2009年10月20日火曜日

欧州委員会「情報社会・メデイア担当委員」ヴィヴィアン・レディングのデジタル時代の近未来課題

 
 2009年10月6日に欧州委員会の「情報社会とメデイア担当委員(the European Commission in charge of Information Society and Media)」ヴィヴィアン・レディング氏(Viviane Reding)が「インターネットと欧州のデジタル戦略に関する近未来の課題(The Future of the Internet and Europe’s Digital Agenda)」と題する討議を立ち上げた。
 わが国でもインターネット社会の近未来課題として「ソーシャル・ネットワーク(web 2.0)」、「クラウド・コンピュータ」や「3Dやヴァーチャル社会」等が一般新聞にも紹介され始めている。しかし、プライバシー保護やセキュリティの視点から論じたものが多く、インターネットの限界を見据え、デジタル社会の「通信・放送」といった観点から本格的に論じたものはまだ数少ないのが現実である。同氏は、特にEU加盟国の電気通信監督機関の取組み課題という観点から本格的に論じ、例えばEU内の携帯電話会社によるVoIPのブロッキングの実態という具体的に踏み込んだ課題を提起するとともに「インターネットの中立性確保や通信量の限界」さらに「本のデジタル化」「デジタル・コンテンツの主導」等というICTの理念や新たな課題を立法論と併せ論じたものであり、欧米では多くの専門メディアで紹介されている。
 本ブログで取り上げた背景は、単なる翻訳作業ではなく同氏の提起している欧州内での政策議論の背景や事実関係を正確に理解できるよう筆者なりに注書きで補強する目的で取り上げたものである。細部に誤解等があろうが関係者による補正の指摘があればなお望ましい。
 なお、わが国の通信・放送委員会(日本版FCC)構想が新たな論議を呼ぶであろうことはいうまでもないが、FCCやFTC(証券取引委員会)等欧米の「委員会制度」の導入の前提として中央官庁の機能からの独立性の前提等正確な機能分析が必要であり、この問題は別途解説したい。(筆者注1)
 

1.序論
 現存の人々の記憶にある限り最悪の金融経営、失業率が引続き上がる等経済危機がEUや家族に対し極めて破壊的な影響を持ち続けている。2008年11月26日に欧州委員会が提案した欧州経済回復計画(A European Economic Recovery Plan)(筆者注2)の中心にあるのは「迅速な投資の必要性(smart investment)」である。私はこの「未来への投資」の意味するところは、すなわちEUが景気後退に続く成長段階に入るためにその位置に到達することを保証することにあると思う。従って、おそらく将来の成長と生産性の基盤を形成するための迅速な投資が最も重要な分野であるが故に、本日のフォーラムにおいてEUのデジタル戦略の近未来について討議することは極めてタイムリーなことである。

2.インターネットの近未来
 過去10年以内にインターネット(以下「ネット」という)は新たな技術装置(novel technical gadget)の利用から先進国の経済システムの中核に成長した。これはネットが持つ水平的な本質すなわちどこでも使え、産業界全体を通じ、ビジネスやレジャーという分野を問わず経済、社会面で利用されていることにある。従って、EUや米国の双方において生産性向上の半分以上の原動力となった。ネットは情報・通信技術を通じビジネスや経済の広い範囲さらに市民や消費者にとっての社会的利益をもたらすメディアである。
 我々がすでに理解しているとおり、ネットの成長は目を見張るものがあるが、単なる成長だけではなく「変化」し続けるのである。ネットは本来コミュニティの専門ユーザーのためのコンピュータ・システム間の情報仲介を意図して設計されたものであり、無限に増加するユーザー数、アプリケーションやビジネス・モデルに耐えられないという本質を持つ。
 ネットの構造的な制約・限界はますます世界中で認識され、ネットの近未来は世界中のICT政策協議の主要テーマとなっている。最近開催された「インターネット経済の未来(the Future of the Internet Economy)」と題するOECD閣僚会議(OECD Ministerial Conference)(筆者注3)において、OECD加盟国は社会・経済的重要性に鑑みてアプリケーション開発およびネットをより堅固、多用途化する戦略を支援し、かつ新しい活用を包含・最適化した統治モデルに合致した準備を支援するという取組み課題を再確認した。
 欧州委員会は政策方針立案と研究への資金援助の双方において支援を行ってきた。後で政策方針について言及するが、まず初めにネットの未来の調査・開発(R&D)に関するEUの第7次フレームワーク計画(the 7th Framework Programme)(筆者注4)について説明したい。第7次フレームワーク計画のICTプログラム(筆者注5)は2年以上にわたり約9億ユーロ(約1,188億円)をもってネットの近未来のさまざまな側面を目指すICTプロジェクトの最適管理(portfolio)を現在支援している。ICT研究の中でネットの近未来研究は2011年から2013年の極めて優先度の高いテーマとして残されている。
 近未来のネットのR&Dは、とりわけソーシャル・ネットワーク(web 2.0)、セキュリティやプライバシー問題、可動性やブロードバンド接続ニーズ、「モノのインターネット(Internet of Things)」(筆者注6)、分配型サーバー・ファーム(サービスのクラウド・コンピューティング)および新しく膨大な形式・量を持つコンテンツ(3Dやヴァーチャル世界)の出現でさらに駆り立てられている。

