は極めて少ないし、書かれたレポートに対する意見も少ない。その中でCISO blogが興味深いレポート「The Monetization of Privacy – Birth of a “Trust Economy」を取り上げている。その内容の中からユーザー情報につき貨幣価値化できる企業は何をなすべきかに関する8項目を仮訳する。個人情報を取扱う事業者であれば極めて当然といえる内容であるが、このレベルでさえ遵守できない事業者が規模の大小を問わず多いことも内外では事実である。なお、2011年からSOLOMOがマーケテング手法として注目されているがこの問題についてはなおプライバシー面からの課題が残されている点を筆者として補足する。

①透明性を確保するー正直に消費者に向け自社は実際どのような事業を行っているかを正確に説明する。

②誰も全部読まない長くて冗長な利用規約(T&Cs)で本質的・重要な点を覆い隠さない。

③ 以下 略す











(筆者注15)立命館大学の安江則子教授が「3.EU リスボン条約における基本権の保護

――ECHR との関係を中心に―」
おいてリスボン条約、基本人権憲章、欧州人権条約等の位置づけについて説明されているので、一部抜粋引用する。なお、EU公式サイトへのリンクや正式条約名等は筆者の責任で行った。

「 EU は2000年末に,機関として遵守すべき基本権のリストを示した「基本権憲章(Charter of Fundamental Rights of the European Union:2010/C 83/02)」を採択した。この憲章は,2001年から始まった基本条約改正のためのコンベンション)での議論の結果,欧州憲法条約(2004年調印)に挿入され法的拘束力をもつことになっていた。ところが周知のとおり,憲法条約はフランスとオランダの国民投票で否決され,その後2007年の条約再交渉の結果,「EU条約およびEC 設立条約を改定するリスボン条約」Treaty of Lisbon Amending the Treaty on European Union and the Treaty Establishing the European Community,以下リスボン条約)が採択されている2)。リスボン条約において基本権憲章は,基本条約とは別個の文書として,法的拘束力をもつことが合意されている。さらに新たな条約において,EU が,機関として「欧州人権条約(ECHR, European Convention on the Protection of Human Rights:正式名は“Convention for the Protection of Human Rights and Fundamental Freedoms”)」加入する方針も明確にされた。2007年2月15日には,独立機関としてEU 基本的人権保護庁(FRA, European Union Agency for Fundamental Rights)が欧州連合理事会の決定に基づいて設立されている)。」 

なお、FRAの設置経緯等につき、欧州連合理事会のリリースに基づき筆者が独自に仮訳補足する。


・欧州連合理事会は、EU基本権庁の設置に関する理事会規則(COUNCIL REGULATION establishing a European Union Agency for Fundamental Rights)を採択した。

2003年12月欧州評議会(European Council)は1997年の規則に基づき設置した人種差別主義(Racism)および外国人嫌悪主義(Xenophobia)のモニタリング・センターの統治権限を拡大し、その権限をFRAに移行することに同意した。同庁の本部の事務所は引き続きオーストリアのウイーンに残る。

同庁の設置目的は、関係する国や地域内の機関、団体、官公庁等に対し、これら機関が基本的権利を完全に尊重し、それらの権能の範囲内で対策を実施したり行動の方針を定式化するとき、コミュニティ法に即してそれらを支援したり支持するために基本的権利に関連する支援と専門的情報を提供することである。


同庁は、これらの案件に対処しながら、基本的権利の状況の開発のときに客観的かつ信頼できて比較可能な情報を集め、また、尊重すべき点に関する失敗の原因、その結果および効果に関してこれら情報を分析するとともに、これらの手段についての優れた実践例を検証することになろう。

(筆者注16) 「枠組み決定」とは、欧州連合条約第6編に固有の法令形態であって、加盟国または欧州委員会が発議し、理事会の全会一致の議決で定められ、達成されるべき結果については、加盟国を拘束するが、形式や方法の選択は各加盟国に委ねられる(欧州連合条約第34条⑵⒝)。

ここで「枠組み決定」の法的側面につき補足する。国際平成大学の入稲福(いりなふく)智教授のEU法のHPの解説ら一部抜粋・引用した。なお、条約原文へのリンクは筆者の責任で行った。

「(b) 枠組み決定(framework decisions)

これは、国内法規・行政規則を調整する場合に制定される。その効力について、EU条約第34条第2項第b号は、EC条約第249条第3項(EC指令の効力に関する規定)と同じような表現を用い定めている。つまり、枠組み決定の目的に照らし、加盟国は国内法・政策を整備しなければならないが(加盟国はその目的に拘束される)、その方法や手段は加盟国の裁量に任されている。なお、EU条約第34条第2項第b号は、決定の 直接的効力 を明瞭に否認しており、この点で、指令に関するEC条約第249条第3項とは異なる(参照)。」

なお、枠組み決定に関し次の解説も分かりやすい。

(筆者注17) とりわけ英国では“administrative burdens”軽減化に向け官民で取り込んでいる。

その意義等について「ビジネス・イノベーション・技術改革省(BIS)」のサイト解説“Reducing administrative burdens” を見ておく。

「行政事務負担」とは、民会事業会社等ビジネスが他の手段による代替不可の法令を遵守するために負う行為をいう。通常一定の定められた様式のファイリング、記録の保存や要求された様式への回答としてなされる。その手続等の簡素化は、民間ビジネスひいては英国経済全般に対する節約効果に繋がる。.

(筆者注18)英国の1998 年データ保護法では、「データ管理者(data controller)」である組織・法人に対するデータ保護8原則の遵守義務、政府から独立した情報保護監督機関である情報コミッショナーに対しデータ管理者としての登録義務等を課している。さらに2000年3月以降、登録時に一律35ポンド納付が義務付けられていたが、同制度は2009年情報保護規則改正により2009年10月1日から事業者の「規模(従業員数が250人以上)」と「粗利益(turnover)2,590万ポンド(約38億730万円)以上」により従来どおりの35ポンドの納付額(Tier1)の場合に加え、500ポンド(約73,500円)納付の場合(Tier2)が追加され、2本建てに改正された。(公的機関については250人以上はTier2となる)。英国では新基準でも90%以上が35ポンドである。

参考までに同改正規則の原文を引用する。;

Amendment of regulation 7 of the Regulations

3. For regulation 7 of the Regulations (fees to accompany notification under section 18 of the Act) substitute—

“Fees to accompany notification under section 18 of the Act 7. For the purposes of section 18(5) of the Act the prescribed fee is—

(a) for a data controller in tier 1, £35; or

(b) for a data controller in tier 2, £500.

(筆者注19)欧州委員会の一般保護規則案の中でとりわけ重要な制定目的として57条以下で定める「一環性メカニズム(consistency mechanism)」という言葉につき、欧州委員会の司法担当委員サイトで詳しく説明している。この問題につき、規則化の背景や同メカニズムの基本原則、各国の保護監督機関(DPAs)とその支援機能を持つ「欧州データ保護委員会(European Data Protection Board:EDPB)」や欧州委員会との関係である。

この問題は、どういうわけかわが国ではほとんど解説されていない点であり、原資料にもとづき解説を試みる。EUサイトの解説内容はかなり抽象的であるが他に適切な解説文がないためあえて引用した。

・現行保護指令(95/46/EC)の下で、同じ企業活動でありながらEUの複数国で事業展開する事業者は異なる権限を持つ監督機関の異なる権限の下で活動せざるを得ないため、不確実性が極めて増していた。この問題が大きく問題視された例としてはGoogleのStreet View問題であった。各国のDPAsに対し未調整でかつばらばらの対応を行った。

規則案はこれまでの対応の問題を解決すべく一元性と一貫性をもった事業者の監督制度を確立させた。すなわち、第一に1つのDPAのみが、“One Stop Shop”(一連のサービスが1つの場所で提供可能な効率的ビジネス)会社に対して法的に拘束力を持つ決定を行う責任を持つ。

第二に、DPAs間における相互支援・協調活動(55条以下)を義務づけるとともに、EU全体にわたるEDPBによる明確な適用を保証する規則を定め、また欧州委員会の役割という一貫性を持ったメカニズムを創設した。

この一環性メカニズムには次の3つの原則がある。

①DPAsはEU全体への影響をもたない個々の事件のみ決定を行う。

②EU全体に影響を持つ問題についてはEDPBが決定を行う。

③欧州委員会はこの一環性メカニズムが確実の有効になるようバックネットとして行動する。

さらに、もしDPAの決定に対し、EDPBが本規則に正しい適用かどうかが極めて疑わしいと判断する場合のみ、欧州委員会はDPAに対し、規則案により最大12か月の処分停止を請求しうる。この決定は次の2つの特別な事情がある場合のみ認められる。

①DPAとEDPB間において立場の分岐内容の和解を試みる。

②特に問題点が域内市場に対する適切な機能として適用しうる手段を採択するためであること。

(筆者注20) EU指令”の “Recital 10”の原文を引用する。”

10. In Declaration 21 on the protection of personal data in the fields of judicial co-operation in criminal matters and police co-operation, annexed to the final act of the intergovernmental conference which adopted the Treaty of Lisbon, the Conference acknowledged that specific rules on the protection of personal data and the free movement of such data in the fields of judicial co-operation in criminal matters and police co-operation based on Article 16 of the Treaty on the Functioning of the European Union may prove necessary because of the specific nature of these fields.



********************************************************

Copyright © 2006-2013 福田平冶(Heiji Fukuda).All rights reserved. You may display or print the content for your use only.
You may not sell publish, distribute, re-transmit or otherwise provide access to the content of this document.