 これらの開発は、ネットのインフラストラクチャーの容量の膨大な増加を必要とする。ネットのトラフィック量は年間60%増加しており、可動式端末についていえば成長率は年間100%である。これに対応して、ネットの通信量の優先付け技術(traffic prioritization techniques)はネットワーク容量を最適化するとともに過密による混乱を回避するため開発されている。しかしながら、一部の通信量を優先させることは残りの通信部分を制限することになり、特に競争上の影響に関し慎重な対応を保持することが不可欠といえる。
 欧州委員会は、EU内におけるインターネットが公正な競争と消費者がその利益を理解できるようオープンかつ政治的(筆者注7)に中立な特性の保持を最優先する。

 一般的にみてヨーロッパの消費者とプロバイダーは、今まさにその議論が始まった米国に比べネットの中立性に関し全体的に見て比較的良い位置にあるように思う。これは競争促進的な(pro-competitive)EUの監督・規制のおかげでヨーロッパの消費者は強引に規制解除された米国の通信市場に比べ、サービスプロバーダーをより競争的に利用することが可能となっているからである。すなわち欧州委員会と加盟国の通信規制機関は、過去数年間消費者の申出内容をより透明にし、かつ段階的に競争を強化することにより競争的通信市場を共同して開発することを保証してきた。

 しかしながら、我々が市場と技術開発の間の過程において起こりうるインターネットの中立性における新たな脅威に対し非常に用心深くとらえる多くの理由がある。
 EUの数カ国の携帯電話会社によるVoIPサービスのブロッキングや通信差別(discrimination)がその例である。これは、2007年11月13日の欧州議会において本委員会が提案し現在、欧州議会(Parliament)およびEU理事会(the Council)で最終合意(立法化)される予定の「電気通信パーケージ(Telecoms Package)」(筆者注8)改革の背景である。この改革の実現により、EUの電気通信市場における消費者にとっての競争性や市場力がより強化されるとともに非競争的な行動(このEU競争法上の手段についてはすでにEC条約(ローマ条約(筆者注9))第81条、第82条により規制されている)(筆者注10) に対し追加的安全策を提供することが可能となる。
 加盟国の通信監督機関は、とりわけエンドユーザーがアクセスや情報の配信を受けもしくは自らの選択権にもとづきアプリケーションやサービスを実行できる能力の促進を求められるといえる。このことはEUにおけるネットの「中立特性」の強化に貢献するであろう。
 競争的な力のみではネットの開放の安全保障に不十分な場合、当該加盟国の通信監督機関はEU電気通信改革の下で、ネットワーク送信サービス(EUの電子通信ネットワークの普遍的サービスと消費者の権利に関する指令により(ユニバーサル・サービス指令(筆者注11)第22条第3項))(筆者注12)その最小限の品質を設定することで市場への介入が可能になるであろう。これは消費者と向い合った新しい透明性要求によって支援されることになろう(第21条および第22条)。
 モバイルのブロードバンド・ネットワークにおけるVoIPのブロックの例に関し、2009年7月1日発効の第2次EU Roaming Regulation(筆者注13)はWiFi、VoIPやInstant Messaging Services等の代替手段の利用や技術の出現について何ら障害となってはならない。従って、ネットの中立性を支持するこれらの改革はしばしば過小評価されるが、電気通信改革や欧州議会議員にとって非常に重要な点であるだけでなく、多くの欧州議会の大臣は同Regulationの立法過程における対応に関する電気通信パッケージの言い回しにおいて強調することがふさわしいと見ている。
 私は中立性を高めるためこれらの新しいツールをうまく利用すべきであると考える。私自身一部の携帯電話会社がVoIPのブロッキングを継続しているケースに関し、この根拠に基づき行動する用意がある点を述べている。さらに、私は2010年に本委員会がこれらの新しい道具をいかにうまく利用するか広い視点から論議が深まることを期待する。

 新しい電気通信パッケージはネットの中立性につきかなり体力を労して応えている。しかしながら、私は技術と規制がこの数年さらに発展することも知っている。そして、私はネットの中立性に関し本当の脅威が来たときは常にその防御の最前線に立つと考えている。

 あなた方は、私および欧州委員会が全体として緊密な精査に基づく開発を維持しかつ欧州議会やEU理事会に対しネットの中立性を実施する状態につき定期的な報告をあてにすることが出来る。

3.欧州委員会の近未来デジタル課題とは(Future Commission’s Digital Agenda)
 バローゾ欧州委員会委員長と私は、すでに立法措置の目標となる「真のデジタル単一市場(genuine digital single market)」の主たる障害と取組むことを目的とした明確な「EUのデジタル課題」を定義する次期任務(next Commission)への取組みを発表した。消費者は完全な汎ヨーロッパ・サービスの利益を得られなければならず、また企業は新しい市場へのアクセス権を得なければならない。今日、単一市場の重要な問題は「オンライン」に関する問題で起こる。もし我々が電気通信規則の近代化やブロードバンドの立ち上り(take-up)の推進、超高速で競争的かつ安全な次世代ネットワークに関する仕事に関しネットに基づくサービスを巻き取らないとすると、単一市場はひそかに弱体化することになろう。しかし、目的地に進むに価値がないとすれば最善の高速道路が十分でないがゆえに、デジタル・サービスやデジタル・コンテンツにより簡単にアクセスできることが必要となる。
 今日デジタル・サービスの自由化の動きは、加盟国の国内レベルでの細分化された規則により著しい障害に出会っており、この問題が解決されない限り企業や消費者は知識経済(knowledge economy)の最大の可能性に達し得ないであろう。消費者側における信頼性の欠如の問題の解決を支援するため、メグルナ・クネワ消費者保護担当委員(Meglena Kuneva)と私は2009年5月に消費者のオンラインに関する諸権利について説明する多言語オンライン情報ツール“eYou Guide”を立ち上げた。
 私は“e-Commerce”がネットの生命力であり、すべての関係者が残されたままの障害に協力して取組むべきとするICOMP(Initiative for a Competitive Online Marketplace)(筆者注14)に賛同する。e-Commerce市場で活動する経営者たちを支援するため「e-Commerce指令(the eCommerce Directive) 」(筆者注15)に追加されるべく審議が行われている「消費者の権利に関する指令案(the Draft Consumer Rights Directive)」(筆者注16)を優先すべきであり、私は欧州議会に支援を再確認した。消費者および単一市場が問題となる時、SMSやデータローミング規制の採択の時と同様、欧州議会は我々にすべてのヨーロッパの消費者の利益のため何をなすべきかまた欧州議会が迅速な採択を行うべきか示してくれた。しかし、デジタル・サービスの単一市場化に関し我々がデジタル・コンテンツの越境利用規定についてみる時、そのギャップはさらに明確になる。デジタル技術は創造的仕事のコミニケーションをより容易にさせ、免許権に関する伝統的実践内容はその限界に到達すると思われる。デジタル技術は価値連鎖(value chain) (筆者注17)において新たな役者と役割をもたらすとともに創造的コンテンツの手続や流通に関する条件を変えてきている。コンテンツ部門は著者、プロデューサー、出版社、著作権管理団体(collecting societies)および配給会社(distributing companies)等「伝統的なプレイヤー」に限定されない。消費者は、自らがコンテンツを作り出すいわゆる「生産消費者(prosumers)」となってオンライン・メデイアにおいて次第に重要な役割を演じるとともに一般的に「メデイア多元論(media pluralism)」と民主主義の利益に対するサービスを供給する。
 しかし、ビジネス・モデルと技術供与はこれらの新しいコンテンツに十分適合できないため、このことが法的オンライン・コンテンツの有用性を制限するだけでなくニューメデイア・サービスの開発・供給そのものを停止させてしまう。
 我々の未来は新しいタイプのメディアで満たされるであろうが、今日ニューメデイア・サービスはコンテンツ権の明確化のため極めて複雑で割高でかつコストがかかる手続に直面している。その結果、プロバイダーは特定のEU加盟国の大国のユーザーのみ(小国のユーザーにとって不利益なかたちで)サービスを提供することを決定する。正直に言おう。デジタル・コンテンツの供給に関し、EUは世界最大の市場であること主張できない、27の別々の市場なのである。このことはこれらの問題に取組む際に米国を目標とする法的手段における競争的有利性に貢献するのである。

4.本のデジタル化への挑戦(The challenge of books digitisation)
(1)本のデジタル化と“Orphan Works”
 私が第一におく優先課題は、①大量の本のデジタル化、②著作権の保護期間が存続しているが著作権者の識別・連絡先の特定ができない著作物すなわち“Orphan Works”(筆者注18)問題である。我々の文化遺産がEU市民にとって近づきがたいままであることは容認できない。文化遺産は1クリックで読めてかつそうあるべきである。欧州の出版社や著者の権利が尊重されかつ公正に報酬が保障されることが可能となる欧州著作登録(European Rights Registry)(筆者注19)または欧州著作権登録システム(European System of Rights Registries)を含む「本のデジタル化」を奨励する一連の欧州規則を新たに設けるべきである。そのためには既存の“ARROW(the Accessible Registeries of Rights Information and Orphan Works)”や“Europeana”(筆者注20)のような革新的プロジェクトの役割を強く認識することが求められよう。
(2)コンテンツ・オンラインでの主導権
 第二に、我々はユーザーが自由に買えまたどこでも楽しめ、いかなるオンライン・プラットフォーム上支払対象となるコンテンツに関するルールと調和した市場が必要である。
 コンテンツ・プラットフォームに関する今回の委員会の「付託・要請文(mandate)」の最後の前でコンテンツ・オンライン・プラットフォーム(Content Online Platform)(筆者注21)の議論の結果を考慮し、チャーリー・マクグリービー委員(Commissioner Charlie McGreevy)と私はコンテンツの権利者、インターネット・サービスプロバイダーおよび消費者の利益に関し、デジタル単一市場への道を敷き詰めるにあたり一連の可能な政策や立法上の選択肢に関する「考え方をまとめた文書(reflection paper)」(筆者注22)と合せ公の議論を刺激したい。
 我々は、デジタル・コンテンツの消費者ニーズと権利者の間のバランスについて再評価するため働くつもりである。その主要目的は、欧州のどこで制作されたものでもデジタル・コンテンツに簡単かつ楽しくアクセスできることとなろう。
 我々は、EUの他の委員会と協同してコンテンツ・クリエーターが消費者の高い期待に合致させる一方でそれらのクリエイターの権利を保証するつもりである。サービス・プロバイダー、消費者および権利の保有者にとって共に仕事を行い、バランスの取れたアプローチを実現することが最善の方法であり、また私はICOMPにこのような過程に参加するとともに前向きに取組むよう要請したい。