 

2013年7月3日水曜日

米国連邦FDAが違法なオンライン薬局に対し1,677の未承認ウェブサイトの閉鎖等国際的共同法執行措置を発動






去る6月27日、米国連邦保健福祉省・食料医薬品局(U.S.Food and Drug Administration:FDA)は6月18日から25日の間に実施した国際的な規制当局や捜査・法執行機関と共同して消費者に極めて重大な危険性をもたらす違法でありまた未承認の処方薬を販売する96,000以上のウェブサイトに対し、規制・監督機関の警告発布、提供物の押収および世界的規模で違法な医薬品約4,110万ドル(約39億9,900万円)相当に対する法執行活動(第Ⅵ次パンジア作戦:Operation Pangea Ⅵ)を行った旨リリースした。

 この情報はわが国では、唯一、ペンネーム(桜下街(おうかがい)ブログ「くすりなひと」がFDAのリリースやCBSニュースに基づき概要を解説している。

 また、これまでの世界的にみたパンジア作戦の取組みについて、わが国の一部専門ブログのみが取り上げている。しかし、筆者が見るにこれだけ国際的な規制・法執行活動について、どういうわけかわが国の規制監督機関である厚生労働省や捜査取締機関である警察庁の公式リリースは皆無である。(筆者注1)

 筆者が独自に調べた範囲では、鳴り物入りでスタートさせたわが国のインターネットによる医薬品販売の適正化ルールに関し、担当規制機関である厚生労働省医薬食品局総務課が主催する「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会(1回~11回)」の第9回会合(2013年5月16日)でやっと「資料3:インターネット上の監視強化について:検討課題」という資料が提示されている。要するに日本は担当行政機関の特定も含めこの問題はこれからなのである。

 さらに本ブログの執筆にあたりわが国のオンライン薬局特に海外からの輸入医薬品を扱うサイトの内容をつぶさに読んでみた。本文で具体的に紹介するが米国の場合と危険性はまったく変わらない。(筆者注2)

 今回のブログでは、FDAのリリースだけでなく国際的な共同作戦である「パンジア作戦」についても国際関係機関のデータを織り込んでまとめてみた。この問題に関するわが国の消費者保護のあり方を改めて考えるきっかけとしたい。 

 なお、筆者は医薬品問題の専門家ではない。消費者から見たICT世界の適性な発展を期待するが故の問題提起であり、わが国の関係者によるさらに具体的論議が高まることを祈る者である。

1.FDAのリリース要旨

前述したブログ「くすりなひと」が、FDAのリリースに基づき主要な事項は整理しているので参照されたい。ここでは、この問題が国際的な犯罪組織がバックにあるがゆえ手口の専門性やその健康面に極めて重大な悪影響を与えているかについて、FDAのリリース等に基づき補足する。

(1)「第Ⅵ次パンジア作戦」の米国の取組み

FDAの犯罪捜査局(Criminal Investigations)は、6月18日から6月25日の間にコロラド地区連邦検事局と共同し、1,677の違法な薬局ウェブサイトを押収(seized)、閉鎖(shut down)させた。

これらのウェブサイトの多くは一見“Canadian Pharmacies”(筆者注3)に偽者でありながら類似するもので犯罪組織ネットワークの一部として活動しているように見えた。これらのウェブサイトは、「有名ブランド名」や「FDA認可」を名乗った広告手段を用いて米国の消費者に医薬品を購入させるべく、その納得させるため、にせの免許証や認可証を画面上に表示した。

パンジア作戦で対象となる一部受け取った医薬品は、カナダからでなくまたブランド名でもなくFDAの認可も受けていなかった。また、これらのウェブサイトは、米国の消費者に対し米国の主要な小売業者と提携関係があるように信じさせるべく、その名前を詐称した。

現在、消費者が違法な押収ウェブサイトを識別しうるよう、FDA犯罪捜査局サイバー犯罪ユニットは禁止リストを表示した。

ここにいくつかの詐称例を挙げる。

・http://www.canadianhealthandcaremall.com/

・http://www.walgreens-store.com

・http://www.c-v-s-pharmacy.com

FDA犯罪捜査部長ジョン・ロス(John Roth)は、「違法なオンライン薬局は米国の消費者に潜在的に危険な製品を販売することでその健康を危機的状況に置く。これらは米国や海外の諸国による現下の戦いであり、FDAは刑事事件としての法執行や規制監督を続ける。また、FDAは消費者を保護するとともにこの戦いに参加する国際的なパートナー達と関係強化を図るためパンジア作戦に参画したことに満足している」と述べた。

全部で99カ国の法執行機関、税関、規制機関からなる「第Ⅵ次パンジア作戦」の目標は、違法な医薬品や医療機器メーカーやその販売業者を特定し、サプライチェーンからこれらを排除することである。

第Ⅵ次パンジア作戦において具体的な標的として違法なウェブサイトで販売された危険な医薬品例としては次のものがあげられる。

・AVANDARYL(Glimepiride およびRosiglitazone):FDAにより認可されている医薬品は「タイプ2」の糖尿病の治療用の用いられる一方で、体液貯留(fluid retention)による浮腫(edema)、心臓の悪化や心不全を引き起こすリスクが指摘されている。このため、AVANDARYLは認可された医療サービス機関で処方され、また薬物療法ガイドに即して潜在的危険性につき説明をもって認可を受けた薬局で配布されなければならない。(筆者注4)
・GENERIC CELEBREX:オンラインで販売される“GENERIC CELEBREX”はFDA認可医薬品ではない。FDAが認可する“GENERIC CELEBREX”(celecoxib:セレコキシブ)は骨関節炎(osteoarthritis)やリュウマチ様関節炎(rheumatoid arthritis)の兆候に対処するもので成人の激痛を緩和させるために使用される非ステロイド(non-steroidal)の抗炎症剤製品(anti-inflammatory product)である。

一定の長期使用の場合、消化管出血(gastrointestinal bleeding)、心臓発作(heart attack)または脳卒中(stroke)のような関係する潜在的な危険性を最小化するため、GENERIC CELEBREXはこれらの潜在的リスクにつき薬物療法ガイドに基づいた説明の上で配布されねばならない。

・Levitra Super ForceおよびViagra Super Force:Levutra(vardenafil:バルデナフィル)およびバイアグラ(sildeafil:シルデナフィル)は勃起障害(ED)のために使用するFDAにより認可された医薬品であるが、Levitra Super ForceおよびViagra Super ForceはFDAにより認可されておらず、早漏治療薬であるdapoxetine(ダポクセティン)を含むといわれている。FDAはダポクセティンの安全性や効能につき何等の決定を行っていない。一定の心臓に疾患を持つ人はバルデナフィルまたはシルデナフィルを含有するED薬を飲むべきでない。これらの医薬品による危険な薬物相互作用または重大な悪影響の潜在可能性としては「聴覚障害(loss of hearing)」や「視覚障害(loss of vision)」がある。

・Clozapine(クロザピン)(筆者注5):FDAが承認しており、重度な統合失調症(severe schizophrenia)の治療に使用されるが、潜在的に致命的な無顆粒球症(agranulocytosis)(筆者注6)や、重症化したり、生命に危険を及ぼす白血球数の低下をもたらす。

この危険性を最小化するためには、FDAが承認したクロザピンを処方された患者は彼らの白血球数を定期的にモニタリングするため登録しなくてはならない。

FDAはその他の連邦機関と共同作業にしておいて第6次国際インターネット行動週間(6th annual International Internet Week of Action:IIWA)において国際郵便サービス機関を通じて受け取った医薬品のスクリーニングを行った。

予備調査段階で明らかとなったことは、海外からの送られてきた例えば「性機能障害(antidepressants)」、「ホルモン補充療法(hormone replacement therapies)」、「睡眠導入」、その他勃起機能障害(treat erectile dysfunction)、高コレステロール、発作薬(seizures)などが米国の消費者に近づきつつあることを示した。

また、健康リスクに加えてこれらの薬局クレジットカード詐欺、成りすまし、コンピュータウィルスなどを含む非健康関連の危険性も消費者に引き起こす。 

FDAは専門サイト“BeSafeRx”を介した違法な薬局ウェブサイトの特定方法やどのようにして安全なオンライン薬局を見つけ出すかに関する情報を提供する。まずは“Know Your Online Pharmacy”を読むことである。

2.近年のパンジア作戦の概要と経緯

2012年3月、国際刑事警察機構(INTERPOL)と世界各国の製薬会社の合意に基づいて、医薬品犯罪プログラムが開設される。これは、インターポールの医薬品偽造・医薬品犯罪 (MPCPC)ユニットに属し、医薬品犯罪の防止、及び違法行為に関与する組織の実態の解明と解体を目的とする。
もう1つの重要な目的は、近年増加するインターネットを利用した医薬品の購入者に、偽造医薬品の危険性に対して注意を促すことである。

2012年に、世界100カ国で繰り広げられた「オペレーション・パンジア5」では、違法な医薬品をオンライン販売する犯罪組織を摘発することを目的とし、結果として逮捕件数が約80、死に至る危険性がある偽造医薬品の押収が375万点、総額1050万ドル相当であった。(2013.3.15 QLife Pro記事「偽造医薬品の撲滅へ インターポールと製薬企業が手を組む」から一部抜粋。2013年3月の第5次パンジア作戦の成果に関するINTAPOLのリリース文 (筆者注7)

3.医薬品業界の偽造医薬品に関する国際的およびわが国の取組み

(1) わが国の医薬品業界の偽造医薬品取締りの取組み

製薬業界は偽造医薬品の取締り強化を実効性を持たせる目的で米国に設置された「インターネット医薬品安全化センター(center for safe internet pharmacies: CSIP)」につき、国際製薬団体連合会(IFPMA) 米国研究製薬工業協会(PhRMA)欧州製薬団体連合会(EFPIA)および日本製薬工業協会(JPMA)の4 つの製薬団体は、世界の研究開発型製薬業界を代表し、偽造医薬品取引の対応における重要なステップとして、CSIP をはじめとする幅広い各方面での取り組みを支援した。

(2)わが国のオンライン薬局のウェブサイトで見る危険度、警告

最後に本ブログを執筆するに当り、改めてわが国のオンライン薬局の実態をよく読んでみた。ほんの一部の例ではあるが極めて危険さが浮かび上がってきた。

①わが国の「薬通販ベストケンコー」のバルデナフィルの販売画面

「バルデナフィルの副作用・注意事項に関して」部分を引用する。

「バルデナフィル(vardenafil)の一般に言われる副作用は下記の通りです。

バルデナフィルの一般的な副作用として、「顔のほてり」「目の充血」などがあります。その他に「軽い頭痛」などもございます。副作用の程度は軽く一時的なものです。」FDAが指摘するような視覚障害など危険性の指摘は皆無である。

②海外医薬品の通販サイト「くすりの宅配便」のレビトラ・ジェネリックの商品説明サイト

・副作用など危険性に関する説明文言は一切なし

③オンライン薬局 Japan RX comスーパーピーフォース(ダボキセチン/ダポクセティン)の説明サイト

・副作用など危険性に関する説明文言は一切なし

  *********************************************

(筆者注1)厚生労働省が医薬品の輸入に係るリスクに関し何も警告を鳴らしていないとは言っていない。例えば厚生労働省・医薬食品局・監視指導・麻薬対策課「個人輸入において注意すべき医薬品等について」を見ておく。