5.情報社会におけるプライバシー問題(Privacy in the Information Society)
 しかし、欧州のデジタル課題はコンテンツ問題に限るべきでない。すなわち、次期委員会が目指すべき取組み課題として次のような切迫した課題がある。私が極めて注意を払っている1つの問題は「オンライン環境におけるプライバシーと個人情報保護問題」である。私はプライバシーに関し特定の意味を持つ3つ-①ソーシャル・ネットワーキング、②行動ターゲティング広告(筆者注23)、③RFID(ICチップ)-技術・商業面の開発に関する問題を引用したい。
第一に、ソーシャル・ネットワーキングは参加者がどこにいたとしても新しいコミュニケーションの利用形態面および人々を集めるという特性において強力な潜在能力を持つ。しかし、ネットワーカーは自分のネットワーク上に掲載されたあらゆるウェブ上のプロフィールについて誰がアクセスしてどのように使用しているかに認識しているであろうかを知りえない。私の意見では「プライバシー」保護はソーシャルネットワーキング・プロバイダーとそのユーザーにとって最優先の問題であるべきである。私は少なくとも未成年のプロフィールについてはネット検索エンジンは不履行かつ利用不能でなければならないと固く信じる。欧州委員会は、すでにプロバイダーの自主規制によりソーシャル・ネットワーキングサイトへの未成年に関し注意して扱うよう呼びかけている。私はすでに対処しなければならない時のため「新規則」を準備している。しかし、それは他に手段がない場合のためである。
 第二に、欧州委員会に対し繰り返し指摘されているプライバシー問題が「行動ターゲティング広告」の問題である。それは、広告目標でより明確なかたちでネットユーザーの閲覧状況をモニタリングするシステムであり、当該個人の事前の同意がある場合のみ使用が可能である。
 「透明性」と「選択」がこの今回の討議のキーワードである。本委員会は我々のプライバシー権に対する尊重を保証するため「行動ターゲティング広告」について緊密にモニタリングしている。私はEU加盟国がこの義務を怠ったときとるべき行動に躊躇するつもりはない。その初めての例が、本委員会が「Phorm事件」(筆者注24)で英国に対して取った行動である。
 第三に、プライバシーに影響する最新の技術傾向は有名なICチップ(RFID)である。RFIDはビジネスをより効率的またよりよく組織化するものであるが、私はもしそれが 消費者に対して使われる(on the consumers)のではなく、消費者によって使われる(by the consumers)のであれば欧州において歓迎されると信じる。いかなる欧州人もどのような目的で使うのか予め説明を受け、またその除去やスイッチを切るという選択肢なしにその所持物にICチップ1つを登載すべきでない。人々によって受け入れられたときのみ「モノのインターネット」は機能するであろう。
 我々は現在EUの電気通信規則の改正と合せEUのプライバシー法の強化しており、それらにおいて個人情報のコントロール権に確実化が必要なとき新しい主導とともに戻るつもりである。とりわけ、これらの個人情報が影響するであろう第三国(筆者注25)と提携しつつ実行することになろう。

6.欧州のウェブサイトに対するより多くの信頼
 デジタル欧州戦略(Digital Europe Strategy)(筆者注26)は、ヨーロッパのウェブサイトが消費者の信頼を組み込むため自己規制システムの開発に新しい機動力を与えることになろう。消費者の信頼は欧州のデジタル・サービスの信頼性と品質を保証する信頼性付与機関(European trusted authorities)または「トラスト・マーク(trustmarks)」を通じ構築される。欧州のトップ・ドメイン名である“dot.eu”は、EU内の「eu.ドメイン」に登録する各企業が欧州の法律に従わねばならないためこの成功が重要な点である。
 “.eu”を探すと何らかの形式で基本的な保護が与えられ高度な規格に合致する企業は“.eu”を採用することで差別化できる。「トラスト・マーク」問題は非常に長い期間検討されてきたが欧州システムとしてはほとんど進歩していない。それは産業界の団体や消費者団体―特に私は欧州消費者連盟(the European Consumers’ Organisation: Bureau européen des unions de consommateurs:BEUC)を想定している-は私が信じるところの持続可能性のある欧州トラスト・マーク(海外でインターネット・サーフを行う我々のユーザーに信頼や巨大なオンライン市場の利益を与える)の確立のためともに集合すべきである。その必要があれば、本委員会は行動を起こす準備が出来ている。

7.ブロードバンド・インターネット(Broadband Internet)
 デジタル課題は新しい委員によってさらに発展されるであろうし、私は彼らの決定すべきことを先取りしないよう慎重であるべきである。しかし、私が取るであろう1つのリスクはブロードバンドが近未来の課題の重要な役割を果たすと確信して予測することである。私は5年間の欧州委員会の情報社会とメディア担当委員として、部分的ではあるが欧州経済回復計画においてブロードバンドを極めて高い優先的に位置づけていることの背景である。
 我々は本日ブロードバンド戦略について時間をかけた議論の時間はないが、3つの質問すなわち「なぜ」「何を」「いつ」について答えることで我々の考えを紹介するとともに欧州経済回復においてブロードバンドが重要な役割を果たすことについて説明したい。