「下記製品については、有害事象の発生や偽造医薬品の可能性がありますので、個人輸入による安易な使用はお控えください。」という説明の後に海外の保健機関の具体的な警告内容を列挙している。しかし、このような警告を都度確認している消費者はいかほどいるであろうか。また、その説明内容はいかにも専門家向きである。

また、厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル」が参考になる。ただし、患者自身や家族が読むように丁寧に説明されている部分があるが、オンライン薬局で掲示されている医薬品名で検索するにはなお、工夫の余地が大である。FDAのくすりに関する総合専門サイト“Know Your Online Pharmacy”と比較されたい。

(筆者注2) 日本医師会総合政策研究機構(JMARI)調査レポート1999年11月8日号 伊原和人・天池麻由美「普及するインターネット・ビジネス①―インターネット薬局―」は約14年前とはいえ、今日の米国やわが国の現状を踏まえた問題点を先取りしたレポートといえる。

(筆者注3) )確かに筆者の 手元にも“Canadian Pharmacies”を名乗る胡散臭い下手な英語の売り込みメールが時々届く。完全に無視しているが、この手のものであろう。

(筆者注4)FDAは、 AVANDARYL(Glimepiride およびRosiglitazone)に関す専門家(内分泌科、医療専門家)や消費者向けの解説サイトを提供している。ただし、その内容は必ずしも平易とは思えない。

(筆者注5) Clozapine(クロザピン)についてWikipedia の解説を引用する。「クロザピン(Clozapine)は治療抵抗性統合失調症の治療薬であり、非定型抗精神病薬である。元来世界初の第二世代抗精神病薬といわれていて、長く使用されていた言語地域もあるようだ。現在では97ヶ国で承認・使用されている。日本ではクロザリルの名前でノバルティスファーマより発売されている。

しかし無顆粒球症などの副作用もあり、使用する際一週間に一回血中濃度を測定しなければ命が危険になる。」

これだけ危険性が伴う医薬品でありながら、オンライン薬局で販売されている。例えば、

「Japan RX.com」は「クロザピン (クロザリル ジェネリック) 錠」を販売しているが、「効能関連注意」を読んでも具体的な危険性指摘は皆無である。

(筆者注6) 無顆粒球症(agranulocytosis) とは、血液中の白血球のうち、体内に入った細菌を殺す重要な働きをする好中球(顆粒球)が著しく減ってしまい、細菌に対する抵抗力が弱くなった状態のことです。

無顆粒球症になると体内に入った細菌を殺すことができなくなるため、かぜのような症状として「突然の高熱」、「のどの痛み」などの感染に伴う症状がみられます。(2007年6月厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル:無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)」6ページ以下から一部抜粋)

(筆者注7) 2012年INTAPOLの第Ⅴ次パンジア作戦の動画解説参照

<********************************************************

Copyright © 2006-2013 福田平冶(Heiji Fukuda).All rights reserved. You may display or print the content for your use only.

You may not sell publish, distribute, re-transmit or otherwise provide access to the content of this document.





2013年6月27日木曜日

仏CNIL等がGoogleに対し今後3ヵ月以内にフランスの1978年情報保護法等遵守および制裁予告を通知









筆者は、フランスの個人情報保護監視機関である「情報処理および自由に関する国家委員会(La Commission nationale de l’informatique et des libertés:CNIL)」の2012年3月以降のEU加盟国を代表して行ったGoogleのプライバシー・ポリシー等に対する正式質問状やGoogleの回答内容に関して、2012年3月同10月で詳しく紹介してきた。

 その後につき、この問題は両者の見解の平行線をたどっているように見える。一方、「EU 指令第29条専門調査委員会(Article 29 Working Party)」(以下、「WP29」という)のうち6か国からなるEU特別調査委員会(Task Force)(以下「Task Force」という)メンバーでもあるCNILは、6月10日付けでGoogleに対し、「1978年 情報技術・データファイルおよび市民の自由権に関する法律(Loi n° 78-17 du 6 janvier 1978 relative à l'informatique, aux fichiers et aux libertés:Act N°78-17 of 6 January 1978 on Information Technology,Data Files and Civil Libertés )」(「1978年保護法」という)(筆者注1)今後3ヵ月以内に具体的な措置を求める旨公式文書による予告通知(2013-025)を行った。

 後記(筆者注5)で説明するとおり、この予告にしたがって手続きを行わないときは1978年保護法に基づく制裁がなされることになる。さらに特記すべきは、今回の制裁措置はフランスだけでなく、英国(ICO)(筆者注2)、ドイツ(ハンブルグ情報保護・自由委員会: Hamburg ischen Beauftragten für Datenschutz und Informationsfreiheit (HmbBfDI) 、イタリア(個人情報保護機関(Garante per la Protezione dei dati Personali:GPDP)(筆者注3)、オランダ(情報保護機関(Dutch DPA:College bescherming persoonsgegevens (CBP)、スペイン(個人情報保護庁(Agencia Española de Protección de Datos (AEPD)といった6か国の監視機関による国際協調の一環として行われている点である。

 これらのすべての国におけるGoogleに対する保護機関による制裁通知に係る法執行の内容を網羅するには、なお時間がかかる点もあり、今回はドイツ、スペインの取組みのみ詳しく取り上げることとし、その他の国については各監視機関のサイトで見た参考となるリリースの要旨やURLのみ紹介するにとどめる。

1.CNILの予告通知と制裁内容

(1)2012年2月から10月の間、WP29はEUの個人情報保護法に定める実用条件に合致しているかどうかにつきチェックする目的でGoogleの新プライバシー・ポリシーを調査した。2012年10月16日の公表した調査結果に基づき、WP29はGoogleに対し4ヵ月以内に勧告内容を実行に移すよう求めた。

この期限が切れた後でも、Googleは何等重要な保護法遵守に係る手段を講じていない。GoogleとCNILが主導したTask Force間の意見交換に引き続き、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペインおよび英国の保護機関(DPAs)はGoogleに対し、法執行行為に着手した。CNILがリードした前記調査において、Googleのポリシーでは個人が自分の個人情報がいかなる方法で使用されているかを知り得ないし、またその使用をコントロールできないということから「1978年保護法(2004年改正法)」(英語版)に違反することが確認された。

このような背景に基づき、 CNIL委員長イザベル・ファルク・ピエロタン(Isabelle Falque-Pierrotin)(筆者注4)は2013年6月10日付けで、次のようなGoogleヘの改善内容を公式に決定、公表した。(筆者注5)

①ユーザーが自身の個人情報の処理の理解が出来るよう特定かつ曖昧さのない「目的」を定義すること。

②ユーザーに対し、コントローラーが追跡する目的に関し、実行された処理フランス「1978年保護法」第5章 データコントローラー等の責任義務および個人の権利 第1節 データコントローラーの責任義務 第32条に定める法「適用」内容を通知すること。

③収集目的にとって必要な期間を超えない処理対象の個人情報の保持期間を明確化すること。

④ユーザーデータの潜在的な無制限な組合せにつき、法的根拠のない手続きを進めないこと。

⑤Googleの「ダブルクリック(Doubleclick)」(筆者注6)、 「アナリティクス(Analytics)」クッキー “+1 ボタン”、その他の訪問したページで利用可能なGoogleサービスの従順なユーザーデータに関し公正なデータ収集・処理を行うこと。

⑥ユーザーの端末に強力なクッキーを行う前にユーザーに通知し、同意を得ること。

本公式通知はGoogleが適用すべき具体的な手段を代用することを目的とするものではなく、むしろGoogleがビジネスモデルまたは革新的能力の妨げることなしに法律の諸原則の遵守させることを意図するものである。

もし、Googleが本公式通知が定めた期限までに遵守しないときは、CNLの特別委員会は1978年保護法違反の責任を問うべくGoogle社に対し、制裁措置を行う。

本制裁措置に関し、フランス以外のTask Force参加5ヵ国は次の国際協同行動に関する調査を実行する。

①スペイン:6月10日、スペインの情報保護法の主要規定違反を理由に制裁手続きに入った旨発表した。

②英国:Googleの新プライバシーポリシーが英国の「1998年保護法」の遵守問題を検討してきており、予備段階で明らかとなった問題点につき近々、Googleに対し確認書面を送る予定である。

③ドイツ:ハンブルグ委員会はGoogleに対し公開行政調査手続きを開始した。すなわち、Googleに対しドイツの保護法令の遵守するための適用手段を求める行政命令の先行手続きとなる行政手続法に基づく「公聴会」を開始した。

④オランダ:DPAはGoogleに関する法執行調査の一環として、予備調査段階で明らかとなった点に関する「第一次機密報告書」を発行し、その中でGoogleに対する質問事項を述べる予定である。制裁内容の判断については、詳細報告書を使用する予定である。

⑤イタリア:DPAは、5月末にGoogleに対する公開聴聞手続きを開催後、Googleからの追加的な詳細説明を待っている状態にあり、近々イタリアの制裁保護法の下で適用可能な法執行手続きを決定するため関係事項の調査を行う予定である。(筆者注7)

(2)今回のCNIL決定の結論部分

今回の正式決定の遵守期限内に、もしGoogle社が本通知に即した遵守手続を取ったときは、本手続きは終了したものとみなし、その旨の通知を送付する。他方、Google社が同社のプライバシー・ポリシーでカバーされるすべてのデータ処理にかかる正式通知内容を遵守しなかったときは「1978年保護法(2004年改正)」第7章第45条(筆者注8)に基づきCNL報告者(rapporteur)が指名され、CNIL特別委員会(la formation restreinte)による聴聞手続きを踏まえた制裁処分が行われる。

2.「ハンブルグ・データ・プライバシー・自由委員会」がまとめた29条委員会の取組みとTask Forceの懸念に基づく緊密な連携活動

今回のブログの原稿を作成する段階で各国の情報保護機関のリリース等を確認したが、フランスや英国を除くと今一明確な取組み姿勢が読み取れなかった。その中で「ハンブルグ・データ・プライバシー・自由委員会」のリリース「2013年4月2日、グーグルのプライバシー・ポリシーにつきEU特別調査委員会(Task Force)がEUレベルでの手続き内容から見た再精査を実施」は短い内容ではあるが、論点を明確に示していた。