(1)なぜブロードバンド・インターネットなのか
 我々はICT投資と経済の業績が直接リンクすることを知っている。それはあらゆる産業部門を水平的にかたちで改革能力や生産性を改善させ、自然資源の最適化を支援してくれる。それは、また公共部門の効率性と効果向上の重要な操縦者であり、また我々市民の生活の質を向上させるのに不可欠である。ICTは、我々により多くのエネルギー効率や正確な環境モニタリングさらにより良い公共医療サービスや高齢化社会の状態の改善に関しユニークな解決策を与えてくれる。
 ICT革新を配備、使用する点でリーダー的であるEU加盟国は、高い経済成長と市民に提供するサービスにおける世界標準(world benchmarks)を確立し、またより低炭素経済(lower carbon economies)に向けた動きを牽引している。
 なぜブロードバンドなのか:答えは簡単である。ICTの最善の使用における基本的な慣らし状態(pre-condition)は高速ブロードバンドの配備である。
 欧州委員会が提案するものは何か:経済回復パッケージの一部として我々は農村村落における高速インターネットを拡大、アップグレードするための資金的保証を行った。この資金支援はブロードバンドへのアクセスを持たない農村地域の23%を目標にしたものである。
 この提案(Rural Development Plans)の目的は次の2つである。すなわち、①すべての欧州人は、どこ住む人もブロードバンド・インターネットの利益を享受出来ることを保証すること、②可能な限り迅速に資金供与を行い、即効性の刺激を経済に与えることである。後者に関し、その成果は期待したよりやや遅いといえる。その最新の成果は「農村部開発計画(Rural Development Plans)」 中、ブロードバンドに割り当てられた50億200万ユーロ(約6,677億円 )のうちわずか315万ユーロ(約4億1,900万円)であった。私は加盟国の数か国が本委員会が承認した農村部開発計画の資金利用に配慮する決定に消極的なことに失望している。しかし、私は当該国を引続き納得させるつもりであり、さらに極めて高速のブロードバンドを支援する一連の規則手当てとガイドライン策定を進めている。
 ブロードバンドを推進しかつ始めるためには、また、先進的越境ウェブベース・サービスにとって好ましい条件の要求も促されなければならない。言い換えれば、「デジタル単一市場」とは私が先ほど話した「デジタル課題」の主目的なのである。
(3)最後の質問、結果はいつでるのか
 最初に悩むのは経済を刺激するため資金の緊急注入問題であるしかし、また一方で我々はデジタル社会の水平線に向けて短期的な先を見る必要がある。ICTは景気循環によって引き起こされる必然的変動にもかかわらず、近代化が確実なペースで続く部門である。私は景気回復の「若芽(green shoots)」について話しているのではない。私は、継続的に我々に生産性利益を獲得を獲ることを許し、経済を成長させ、またより高い生活水準を成し遂げる長期の技術発展について話しているのである。すなわち、このことは欧州の経済回復の重要性はもとより、より生産的なビジネスや一方ではその組織また他方では革新的生産物およびより消費者の選択の重要性を提案したい理由である。

8.結論
 私は欧州を見通すことについて自信がある。それは我々の莫大な強さだけではない。すなわち、安定した民主主義、単一市場、そして成功した単一通貨等過去5年間欧州委員会が成し遂げてきたもの、とりわけ歴史において最大の拡大に成功し、遠大で法的に拘束力を持つエネルギーと気候変化目的を持つ初めての地域となった点である。そして、あなた方の携帯電話から安い電話がかけられるようになったことを忘れないでほしい。
 しかし一方で、私は奇妙な方法で我々が危機によってかえって強くなったと考える。その危機が我々に欧州および地球規模での経済の相互依存性について教えてくれたからである。
 今、我々は自らの繁栄を守るため将来に向け政策の協調や早期化を行うべきであることを知っている。我々は目的の新たな意味を認識している。私は、今ますます強力になりまた解決と創意において欧州が21世紀の経済の主役になると信じている。

(筆者注1)本原稿の執筆中に、筆者が参加しているデスカッション・グループ:ハーバード大学ロースクールの “The Berkman Center for Internet & Society”がFCCの研究委託に基づきとりまとめた報告書「次世代の接続性:世界におけるブロードバンド・インターネットの変遷と政策(Next Generation Connectivity: A review of broadband Internet transitions and policy from around the world)第一次草案」(全232頁)が公表され、FCCが広く意見(パブリック・コメント:期限11月16日)を求めている旨のレターが同センターより筆者の手元に届いた(10月15日付のロイター通信もこの件を報じている)。筆者としてもレディング氏が今回投げかけた課題とともに各国のオープン・アクセスの確保やブロードバンドの競争政策について別途の詳細な検討が必要であると考える。

(筆者注2)同委員の問題提起を正確に理解するためには“A European Economic Recovery Plan”(欧州委員会2008年11月26日提案 "2008年12月11~12日の欧州理事会(EU首脳会議)採択) ”の閲覧が必須である。総務省の以下の資料もある
 2009~2010年の2年間で2000億€(加盟国負担1700億€、EU予算・欧州投資銀行(EIB)予算300億€*)。(*EIB:156億€、EU 予算:144億€)
■2008年12月12日欧州理事会において合意。今後、予算案が欧州議会において審議予定。
■2009年3月、欧州委員会は進捗状況調査を公表予定。
■エネルギー供給やブロードバンド環境改善のために、EU予算の未使用剰余金(本来は農業分野に充当)を転用し50億€(2009~2010)支出。(ブロードバンドインフラ整備に当てられる額は10億€。)
■使途を自由に決定できる21億€の調査研究予算(既存予算の使途振替)は、グリーンカー構想、エネルギー効率建築、未来の工場構想、超高速インターネットに配分。
総務省「ICTビジョン懇談会(第2回)」平成21年1月27日(火)開催参考資料3「主要国における最近の経済対策(概要)」より抜粋。ただし、この要約資料は同懇談会の性格からEU委員会が提案した計画の本来の主旨・全体像を網羅したものではない。正確な理解のためにはJETROブリュッセルセンターがまとめた「EUの景気対策~欧州経済回復計画の概要」の閲覧を薦めるし、その内容を理解していないと同委員の主張の背景・根拠が理解できない。

(筆者注3)「インターネット経済の未来(A Future of the Internet Economy)」と題するOECD閣僚会議は2008年6月17~18日韓国ソウルで開催された。その結果は「韓国宣言(THE SEOUL DECLARATION FOR THE FUTURE OF THE INTERNET ECONOMY)」としてまとめられている。

(筆者注4) わが国で EUの第7 次フレームワーク計画について解説した資料としては、駐日欧州委員会代表部サイト新エネルギー・産業技術総合開発機構のサイト東北経済産業局情報等があげられる。EU加盟国間の共同研究活動,欧州研究評議会(European Research Council:ERC)を通して実施される基礎的研究,人材の流動性の促進,「知」に基盤を置く地域や中小企業の支援,この4つの助成を行うものである。いずれにしても時々刻々と変化しているので欧州委員会の当該サイトで最新情報のチェックが重要である。

(筆者注5)EUの研究会発情報サービスである“Community Research and Development Information Service-CORDIS”はテーマ別に分類されナビゲーションがしやすくしてある。すなわち①農業と食糧供給(agriculture and Food supply)、②生物学と医薬(biology and medicine)、③エネルギー(energy)、④環境と気候(environment and climate)、⑤産業と産業技術(industry and industrial technology)、⑥情報通信技術(information and communication)、⑦実地研究(research in practice)、⑧研究成果の出力(research outputs)、⑨社会経済的な関心(social and economic concerns)、⑩輸送と建設(transport and construction)である。

(筆者注6) 東京大学大学院情報学環教授の坂村健氏の2009年7月5日の毎日新聞での説明によると“Internet of Things”とはモノを結ぶインターネットのような次世代環境である。EUの“7th Framwork Programme”のcasagras project で検討されており、わが国でいうユビキタスのような概念であるとある。わが国の調査研究機関でも取組んでいる例がある。しかし、一般向にはこのような説明でよかろうが、わが国のICT関係者は満足できまい。筆者なりにEUの“CORDIS”サイトから調べてみた。簡単にいうと“CASAGRAS(Coordination and support action for global RFID-related activities and standardisation)”とは「インターネット・ネットワークを介したグローバルなRFID関連の活動と標準化に関する調整と支援活動」のことである。本プロジェクトにはわが国(坂村教授がメンバーである)を始め中国、フランス、ドイツ、韓国、イギリス、米国が参加している。その活動の経緯については“CORDIS”や“CASAGRAS”最終報告等を参照されたい。いずれにしても従来取り上げられてきたインターネットの利用概念とは異なるものであり、研究に値するテーマと言えよう。

(筆者注7)ここで言う「政治的」とは狭義の政治的という意味ではない。後述するとおり、現政権や特定の事業者への批判的意見も含まれるし、実際筆者も総合セキュリティソフトを利用していてなぜアクセス禁止メッセージが出るのか判断に迷うケースがある。このブロック問題はEUだけでなく筆者がディスカッション・メンバーとなっている米国人権擁護団体Center for Democracy & Technology:CDTの最新情報で実際経験済である。

(筆者注8)“Telecoms Reform Package” とは2007年11月13日レデイング氏が欧州議会に初めて提案した「2002年EU電気通信規則」改正による電気通信改革のことである。EUの単一市場化を目指すとともに、競争を促進することによって、消費者により有利な市場として市場を活性化をするため、特に高速無線ブロードバンド市場の活性化を目的としている。
 また、レディング氏は2008年6月12日のEU電気通信閣僚会議の後、EUの電気通信改革の背景や具体的進め方について整理している。併せて読まれたい。
 なお、本原稿を執筆中、2008年1月に情報通信研究所特別研究員本間雅雄氏がまとめたレポート「欧州委員会、テレコム市場改革プランを採択」を読んだ。EU内や米国の議論も踏まえまとめられているが、体系的・専門的に整理された内容とは思えない。

(筆者注9) 「ローマ条約」とは、欧州経済共同体 (EEC) 設立に関する、フランス、西ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダおよびルクセンブルグが1957年3月25日にローマで調印、1958年1月1日に発効した「欧州経済共同体設立条約 (Treaty establishing the European Economic Community) 」(1993年11月に発効したマーストリヒト条約により、他の事項とともに共同体と条約両方の名称から"経済"を除去する修正を受けた。この結果「欧州共同体設立条約」または「EC条約」と呼ばれている)および同日調印された「欧州原子力共同体(Treaty establishing the European Atomic Energy Community:EURATOM)」とあわせと総称として「ローマ条約」といわれる。

(筆者注10)EU競争法は市場の統合と消費者の保護を主要な目的とし、競争法違反規制と企業集中規制の2分野から成っている。競争法違反はEC条約(ローマ条約、1958年発効)第81条(anti-competitive agreements)、第82条(abuse of dominant positions)により規制されている。(国立国会図書館「レファレンス」2005年5月号高澤美有紀「EU競争法の改正―執行手続の強化と分権化」)から一部抜粋。

(筆者注11)「EUの電気通信分野のユニバーサル指令」をはじめとする「サービス指令」についてはジェトロが2007年7月「 サービス分野の市場統合とサービス指令(EU)」で制定の経緯や内容について詳しく解説しており、その中(12~13頁)で電気通信分野について解説されている。すなわち「電気通信ネットワークおよびサービスの共通規制枠組みに関する2002年3月7日付欧州議会および理事会指令2002/21/EC」により、電気通信関連の新たな規制枠組みができた。同枠組み指令は、「認証指令」、「アクセス指令」、 「ユニバーサル指令」、「プライバシーと電子通信に関する指令」の4つの指令とともに電子通信セクターの競争力を高め既成の電気通信に関する法的枠組みを改善することを目的とした電気通信規制パッケージを構成している。同枠組み指令は、2002年4月24日に発効し、2003年7月24日までに加盟国で国内法制化することが規定された。」