そこで、その内容を仮訳しておく。

・「ハンブルグ・データ・プライバシー・自由委員会」は、このほど処理対象であるGoogleユーザの個人情報データに関するGoogle社の現行の実務慣行を再検討するというEU側の意思をGoogleに伝えた。 これらに一連の行動の背景は、2012年3月にGoogleによって実施された新しいプライバシー・ポリシーである。 それらはEU指令第29条専門調査委員会(以下「WP29」という)においてEUレベルとして集約化されたEU加盟国の国家データ保護当局によって述べられていた大きな懸念にもかかわらず、これを実施した点である。

・Googleは、Googleの数多くのサービスにおける各個人ユーザから包括的に情報を収集し、かつすべてのサービス横断的に特定の目的をもって無制限に収集したデータを評価する権利それ自体につき事実を認める。 これらの新しいグーグル・プライバシー規則によると、Googleが手広くそれらの影響を受けることができる人のプロフィールの創造への重要な貢献が方法においてユーザによって提供されたデータを意図的に評価することが可能となる。 特にGoogleが定める曖昧なガイドラインによっては、ユーザーは彼の「同意」の範囲と内容について自身のデータの処理結果を見通すのは完全に不可能といえる。

・事実、Googleにより大部分が無視されたWP29の勧告内容は、EU加盟国の情報保護監視機関にとって大きな懸念の源の1つである。 したがって、各国監視当局はそれぞれの国家の監督官庁が介入の可能性が与えられることになっている一定の手続きの連携方法につき合意した。 主導的立場をとるフランスの監督官庁(CNIL)とイタリアの監督官庁と並んで、オランダ、スペインとイギリスおよびハンブルクデータ・プライバシーおよび自由化委員会は、この共同推進手続きのために設立された特別調査委員会のメンバーになるであろう。

・ハンブルクデータ・プライバシーおよび自由委員会の代表ヨハン・カスパー(Johannes Caspar)は次のとおり述べた。

「フランスのCNILに詳細な分析は、事実Googleによるユーザのデータの処理に関する新しい規則(プライバシー・ポリシー)が正しく法的根拠に基づいているかどうかに関しては、29条委員会が過去数ヵ月に危惧を引き起こす過程の上で集約化された。

様々な国家の法令により認められた約款の評価基準に従って、Task Forceのメンバー国は、現在、これを見直すであろう。 データ保護への懸念が確認されれば、適切な監督施策が個々の加盟国で実施されうるということである。」

3.スペインおけるGoogle問題

わが国では、スペインの情報保護法制度に関する詳細な解説は皆無といってよい。また、知られていないがEU加盟国中、厳格な保護規制国でもある。

時間の関係で限りがあるが、筆者が調べた範囲で解説を試みる。なお、参考としてスペインの情報保護法制度につき正確にリンクが出来ている米国の人権擁護NPOであるEPIC(Electronic Privacy Information Center)等のサイト情報を適宜引用しておく。

(1)スペインの情報保護法制の基礎知識

A. スペイン個人情報保護庁(Agencia Española de Protección de Datos (AEPD):Spanish Data Protection Agency)

8頁の英文のブックレット“Spanish Data Protection Agency”がある。個人情報保護にかかる法令の遵守状況を監視する法執行機関で、行政機関から完全な独立性をもつ政府機関である。その主要部分を仮訳する(リンクは筆者の責任で行った)。

・AEPDは1993年3月26日の国王令第428号(Royal Decree 428/1993)により設立され、個人情報保護法たる「1999年Organic 法(法律第15号)( Ley Orgánica de Protección de Datos de Carácter Personal:LOPD)」6編35条(Artículo 35 Naturaleza y régimen jurídico :Data Protection Agency Article 35. Nature and legal status)に基づき改正がなされた。

この改正は、EU保護指令たるDirective95/46/ECに基づき行われたものである。 政府機関(AEPD)は「1978年スペイン憲法」18条「名誉とスペイン国民の個人および家族のプライバシーを保護するために情報の使用を制限するものとする。裁判所命令がある場合を除き郵便および通信の機密は保護される。これらの権利を保証するため、本法は個人情報の使用を制限する」という文脈において創設された。

Section 18

(1) The right to honour, to personal and family privacy and to the own image is  guaranteed.

(2) The home is inviolable. No entry or search may be made without the consent of the householder or a legal warrant, except in cases of flagrante delicto.

(3) Secrecy of communications is guaranteed, particularly regarding postal, telegraphic and telephonic communications, except in the event of a court order.

(4) The law shall restrict the use of data processing in order to guarantee the honour and personal and family privacy of citizens and the full exercise of their rights.

B.スペインの情報保護に関する参考検索データ

AEPDの保護法令・決定等検索専門サイト(英文版)

・AEPDの「ORGANIC LAW 15/1999 of 13 December on the Protection of Personal Data」の立法経緯および国王令の全文検索サイト

C. 欧州委員会のEUの加盟国の保護機関向けのデータ「加盟国の情報保護法」のスペイン:ORGANIC LAW 15/1999 of 13 December on the Protection of Personal Data

D. 米国プライバシー擁護NPO団体EPICがまとめた「Privacy and Human Rights Report 2006(国別)」の中でスペインの個人情報保護体制に関し詳しく解説するとともに、基本的に参照すべきURLが明記されている。

(2)スペイン憲法裁判所(Tribunal Constitucional:TC)とAEPDの決定の意義

欧州大学院(EUI)(筆者注9)の博士研究員Cristina Blasi CasagranおよびIT・情報保護専門弁護士Eduard Blasi Casagranの共著小論文「Google’s obligation to de-index Constitutional court decisions published in the Spanish Official Journal」(全7頁)がよくまとまっている。導入部分を仮訳する。

・この点で、Googleに対する訴訟数に関する限り、スペインはEU加盟国中多い国の1つである。スペイン情報保護庁(AEPD)は、憲法裁判所が極めて首尾よく行ってきたのと同様に、スペイン法およびEU法の両者が定める情報主体のアクセス権、削除権、訂正権、異議申立権につき法的な執行力を保証してきた。
・しかしながら、AEPDには、常にスペインの官報で発行されるスペイン憲法裁判所の判決の索引に関して悩みの種があった。

・それらの裁判事件に関して、AEPDは常に憲法裁判所(AEPDでなく)のみがGoogle Indexからそのような情報を削除できるか否かを決める唯一かつ十分な権限を持つ機関であると考えていた。 驚いたことに、この解釈は2012年3月31日AEPDの論証(R/00645/2012)において変更された。 すなわち、初めてAEPD自身は、Googleに異議を唱える法的資格(とりわけGoogleにより「インデックス削除(de-indexed)」されたA)憲法裁判所判およびB)官報において宣言された情報に関し)を有する旨の決定を下したのである。

・本稿は、以下の2つの部分でこの決定内容を分析する。まず最初に、AEPDがインデックス削除情報に対し関与してきた従来の事件内容を示す。第2に、憲法裁判所の判決で示された反対する権利の法執行面の制約と、AEPD決定がいかなる形で従来のスペインの判例法において変化を引き起こしたかを論じる。

(3)今回のGoogleの新プライバシー・ポリシーに対する制裁内容

AEPDは、2012年に導入されたGoogleのプライバシー・ポリシーにつき調査した後にサーチエンジン、Gmail、Google+ソーシャルネットワーキングプラットホーム、およびユーチューブを含むその他のサービスを横断的にユーザの活動を追跡するのを可能にしたと述べた。

これを受け、スペインAEPDは6月10日、5つの重大な保護法違反を理由とする制裁手続きを立ち上げた。AEPDは、1つの軽微な違反に対し最高40万ユーロ(約5,080万円)の罰金刑に相当する違反の事実証拠と同様に、各違反行為に対し最高30万ユーロ(約3,810万円)をもって罰金を科する事実を明らかにした。

            *****************************************************

(筆者注1)
“Loi n° 78-17 du 6 janvier 1978 relative à l'informatique, aux fichiers et aux libertés”の訳語について改めて考えたい。というのはわが国の専門家による訳語が内容的にみて正確性を伴っていない点があるからである。

確かに仏文科の学生なら「1978年情報処理・データおよび自由に関する法律」という訳語で合格しよう。しかし、ここで問われているのは立法時のコンテンツに基づく訳語であり、時として意訳となるかも知れないが、この場合、立法者の考えを的確に反映した一定範囲での意訳は許されると思う。

その意味で、筆者はフランス法の政府公式サイト“Legifrance gouv.france.”サイトCNILの法注釈サイトで同法の原文および注釈(Texte annoté)を再度読んでみた。CNILサイトの英訳が「情報技術・データファイルおよび市民の自由権に関する法律」としている背景が理解できよう。仮訳する。

〔第1条注釈〕

情報技術(IT)は、すべての市民のためのサービスである必要がある。その開発は、国際的な協力の枠組みの中で行われなければならない。情報技術は、人間のアイデンティティ(自分は何者かという自己同一性)、人間としての権利、プライバシーまたは個人や公共の自由権を損なってはならない。

〔第2条注釈〕一部抜粋

本法律は、個人情報ならびに個人情報の非自動化処理の処理と同様な自動処理またはコントローラーが行うが第5条に定める条件を満たす純粋に個人的な処理の場合を除き、データ・ファイルに含むことを意図した処理に適用される。

(筆者2) 英国ICOのGoogleに対する制裁措置は遅れているわけではない。筆者が独自に調査した結果では、6月21日付けで「Further action for Google over Wi-Fi data collection」という罰金制裁措置を行う代わりにGoogeの専用車に保持されている個人情報の35日以内の完全削除を命じる「法執行通知」を発した旨リリースした(通知の原本参照)。この問題は、ICOがイギリス国内のGoogleのストリートView車から収集したペイロードデータ(伝送されるパケットのヘッダー部を除いたデータの本体)の収集を行い、さらにその結果ファイルを保持、Google本社に供給したという問題である。(詳細は、英国ローファーム・ブログ:Out-Law「Google escapes fine from ICO over Street View data collection and retention failings」参照)

ICO法執行部門代表であるスティーブン・エッカスリー(Steve Eckersley )は、以下のとおりコメントした。

「本日のICO法執行通知はICOが従来から取ってきた行動を強化する、すなわち35日以内に2012年に特定されたグーグル撮影車に残っているペイロードデータを削除するとともに、さらの何か一層のディスクが見つけられるかどうかを直ちにICOに通知するというGoogleの法的必要条件を課すものである。仮にGoogleが本通知を遵守しないときは、法廷侮辱罪(contempt of court)とみなすことになる」。(法廷侮辱罪は刑事罰の対象)。

なお、2013年4月に ハンブルグ情報保護・自由委員会の制裁実施はGoogleに対し、2008年から2010年の間にグーグル撮影専用車が公開WiFiネットワークを介して収集したEメールやパスワードの保存行為は、ドイツ保護法違反であるという理由により行われた。その他のEU加盟国の制裁内容については、IAPP(International Association of Privacy Professionals)の解説記事参照。

(筆者注3)イタリアGPDPは、6月20日に他のEU加盟国5か国とともにGoogleに対する追加調査を行う旨リリースした。その要旨を一部仮訳する。

「GPDPは2013年4月に米国企業であるGoogleに対しイタリアの個人情報保護法の遵守状況の調査のため引き続きの行動を行った。米国カリフォルニア州マウンテン・ヴューに本部を持つGoogleに対し、イタリア国民のユーザーのいかなる個人情報の保有しているか、とりわけGoogleが保有する個人情報の内容および本人の同意につき、より拡大しより正確な範囲で調査を行った。加えてGGPDPが適切と思われる追加的証拠の調査を行い、もしそれらが不適切と推定されるときは実務慣行的として認めるかまたは制裁の対象になる。

今年の4月のGPDPのリリース(筆者注9 参照)を思い出してほしい」

(筆者注4) Isabelle FALQUE-PIERROTINは、国立行政学院(ENA)の卒業後、国務院(Conseil d'État)の部長職、2009年2月にCNILの副委員長に任命、2011年9月に委員長に指名された。対外活動にも積極的である。例えば、2012年5月8日 開催「 IT FOR BUSINESS FORUM 2012」のゲスト・スピーカー、2012年12月14日 TV番組BMF Business「le 20h30」のインタヴュー等は理論家としての面白い発言がうかがえる。

(筆者注5) フランス個人情報保護法の特色は、独立行政委員会( autorité administrative  indépendante )であるCNIL(情報処理および自由に関する国家委員会)に、強力な規制権限を認める点にある。1978 年法は、CNIL が独立行政委員会であることを明記し(11 条)、委員はその権限行使に当たり、いかなる機関の指揮も受けないと定める(21 条1項)。

・CNIL は、以下の委員(計17 名)で構成される(13 条Ⅰ)。いずれも任期5年で再任が可能である(13 条Ⅱ)。委員は、委員会が認めた支障がある場合を除き、解任されない(13条Ⅱ)。なお、2009 年2月4日に、新委員が、前任者の任期切れとともに、新たに任命されている。

ⅰ)議会上院(le Sénat)、下院(L’Assemblée nationale)各2名

ⅱ)経済・社会・環境評議会(Conseil économique, social et environnemental )の委員2名

ⅲ)コンセイユ・デタ(国務院:Conseil d'État)の現職又は元裁判官2名

ⅳ)破毀院( Cour de cassation )の現職又は元裁判官2名

ⅴ)会計院( Cour des comptes ) の現職又は元裁判官2名

ⅵ)有識者15 名上下院議院各

(中略)

(2)義務違反行為に対する制裁権限

本法の定めに反する行為は、刑事罰の対象となるほか(50 条、51 条)、以下のようなCNILによる制裁の対象となる。

(2)-1 通常の制裁

ⅰ)警告(45 条Ⅰ)

ⅱ)処理中止の指示(45 条Ⅱ)

ⅲ)指示に従わない情報処理責任者に対する制裁として、

(a)過料(45 条Ⅰ①)。過料額は、15 万ユーロ(約1,900万円)あるいは30 万ユーロ(約3,800万円)以下、あるいは、30 万ユーロを上限とした総売上額の最大5%(47 条)

(b)届出の対象となる処理の中止命令(45 条Ⅰ②)

(c)CNIL による許可(前述2(1)①(1)-2-2)がなされている場合は、その取消し(45 条Ⅰ)

(消費者庁「諸外国等における個人情報保護制度の実態調査に関する検討委員会・報告書(平成20年度)」(2)フランスの解説文から一部抜粋(正式名や内容の見直し、リンクおよび円換算等は筆者の責任で行った)

(筆者注6):Googleの“DoubleClick”とは、デジタル広告掲載を包括的に強化すべく世界中のデジタル広告の購入者、作成者、販売者を対象に、デジタル広告の作成、取引、管理をサボートする広告技術プラットフォームをいう。

(筆者注7 )イタリアGPDPの2013年4月2日付けリリース要旨(仮訳)

「GPDPは、他の加盟国5カ国(フランス、ドイツ、オランダ、スペイン、英国)とWP29・特別委員会(intrapresa dalla task force)を組成し、加盟27カ国が2012年3月から10月の間に行ったGoogleの新プライバシー・ポリシーがEU保護指令(95/46/EC)に即しているか等を解析した。とりわけ、GmailとYouTubeやGoogle Maps間の無制限の個人情報の結合につき調査した。

この調査結果は2012年10月26日に公表し、各国の保護機関(DPAs)はGoogle社に対し、執行力を持つ立法の内容に即して必要な手続きといえるいくつかの変更を4ヵ月以内に行うよう促した。

この4ヵ月間の調査の終了後、Google社の代表が2013年3月19日に特別委員会を訪問し会合を開いたが、Google社が前向きに取組むと述べていたにもかかわらず改定は行われなかった。このため6か国のDPAsは緊密な協調関係を維持しつつ、更なる別途の公的な優先手続きを取ることとした。」

(筆者注8)フランス1978年個人情報保護法の原文(英語版)の該当条文(第7章第45条)原文を抜粋しておく。

CHAPTER VII: SANCTIONS PRONOUNCED BY THE SELECT COMMITTEE OF THE “COMMISSION NATIONALE DE L’INFORMATIQUE ET DES LIBERTÉS”

Article 45

I. – The Select Committee (“formation restreinte”) of the Commission Nationale de l’Informatique et des Libertés may, after due hearing of all parties, issue a warning to a data controller failing to comply with the obligations of this Act. Such warning shall be regarded as a sanction.

The Chairman of the Commission may also serve a formal notice to comply on said data controller to cease the non-compliance within a given deadline. In case of urgency, this deadline may be limited to five days.

If the data controller complies with the notice served, the Chairman of the Commission shall pronounce the procedure to be closed.

Should the data controller fail to comply with the notice served, the Select Committee may pronounce the following sanctions, after due hearing of the parties:

1° Financial penalty, under the conditions provided in Article 47 (amount and collection of a fine), except in

cases where the processing is carried out by the State;

2° Injunction to cease the processing, where applicable under the provisions of Article 22 (notification), or a withdrawal of the authorisation given in application of Article 25.

(筆者注9) 欧州大学院( European University Institute, EUI、伊: Istituto Universitario Europeo, IUE)は、欧州共同体加盟国がヨーロッパ社会の展望について、文化的、科学的な発展に寄与するために設立した、大学院生および博士研究員による国際研究機関。イタリアのフィレンツェに設置されている。EUIは法令により政府間機関とされている。


********************************************************

Copyright © 2006-2013 福田平冶(Heiji Fukuda).All rights reserved. You may display or print the content for your use only.

You may not sell publish, distribute, re-transmit or otherwise provide access to the content of this document.





2013年6月20日木曜日

米国IC3とFBIが最近時の3種類のサイバー詐欺手口情報を開示










6月19日、FBIとIC3は3種類のサイバー詐欺の手口に関する警告を発した。


(1)電信送金(筆者注1)会社のテクニカル・サポートと称する電信送金アカウント情報の詐取手口、(2)未成年の時期に犯しかつ封印がなされたといった不正確な大量の逮捕歴のある被害者の顔写真(mug shot)情報をウェブ上に掲示、その削除の代替として正しい運転免許証、裁判歴等を求める個人情報の詐欺手口、(3)スカイプの短縮URL(筆者注2)やIM プラットホーム(筆者注3)を受け取るユーザーは“Liftoh”(筆者注4)と呼ぶ新しいトロイの木馬に要注意、という内容である。


 今回のブログは、各手口の概要を仮訳するとともに補足説明を行う。

1.電信送金会社テクニカル・サポートを名乗る電話による被害者のPCをリモートで操作すべく偽ウェブサイトへ誘導

・IC3に電信送金会社(wire transfer company)のテクニカル・サポートと名乗る個人から詐欺的電話が事業会社にかかってきた旨の苦情の届出があった。1社の苦情例では被害会社の「発信者ID(caller ID)」が電信送金会社の画面上に表示された。電話をかけてきた者(callers)は被害者に対し、callerがリモートで被害者のPCにアクセスすべくアプリーケーションを起動させるため特定にウェブサイトの接続するよう指示した。

・一度、リモートのアクセスが可能となると、犠牲者は自身の電信送金プログラムを開き、アカウントにログインするよう指示した。その結果、callersは犠牲者のシステムをアップデートできた。

さらに、被害者はアップデートによる干渉を回避するためモニター画面を切るように指示された。

・その後に犠牲者は、プリペイド・デビット・カード会社“NetSpend”6/20(23)アカウントへのアクセスであることが判明した。

・また、その他の被害者の場合、callerがいったん遠隔アクセス権を得ると自身のコンピュータに何かがダウンロードされていることに気がついた。疑わしく感じた被害者は直ちにPCをオフにした。しかし、後日、被害者は自分の口座からcallersがプリペイド・クレジット・カードで950ドル(約9万円)を運び出したことが判明した。

・さらに、別の被害者は詐欺的電信送金が各州や個人宛に行われたとIC3に報告したが、callerは実際にはいかなる電信送金も行われていないと被害者を意図的に安心させたという。

2.ウェブサイトにいい加減な逮捕歴のある被害者の顔写真(mug shot)情報を掲示のうえ脅迫

・ 20の異なるウェブサイトが同じ手口で未成年時の前科者等にいい加減な写真等をサイト上に公開のうえ個人ID情報や運転免許証のコピーの提示を脅迫する手口に関する数百の苦情申立がIC3に出された。