(筆者注12)Reding 氏のEU原稿では第22条第3項とあるが現行ユニバーサル指令の原本に当たったが第3項はない。このため昨年10月にメールのやり取りをしているReding氏の担当秘書役Francoise Mingelbier氏に改めて照会メールを送ったところ、約3時間後にReding氏のスポークスマンMartin Selmayr氏にかわり同氏より回答が来た。参考までにその回答要旨を簡単に説明しておく。
「第22条第3項は加盟国の電気通信監督機関による中立性保証条項で現在欧州議会やEU理事会において最終審議中であり、その回答に第3項案が添付されていた。レディング氏がスピーチ中に引用したのはそのことである。また、委員会は現在そのような条項(ガイドライン等)の追加が国際通信市場にとって新たな障害となりうるかにつき欧州電気通信規制機関(the Body of European Regulators in Telecom:BERT)に意見具申中である。」
筆者にとって以外に早い回答であったが、欧米の場合、このように質問の意義に応じ迅速な回答が来るのが通常である。国際的知識人の良識を感じた。

(筆者注13)“International Roaming”について説明しておく。EUのウェブサイトの説明によると国際ローミングとは、ローミングサービスの一つ。契約している国内通信事業者のサービスを、海外の提携事業者の設備を利用して受けられるようにすること。また、そのようなサービスをいう。インターネット接続サービスや携帯電話などで提供されている。DDIやIDOの携帯電話であるcdmaOne(CDMA(Code Division Multiple Access)方式を使用したデジタル携帯電話システムで米国CDG(CDMA Development Group)の登録商標)は世界的な規格であり、海外でも多くの事業者がcdmaOneによるサービスを提供しているため、多くの国でローミングサービスを受けることができる。

(筆者注14)“ICOMP” はオンライン出版社、広告主、インターネットやネットワークサービス・プロバイダーおよびオンライン広告代理店などインターネット・ビジネスに関する業界団体の業界主導のための団体である。ヨーロッパ、北米、中東の14カ国40社以上の企業、業界団体、消費者団体、個人がICOMPプリンシプルを支持している。 ,

(筆者注15) 2000年6月8日に、欧州議会・閣僚理事会は、欧州域内市場における消費者と事業者に情報社会サービスの一定の法的確実性の提供に関する指令いわゆる「電子商取引指令(2000/31/EC)」を採択した。本指令は、加盟国間のオンライン・サービスの自由な流通を確保することによって域内市場を適切に機能させることを目的としており、具体的には、サービス・プロバイダーの設立、商用の電気通信、電子契約、オンライン媒介サービス事業者(intermediary service providers)の透明性・情報要件および責任制限、裁判外紛争処理等に関する国内法令を調和させることを意図している。本指令の重要な特徴のひとつが、いわゆる「域内市場条項(Internal Market clause)または「本国の原則(‘country of origin’principle)」を採用していることである。この原則は、情報社会サービスは原則としてサービス・プロバイダーが設立された加盟国の法律に支配されるというもので域内電子商取引について生じる適用法の問題を一定の範囲で解決したものといわれている。
 加盟国は2002年1月17日より前にその内容を国内法に編入しなければならないとされていた(第22条第1項)。しかし、実際における各国の立法は遅れている一方で現在の立法状況について一覧形式のEU公式資料はない。このため筆者は“epractice.eu”サイトの電子政府(eGovernment)の資料(factsheets)および当該国のポータル等を基に調べ、参考までに27カ国中4カ国の立法化状況(関係法律名および成立・施行年月日など)を以下のとおりまとめた(調査時間の関係で残りの23カ国については省略する)。
 なお、EU加盟国法等外国法に精通されている読者であれば理解されると思うが、EUの公式資料だけでは正確な法律名は説明されていないため筆者なりに補足するとともに法律の原文にリンクさせたので、関心のある方は法律の原文(英訳化もかなり進んでいる)を直接当たられたい。
①オーストリア: ”eCommerce Gesetz; ECG” 2002年1月1日施行。
②ベルギー:2003年3月11日に次の2つの法律が採択された「ベルギー憲法第77条が目的とする情報社会サービスの特定の側面に関する法律p. 12960(Loi sur certains aspects juridiques des services de la société de l’information visés à l’article 77 de la Constitution)」「情報社会サービスの特定の側面に関する法律p. 12963(Loi sur certains aspects juridiques des services de la société de l’information)」
③ブルガリア:「電子商取引法(ЗАКОН ЗА ЕЛЕКТРОННАТА ТЪРГОВИЯ В сила от 24.12.2006 г. Обн. ДВ. бр.51, изм. доп. ДВ бр. 105/2006 г., ДВ бр. 41/2007 г. )」 2006年6月23日成立(法律第51号)、2006年12月24日施行」。(英訳条文
④キプロス:「電子商取引法」2004法律第156号(I)。2004年4月30日成立。キプロス官報 (112(Ι)/2000, Νόμος που προνοεί για την αναγραφή της τιμής πώλησης και της τιμής ανά μονάδα μέτρησης των προϊόντων τα οποία προσφέρονται από τους εμπόρους στους καταναλωτές προκειμένου να βελτιωθεί η ενημέρωση των καταναλωτών και να διευκολυνθεί η σύγκριση των τιμών) 

(筆者注16) 「いわゆる消費者の権利に関する指令案(the Draft Consumer Rights Directive)」は欧州委員会が2008年10月8日に採択のうえ欧州議会およびEU理事会に提出し、2009年9月28日に議会において討議方針説明(position paper)が行われている。
 その内容の詳細や審議経過については欧州委員会保健消費者保護総局(the Directorate General for 'Health and Consumers:DG-SANCO)消費者対策課(Consumer Affaires)のサイトで詳しく解説されている。なお、DG-SANCOの守備範囲は、①食物・食品の安全性、②消費者保護、③公衆衛生をその柱としており、EUの“2009 H1N1”といった緊急問題も扱っている。