・何人かの被害者は、逮捕時に未成年(18歳未満)であり、その記録は封印(筆者注5)されたものであった。したがって、この情報は広く一般人が利用すべきでないものであると主張した。またその他のものはサイト上に掲示された情報は不正確であるか、露骨な内容であったと述べた。

・顔写真(mug shot)の削除を要求する被害者は運転免許証、裁判記録よその他個人識別情報のコピーを提供せねばならなかった。しか氏それらの情報の提供は成りすまし詐欺のリスクをもたらす。

・被害者の中には顔写真をウェブ上から削除するために費用を負担して者もあったが、実際には削除はおこなわれなかった。仮に削除されても再び被害者の顔写真が類似のウェブ上に掲示された。

・仮に、被害者が違法な行為としてウェブサイトを法執行機関等に報告するというと、ウェブサイトの所有者は犠牲者に対しより被害者にとってダメージの大きな情報を徐々に広げるといって脅した。

3.攻撃者はスカイプやその他のIMアプリを使用してトロイの木馬“Liftoh”を感染

・スカイプのインスタントメッセージや同種のIMプラットフォームで短縮URLを受け取るユーザーは“Liftoh”と呼ばれるとロイの木馬に用心深くあるべきである。シマンテック研究員のドリゴ・カルボ(Rodrigo Calvo)は、シマンテックレポート(筆者注6)で“Liftoh”ラテンアメリカで感染していると述べている。

・被害者がいったん標的になるとURLを含むスペイン語のメッセージを受け取る。このメッセージはまるでスカイプのコンタクトリストの写真にリンクする誰かから受信しているがごとくに見える。もし、クリックするとユーザを“Liftoh”を含む武器化した圧縮ファイルを起動させる“4shared.com” に再度仕向ける。その結果、木馬は追加してマルウェアをダウンロードできる。

・シマンテックは、違法なURLは、17万回以上クリックされていると指摘している。

**************************************************************

(筆者注1) 電信送金( wire transfer/funds transfer )とは、一定の資金を受取人( beneficiary person〔自然人および法人〕)が別の金融機関で利用しうることを目的とする、送金人(originator person〔自然人および法人〕)のために、金融機関を通じて電子的手段で行われるあらゆる取引を指す。送金人と受取人は同一人である場合も含む。 (筆者ブログ参照)

(筆者注2) 「短縮URL(shortended URL)」とは正規の長いURLを短縮して送信するもので、各検索サイトなどが変換サービスを提供している。例えば、長いURL "http://en.wikipedia.org/wiki/URL_shortening" を次のように短縮する "http://bit.ly/urlwiki", "http://tinyurl.com/urlwiki", "http://is.gd/urlwiki" or "http://goo.gl/Gmzqv". This is especially convenient for messaging technologies such as Twitter and Identi.ca which severely limit the number of characters that may be used in a message.(Wikipedia解説から一部抜粋)

(筆者注3) インスタント・メッセンジャー(Instant Messenger :IM、IMクライアント)とは、コンピュータネットワークを通じてリアルタイムコミュニケーションを実現するアプリケーション。接続中のユーザーを確認し、ユーザー間でリアルタイムに短いメッセージをやりとりすることができる。近年ではファイル送受信機能や音声通話機能、さらにはビデオチャット機能などの搭載が進んでいる。(Wikipedia 解説から一部抜粋)

(筆者注4) 「Downloader.Liftoh は、侵入先のコンピュータに脅威をダウンロードするトロイの木馬です。」発見日: 2013 年 5 月 3 日 シマンテックのリリースから引用

(筆者注5) カリフォルニア州オレンジ郡最高裁判所の青少年の前科記録の抹消手続き、およびローファームのkatiewalshlaw.comhttp://www.katiewalshlaw.com/juvenile-law/sealing-record.htmlの解説文を仮訳する。
○青少年の犯罪記録の抹消手続き

あなたの18歳未満に犯した青少年時代の犯罪記録はあなたの前科として記録に残る。 あなたは18回目の誕生日現在、あなたはあなたの少年時期の犯罪記録の封印をさせると青少年裁判所に申請するのが的確である。あなたの犯罪記録がいったん封印されるといかなる者もそれらへのアクセスを行うことは不可となる。さらに、犯罪記録は封印の日付から5年後に完全に抹消される。記録の封印に関する情報と様式文書はオレンジ郡保護観察部のサイトから利用可能である。

ただし、一定の重大犯罪(謀殺(murder)、放火(arson)、強盗(robbery)、凶器を用いた暴行(assault with a deadly weapon)、一定の銃使用(certain gun charges,)、カージャック)は一般的に封印できない。多くの州では、後日の成年となった後の逮捕や有罪判決が出たときは抹消申請は拒否される。

なお、より各州共通で専門的な「青少年裁判記録の封印」の説明は“NOLO”グループのブログを参照されたい。

(筆者注6)シマンテックレポート「Downloader.Liftoh は W32.Phopifas の類縁か(Downloader.Liftoh Cousin to W32.Phopifas?)」 は日本語で詳しく解説されている。



********************************************************

Copyright © 2006-2013 福田平冶(Heiji Fukuda).All rights reserved. You may display or print the content for your use only.

You may not sell publish, distribute, re-transmit or otherwise provide access to the content of this document.

2013年5月26日日曜日

米国アラバマ大研究者がウィルス感染モバイル端末を一斉に機能停止させるサイバー攻撃手法を発表









5月16日に、米国アラバマ大学バーミングハム校コンピュータ情報科学学部の“SECuRE and Trustworthy computing Lab :SECRETLab”は、5月10日に中国杭州で開催した国際的なシンポジューム「第8回情報、コンピュータと通信のセキュリティ・シンポジューム(8th Association for Computing Machinery (ACM)Symposium on Information,Computer and Communications Security:ASIACCS)」(筆者注1)において「検出が困難なコマンドとモバイル端末間のコントロールに関する検出可能チャネル(Sensing-Enabled Channels for Hard-to-Detect Command and Control of Mobile Devices)」と題する報告(筆者注2)を行った旨報じた。今回は、同リリースの概要等を紹介する。

 この問題を取り上げられた背景には、急速に利用拡大が図られているモバイル端末に解するサイバー脅威問題を冷静に解析した研究者の探求心に加え、筆者が従来から問題視する最近時の米国の政治、軍、情報機関、法執行機関だけでなくアカデミック分野によるサイバー脅威問題の取り組みがある。


 特に今回取り上げたテーマに関しては、バングラディッシュ出身の研究者や従来対立する関係があるとされる米国の中国系の研究者も含む共同研究に基づく成果として国際学会で発表・報告された点に注目したい。



1.研究成果の概要

アラバマ大学の“UABSECuRE and Truthworthy:SECRET”コンピューテイング研究室と同大学“UAB Security and Privacy in Emerging computing and networking Systems:SPIES”は次のテーマにつき共同研究を行った。

同研究室の指導教官であるラジブ・ハサン助教授(Ragib Hasan ph.D.,assistant professor of computing and sciences)は「一般大衆はメールとインターネットの利用時のみがウィルスに感染すると考えており、アリーナやスターバックスに行くときあなた方はそこに流れる音楽に隠されたメッセージがあると予想しないので、このことは極めて大きなパラダイム・シフト(筆者注3)である。我々は伝統的な通信チャネルの安全性の確保に多くの努力を払う。しかし、悪者が交信時に予測しない隠れた方法を使用するときは、その検出は困難または不可能である。UABの研究チームは混雑する廊下でモバイル端末から55フィート(約1.65m)はなれた箇所から流れた音楽を使用して端末に隠されたマルウェアを機能させる引き金となりうることを実証した。また、音楽ビデオを使って、テレビ、コンピュータ用モニター、天井の照明、サブウーファーの振動音や磁場といった様々なツールを用いて各距離を変えて行い、引き金となりうることの検証に成功した。

SPIES研究グループの部長で「情報信頼性および共同フォレンジックス研究センター(Center for Information Assurance and Joint Forensics Research CIA/JFR)」の助教授であるニテッシュ・サキセナ(Nitesh Saxena)は「我々は、結局これらの検出可能なチャネルが大規模なウィルス攻撃の引き金となりうる短いメッセージが使用可能であること明らかにした。比較的容易にこのような引き金を起こすに使用される伝統的なネットワークコミュニケーションを検出することが出来る一方で、現在そのような検出手法の早道があるとは思えない」と述べている。

これら研究者はわずかラップトップやパソコンに使用可能な「5bits/1秒」の小さな帯域のみでマルウェア起動の引き金とすることが出来た。

ASIACCSでの発表に関し、博士課程学生でSECRET大学院生助手シャムス・ザヲード(Shams Zawoad)は「この種の攻撃は、現在は高度に洗練されていて構築は難しいが、技術の向上に伴い、将来ますます容易になるであろう。我々はこれらのサイバー攻撃が拡がる前に防御策を構築する必要があり、常に一歩先行した防御技術を開発する必要がある」と述べている。

本研究レポートは、SPIESの最近時の博士課程卒業生でザヲードの研究仲間である大学院生ダスティン・ラインハート(Dustin Rinehart)、現在「セキュリティとプライバシーに関する学際研究センター( Center for Interdisciplinary Studies in Security and Privacy(CRISSP)」に所属するツィポラ・ハルビィ(Tzipora Halevi)により共同執筆された。



2.本報告の意義

本報告書は米国の関係メディアでも取り上げられている。時宜を得た研究であることはいうまでもないが、米国の大学は言うまでもなくR&Dは得意である。特に前述したとおり「サイバー攻撃対策」はまさに国を挙げての政策課題である。

○アラバマ大学のフォレンジックスのビジネス起業化の意義

同大学は官民協力の一環として同大学はサイバー攻撃検出専門の情報会社“Malcovery Security LLC”を2013年3月12日に立ち上げた。同社の資金面のスポンサーであり、また顧客でもあるバンクオブアメリカ、VISA、facebook、ebayである。

同社の特徴について詳しくはHPで確認されたいが、筆者にとって興味深い企業である。

①Malcoveryは、緊急性の高いサイバー攻撃のソースと性格を特定するとともに数百万といわれる今後のサーバー脅威の角度を解析するための特許を持つフォレンジックス技術を駆使する。

②HPの説明の中で“Market Position”の部分が本音で面白いので引用する。

「Malcovery社は、既存のフィッシング詐欺、スパムおよびマルウェア対策の大部分の兆候(symptoms)を扱うだけであるが、サイバー犯罪攻撃の‘ルート・ソース'周辺の即実施可能な情報を提供することによって、セキュリティ市場の重要な空白を埋める。

本社は、サイバー攻撃のソースと本質を特定するために‘ビッグ・データ'分析法(筆者注4)を使用するクラウド・コンピューティング・ベース(SaaS)のセキュリティ解決方法を提供する。本社は攻撃の新柄を特定して、最優先させるために何百万ものサイバー攻撃のベクトルを分析できる排他的に認可され、特許をもち新案特許出願中のサイバーフォレンジックス技術を保有する。 この即実施可能なサイバーに関する情報は、ユーザが最も有害な脅威と戦うために資源保護に焦点を合わせることを可能にする」


(筆者注1) 「 ACM 情報、コンピュータ、通信セキュリティ・シンポジウム(2013 ACM Symposium on Information, Computer and Communications Security (ASIACCS’2013)」は、計算機科学の分野で世界最大の学会であるACM(Association for Computing Machinery)内の、セキュリティを扱うグループであるSIGSAC (Special Interest Group on Security, Audit and Control)が開催するものであり、ACM・SIGSACが運営している4大会議のひとつとして行われる本会議は、発表内容のレベルが高く、学術界からも非常に高い注目を浴びている。

2008年第3回シンポジュームが日本で開かれ、主催者は「産総研」であった。

なお、WikipediaによるとAssociation for Computing Machinery (ACM)5/19(29) は、アメリカ合衆国をベースとする計算機科学分野の国際学会。1947年設立。IEEEとともに、この分野で最も影響力の強い学会である。より具体的に説明すると“ACM, the world’s largest educational and scientific computing society, delivers resources that advance computing as a science and a profession. ACM provides the computing field's premier Digital Library and serves its members and the computing profession with leading-edge publications, conferences, and career resources”といえる。

(筆者注2) 5月10日Session 13 :Web and Mobile Security (13:30 to 14:40)の中で報告

「Sensing-Enabled Channels for Hard-to-Detect Command and Control of Mobile Devices」報告者:

Ragib Hasan, Nitesh Saxena, Tzipora Halevi, Shams Zawoad and Dustin Rinehart

(筆者注3) パラダイムシフト(paradigm shift)とは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することを言う。(wikipediaから抜粋 )

(筆者注4)「ビッグデータ解析」の意義について、IBMの動画解説「ビッグデータ分析から活用まで」が分かりやすい。
 また、総務省は「ビッグデータ」については「平成24年版 情報通信白書の第2章第1節-4で詳しく取り上げているほかに、筆者が認識している範囲だけでも2つの研究会で検討が行われている。


(1) 「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」(座長:堀部政男一橋大学名誉教授)
(2) 情報通信審議会 ICT基本戦略ボード ビッグデータの活用に関するアドホックグループ 

いずれにしても国民の知る権利やプライバシー権などわが国の国民の人権にとって重要な意義を持つこれらの研究会の検討内容が極めて内密裡行われているようにとしか思えない点は許しがたいと思う。特に「朝日新聞」だけでなく、これら行政機関の取組みに関し、メディアの報道にあり方や内容は、欧米のメディアと対比したとき極めてお粗末といいたい。例えば、朝日新聞は5月20日朝刊で「ビッグデータ不正利用 監視へ:17年にも第三者機関設置」と題する記事を載せた。

その記事の冒頭の解説文を一部引用する。「総務省は、インターネットの利用などで蓄積された情報『ビッグデータ』を企業など使う際、個人情報が保護されている同化を監視する第三者機関を2017年にもつくる方針を固めた。ビッグデータを解析すると個人の行動などが特定される可能性があるため、プライバシー情報の流出をチェックしたり、行き過ぎた個人情報の利用には是正命令を出したりする。総務省の研究会が20日に、第三者機関の設置を求める報告書案をまとめる予定。(以下略す)」

この記事を読んでまず気が付くのは次の疑問である。
(1)いかなる研究会で検討されているのか?この回答を見出すに筆者は約5分かかった。キーワード検索でも困難である。総務省のサイトから検索をかけても「ビッグデータ」では結果は出てこない。

筆者が原稿を書くとしたら冒頭では次のような内容の原稿を書くことになろう。なお、ブログであればこれらの研究会サイトへのリンクが容易であるが、新聞記事の限界か?改めて総務省サイトからたどって行くしかない。

総務省は、平成24年11月から「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」(座長:堀部政男一橋大学名誉教授)を開催し、プライバシー保護等に配慮したパーソナルデータ(個人に関する情報)のネットワーク上での利用・流通の促進に向けた方策について検討を行ってきた。このほど同研究会において取りまとめた報告書(案)「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」を取りまとめ、平成25年5月20日(月)から5月31日(金)まで、意見を広く公募することとした。 (以下は略す)」

なお、この研究会の担当は「情報流通行政局情報セキュリティ室」(メール宛先:itsecurity_
atmark_ml.soumu.go.jp)である。以上説明したとおりあくまで報告書案の段階であり、第三者機関設置はこれからの検討課題である。メディアはミスリードを避けねばならない。

(2) 個人情報保護法の中で検討されてきた「第三者機関」と今回提起されている「第三者機関」は法的な意味や機能の差はいかなるものか。 政府や業界は本当に設置する気があるのか。5月24日に参議院で可決、成立した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」の第6章 特定個人情報保護委員会(36条~77条)といかなる形で権限や機能が行われるのかが極めて不透明である。

(3)ビッグデータだけの問題でなく、そもそも個人情報収集そのものをビジネス目的とするIT情報業者さらにはプロバイダーや通信事業者から共通番号をはじめ、わが国でますます多様化する個人情報を保護する法制度や運営体制は極めて心許無い。


********************************************************

Copyright © 2006-2013 福田平冶(Heiji Fukuda).All Rights Reserved.You may reproduce materials available at this site for your own personal use and for non-commercial distribution.



2013年5月20日月曜日

米大学が基幹インフラのコントロールシステムへのサイバー攻撃の検出・隔離アルゴリズム開発を発表




 わが国のサイバー攻撃などの関する関係者は、米国のサイバー攻撃に対する国を挙げての取組みについて本年2月12日に公布された「重要インフラのサイバー・セキュリティの改善にかかるオバマ大統領令(Executive Order -- Improving Critical Infrastructure Cybersecurity)」を必ず目を通していよう。

このような中で、去る5月16日、ノースカロライナ州立大学の研究グループが標記の研究報告をまとめた旨緊急リリースした。この論文の標題は「D-NC(distributed network control)システムのための安全な分散制御技術方法の集合と回復方法の分析(Convergence and Recovery Analysis of the Secure Distributed Control Methodology for D-NCS)」である。

 この研究成果の発表は、きたる5月28日~31日、台湾の台北で開催されるIEEE(米国電子電力学会)国際シンポジューム(2013 IEEE International Symposium on Industrial Electronics (ISIE 2013))5月30日の13:00-14:50のセッション(筆者注1)で行われる。

 筆者はこの分野の専門家ではないため、同大学のリリース文の概要のみ紹介し、必要と思われる範囲で補足する。

 なお、今回のシンポジュームの参加国や発表者一覧を良く見ておいてほしい。IT分野でも急速に発展している国とりわけ中国の大学や中国の海外への進出研究者が多いことも注目すべきであろう。

1.ノースカロライナ州立大学の研究グループ研究報告リリース概要
  同大学のサイトで閲覧可能な論文は6頁ものである。

(1)同大学の研究者は、輸送、電力やガス他の重要インフラの調整のため米国中をつなぐネットワーク制御システムに対するサイバー攻撃を防御、隔離のためのソフトウェア・アルゴリズムを開発した。

 これらネットワーク化された制御システムは、本質的にコンピュータと物質である端末の間を接続し、コントロールするものである。例えば、近代的な建物では温度センサー、暖房システムやユーザーコントロールシステムがネットワークで繋がれている。これら以上に、大きなスケールのシステムが全米ベースでの輸送や、電力などエネルギー制御システムが極めて重要になっている。しかし、これらの多くがワイヤレスやインターネット接続に依存するため、これらシステムはサイバー攻撃の被害を被りやすい。

 近年問題となった“Flame”や“Stuxnet” (筆者注2)(筆者注3)による攻撃被害は 高額でかつ注目を浴びた攻撃の例である。ネットワークで繋がれた制御システムがますます複雑化するのに対応してシステムの設計者はシングルまたは集中化したハブまたはブレインを介した端末制御や「エージェント」から離れ、その代わりに設計者はシステム・エージェントをミツバチ等の脳の集合(bunch of mini-brains)(筆者注4)のように同時に働かせる分配されたネットワーク・コントロール・システム(D-NCSs)の開発に取り組んだ。これによりシステムはより効率化に運用できるようになり、今日この分散システムは安全に運用されている。

(2)ノースカロライナ大学の研究者はサイバー攻撃に対し、D-NCSsの個々のエージェントがいつ感染されたかにつき検出できるソフトウェア・アルゴリズムを開発した。さらに、同アルゴリズムは感染したエージェントを隔離し、感染されていないシステムの残りの部分を保護し正常な機能を継続させるのである。

 このことが集中化した設計において中央のコンピュータがハッキングされるとシステム全体が感染することに比較して、中央コンピュータハブに依存するシステム上でD-NCSsに耐性とセキュリティ上の優位性をあたえる。

(3)本報告書の作成者であるMo-Yuen Chaw博士は「これに加えて、我々がわれの開発した安全性をもつアルゴリズムは、小さな修正のみで直接既存の分散制御システムを運用するコードに組み込むことが可能であり、既存のシステムの完全なオーバーホールを必要としない」と述べ、また、もう1人の作成者である同大の博士課程学生Wentye Zengは「我々はこのシステムにつきデモを行い、現在さらにアルゴリズムの検出率とシステムの最適化に関するさまざまなサイバー攻撃シナリオの下での追加的テストを進めている」と述べている。

2.この研究は米国の国立科学財団(National Science Foundation)により支援(NSF-ECS-0823952“Impaired Driver Electronic Assistant (IDEA)” project.)が行われたものである。


(筆者注1) SS11 1 - Control and Filtering for Networked Systems

Hour: Thursday May 30, 2013:13:00-14:50のセッション

Title: Convergence and Recovery Analysis of the Secure Distributed Control Methodology for D-NCS

Authors:Mr. Wente Zeng, North Carolina State University, USA

Prof. Mo-Yuen Chow, North Carolina State University, USA

(筆者注2) 今回取り上げたレポートの記事は“Homeland Security News Wire”の記事で知った。なお、同メディアの記事は“Flame”や“Stuxnet”のリンク先は同大学のリンク先をそのまま引用していることや本文が同大学のリリース文を転用している。そこまでやるなら、“Flame”については、カスパルスキー・ラボのレポート「Kaspersky Lab and ITU Research Reveals New Advanced Cyber Threat(2012年5月)」、また“Stuxnet”についてはシマンテックのレポート「W32.Stuxnet Dossier」等を引用すべきと考える。“Homeland Security News Wire”自体、独自の取材網にもとづき幅広く関連テーマをタイムリーに取材しているだけに今回の記事内容は残念である。

 なお、ドイツのジーメンスが2010年に“stuxnet”攻撃等ハッカーに耐性を持つ工場など施設のハッカー対策の当面の課題「Building a Cyber Secure Plant」をまとめている。一部参考になろう。

(筆者注3)筆者も2012年9月23日のブログ「米国大手銀行等に対するイランが後ろ盾のサイバー攻撃やイスラエルの銀行等に対する攻撃とその対応問題」において“Flame”や“Stuxnet”につき簡単に解説している。

(筆者注3)わが国では” mini-brains”といってもその訳語はオンライン辞書にはない。昆虫研究者では常識であるのであるが、筆者はまったくの門外漢である。米国の関係サイトを調べていたら連邦保健福祉省・国立衛生研究所・バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のサイトがいくつかの論文を取り上げていた。“Costs of memory: lessons from ‘mini’ brains”,“Searching for the memory trace in a mini-brain, the honeybee”である。また、山田養蜂場ミツバチ研究支援サイトからも一部抜粋しておく。

「昆虫の研究者たちは、昆虫の脳を微小脳(micro-brain あるいは mini-brain)と呼んでいるが、ショウジョウバエとともに、ミツバチをも材料とする匂いや味処理系の研究も、そうした微小脳研究において重要な位置を占めるようになってきている。社会性昆虫の知能を研究テーマにする研究者たちは、ミツバチ単独というよりは、複数の昆虫を研究材料にしている。だが、ショウジョウバエは単独で生活しているから、集団で生活しているミツバチは社会行動学研究の優れたモデル動物だと言えよう。」


********************************************************

Copyright © 2006-2013 福田平冶(Heiji Fukuda).All Rights Reserved.You may reproduce materials available at this site for your own personal use and for non-commercial distribution.





2013年4月17日水曜日

フィンランドの国を挙げての世界的な産業ビジネス戦略の中身を解析する








筆者の手元には毎日、欧米やアジア等多くの国から政府、議会(議員)、各種産業団体、シンクタンク、NPO、大学等が発するメールが届く。
 時間の関係でそれらの内容を逐一読むわけには行かないが、注目に値すると思われるテーマについては丁寧に解析するように努めている。

 今回紹介するフィンランド政府からのニュースを詳細に解析し、また関連するとサイトを注意深く読むと、軽く読み飛ばすにはもったいないと思える内容である。すなわち、人口約550万に満たない小国がこれだけの経済力(GDPは49,350万ドル)と教育水準が維持できている本当の理由が垣間見えたと思えたからである。

 わが国はなおGNPが世界第3位といっているが、中長期に見た場合、果たしていつまで過去の貯蓄を食いつないでいけるのであろうか。国際ビジネスだけでなく、教育を含めたわが国の更なる喫緊の検討課題を考えるヒントが見える気がした。

 また、わが国のメディアや行政機関だけでなく研究機関を含めEUの小国の解析は極めて貧弱といえる。筆者なりに補足しながらフィンランドの初歩的研究を試みる。

1.フィンランド政府の大型中国ビジネス訪問団に関するリリースの概要仮訳(中国語版)

欧州外交・外国貿易大臣であるアレクサンデル・ストゥブ相(Alexander Stubb, Minister for European Affairs and Foreign Trade)は、フィンランドの会社の輸出と国際化の一層の促進を図る狙いで、中国への大規模チームによる訪問旅行を4月10~12日に実施する。

この旅行の間、代表団は江蘇省・上海や四川省・成都を訪問する。江蘇省・上海近郊では約200のフィンランドの会社が、また江蘇省では約40の会社が営業活動を行っている。急速に発展している成都は、特にITテクノロジー・セクターのための面白い市場エリアである。フィンランドのビジネス代表団(フィンランドの全国的な貿易および国際的な投資開発推進団体である“Finpro” (筆者注1)によって集合された)は、全部で31社からなる。これらは、クリーン化技術、電気通信、IT技術、造船、金融、都市計画、観光旅行や幸福増進部門等を代表する企業である。

中国は、アジアにおけるフィンランド最大の取引相手国である。わが国と間の貿易総額は、2012年には 72億ユーロ(約8,928億円)(筆者注2)に達した。今回の訪問目的は、フィンランドの会社の商機を進めることとともに、高度かつクリーンな技術を持つ国としてフィンランドのイメージを強化することにある。

上海を訪問するとき、ストゥブ大臣は中国の各地方自治体代表に会い、ビジネス・フォーラムに参加し、また上海の復旦大学(Fudan University)で講演を行う。江蘇では、大臣はコーン・エレベーター・エスカレーター設備会社(KONE Corporation)の工場開設式に参加予定である。成都の旅程では、ハイテク工業団地地域(ChengDu Hi-Tech Industrial Development Zone)、ビジネス・フォーラムや市当局との会議への参加訪問を含む。

ストゥブ大臣は、上海、江蘇および成都を訪問する前の4月8~9日に、北京でのファンランド共和国大統領サウリ・ニニースト(Sauli Niinistö)の公式訪問に参加する。

訪問に参加している会社名は、以下の通りである。(筆者注3)

ABB Oy(筆者注4)、AFT- Aikawa Fiber Technologies OyCaprice Ltd、Capricode OyDigiEcoCity LtdEnoro OyFIAC Invest Ltd、Finnish Onnovative Architecture and Consulting LtdFinnair Plc/Finnair Cargo OyFinnish Tourist BoardFluidHouse Oy、GreenStream Network Oyj、Oy HacklinLtd Honkarakenne OyjJyväskylä Regional Development Co.Jykes Ltd OyOy Lunawood LtdMachine Technology Center Turku LtdMPS China Management ConsultingNeste Oil CorporationNokia Siemens NetworksNormet Trading LtdPohjola Bank PlcRaute(Shanghai) Machinery Co.LtdRuntech Systems OySanta’s HotelsTakoma OyjTWS Shipping Line Ltd OyShipbuildingVaconPlc、Vahterus Oy ja Valkee Oy



2.フィンランドのグローバル戦略の中身

(1)経営者団体の取り組み

ここでは、上記以外で今回のブログ原稿を執筆時に気がついた点をまとめてあげておく。

フィンランド産業会議(Elinkeinoelämän keskusliitto :EK)のサイトを見よう。ホームページ画面の左側を見ると、フィンランド産業界の主要取組み課題の3本柱が、(1)経済と貿易問題、(2)エネルギーと気候変動問題、(3)教育と改革能力問題が挙げられている。筆者はこのうち(3)の内容を詳しくチェックしてみた。

特に「全国教育委員会」のうち“PISA - Programme for International Students Assessment”、“Study in Finland”等 の内容は十分に研究に値するものといえよう。

②今回は時間の関係で詳しくは論じないが、機会を見て改めて解析したい。

(2)際立つ対中国戦略

前述したとおり、官民国を挙げての取り組みの活動が見られる。

********************************************************

(筆者注1)“Finpro”の概要を、同サイトの仮訳文を筆者なりに補足のうえまとめる。

・Finproは、フィンランドの全国的な貿易、企業の国際化および開発支援団体である。Finproはクライアントの国際的な背長や競争的な概念や申し出をもって適時に正しい市場内で彼らが成功することを支援する。Finproネットワークは、地域内とグローバルの両面でクライアントやパートナーの利益を支援する。これら企業のための我々の任務と同様に、Finproは“Cleantech Finland”“Future Learning Finland”などいくつかの国際的なプロジェクトを運営している。

・Finproは1919年にフィンランドの複数の会社により設立され、現在、フィンランド産業会議(フィンランド産業会議(Elinkeinoelämän keskusliitto :EK)は、フィンランドの最も主要な事業者団体で、その主要な任務はフィンランドで営業している会社ための国際的に魅力的で競争的ビジネス環境をつくることである会社法務、税金問題、貿易政策、革新的な環境つくり、中小企業の企業家精神や気候変動政策等のテーマに関し対話と協力に携わっている。加盟協会は27、全ビジネス界横断的な加盟会社数は16,000社、フィンランドのGDPの70%以上、また輸出の95%以上を稼ぎ、従業員数は95万人である。160人以上の各分野の専門家を擁しており、ヘルシンキが本部でブルュッセル等4つの地域事務所を設置している。欧州最大の経営者団体である「欧州経営者連盟(Business Europe)」に属すとともに、OECDやILOでも積極的な活動を行っている))、「フィンランド企業連合(Yrittäjät:会員116,000社以上)」、「フィンランド技術産業連合(Teknologiateollisuus:従業員数29万人)」等、約550がメンバー団体、会社である。

Finproは370人の各分野の専門家を擁し、また世界50カ国に69の事務所を設けている。



(筆者注2)日本の2012年の対中国の総貿易額は総額3,336億6,442万ドル(約32兆352億円)(前年比3.3%減)である。(2013年2月19日 ジェトロ発表)

(筆者注3)各企業名はあえて和訳していないが、企業等のサイトにリンクさせて事業内容が一目でわかるようにした。

(筆者注4)フィンランド語で株式会社は osakeyhtiö で、“Oy”と略す。公開有限責任会社は“Oyj”である。

********************************************************

Copyright © 2006-2012 福田平冶(Heiji Fukuda).All Rights Reserved.You may reproduce materials available at this site for your own personal use and for non-commercial distribution.