(筆者注17)「バリュー・チェーン」とは、1985年Michael Porterがベストセラー「競争優位の戦略(Competitive Advantage: Creating and Sustaining Superior Performance)」で提唱したもの。 競争優位を生み出すためには製品の付加価値(販売価格―原料コスト)だけに着目せず、生産活動を主活動と支援活動に分け、それぞれの活動が価値(value)を生み出すという構造でありことを認識し、各活動を分析、最適化を行うことで競争優位につなげるという考え方。これまでは、個々の企業間での連鎖過程を主に意味していたが、企業群、業界のネットワーク間での連鎖までも含めて、バリュー・ネットワークという新しい企業の定義も出てきている。(経済産業省商務情報政策局情報セキュリティ制政策室資料等より抜粋)

(筆者注18) 英国図書館(BL)の試算では,著作権の保護期間が存続している同館蔵書のうち40%がOrphan Worksである,とされているほどであり,欧州デジタル図書館高次専門家グループ(HLEG)ではこれらをデジタル化し,インターネットで公衆送信するための環境整備の必要性を提起していた。この提起を受けて,HLEGの著作権サブグループは2007年9月から,利害関係者を集め,Orphan Worksの利用に先立つ「著作権者の真摯な調査」のガイドラインを策定してきた。この利害関係者会議には,国立図書館・文書館などの文化機関,出版社・著作者・実演家等の権利者団体の双方から代表が参加し,著作物の形態に基づく4つのセクター(文書資料(text),視聴覚資料(audiovisual),視覚・写真資料(visual/photography),音楽・音声資料(music/sound))ごとのワーキンググループでの協議および全体での協議を行ってきた。こうした協議の結果,2008年6月4日,欧州委員会のレディング(Viviane Reding)情報社会・メディア担当委員長臨席のもと,BL,フランス国立図書館(BnF),英国公文書館(NA),欧州国立図書館長会議(CENL)や各権利者団体が,『Orphan Worksのための真摯な調査ガイドライン』に合意し,覚書に署名を行った。(国立国会図書館カレントアウェアネス・ポータルNo.132 2008年7月23日号より抜粋。

(筆者注19)Reding 氏の主張は“Book Rights Registry”をさしていると思う。そうであるとすると最近わが国でも話題となっているGoogle社が進めている書籍のデジタル化の話とつながる。国立国会図書館の9月8日付けカレントアウェアネス・ポータルで次のような記事がでており、参考までに紹介する。「Google社は、書籍のデジタル化について、欧州で販売中の書籍に限り権利者に事前に許諾を得る方式に変更すると発表しています。同社は、米国で絶版であっても欧州で販売中である書籍については権利者の事前許諾を個別に得るまではGoogleブックスに加えないとしています。また、同社は欧州の出版社と欧州の著者をBooks Rights Registryの委員会に追加する提案も行っているようです(GoogleがEUに大幅譲歩、書籍スキャンをopt-in方式に変更し、Book Rights Registryで2議席も約束)」。

(筆者注20)欧州デジタル図書館 “Europeana”は2008年11月20日に公開された。これは,欧州連合に加盟する27か国の,合計1,000を超える国立図書館・文化機関等が提供している,合計200万点以上の各種デジタルコンテンツ(書籍,地図,録音資料,写真,文書,絵画,映画など)へのアクセスを提供するポータルサイトの機能を果たすものであり,登録ユーザがデータを保存できる個人用ページ“MyEuropeana”やタグ付与機能など,Web 2.0機能も有している。公開時点で提供されている200万点のコンテンツの過半数(52%)はフランスの機関によるものであり,オランダ,英国がともに10%と続いている。有名なコンテンツとしては,ベートーベンの交響曲第9番を筆頭に,マグナ・カルタ(大憲章),フランス人権宣言,ダンテの『神曲』,フェルメールの絵画『真珠の耳飾りの少女』,モーツァルトの自筆書簡・楽譜,シベリウスの作品の演奏,ベルリンの壁崩壊時の映像などが含まれている。(国立国会図書館カレントアウェアネス・ポータル2008年12月10日号より抜粋)

(筆者注21)同委員会が取組む “Creative Content Online”については“Audiovisual and Media policies”サイトで詳しく説明されている。

(筆者注22) Reding氏に直接確認していないが、文脈からみて「考え方をまとめた文書」とは2009年5月に委員会が発表した “Content Online Platform”であろう。

(筆者注23) 「行動ターゲティング広告(Behavioral Targeting Advertising: BTA)」とは、インターネット広告の一種で、各ユーザーをWebサイト上での行動履歴に基づいて分類し、ユーザーごとに最適な広告を配信できるようにした方法のことである。行動ターゲティング広告においては、クッキー情報を元にしてWebブラウザ単位でユーザーの行動が追跡されており、そのWeb上での行動履歴が専用サーバーに蓄積されている。この行動履歴を数百の行動パターンに分析し、次回の広告配信の機会に反映させることによって、ユーザーにとって最も適した広告内容が配信可能になっているとされる。
 従来のバナー広告やリスティング広告などのような広告配信の仕組みでは、広告の内容は広告媒体であるWebサイトのコンテンツに合わせて選択されていた。これに対して行動ターゲティング広告では、広告媒体サイトのコンテンツに関係なく個々のユーザーに合わせた広告を配信させることができるという利点がある。(「IT用語辞典バイナリー」から引用)

(筆者注24)「Phorm事件」については、欧州委員会のプレス発表等に基づき作成されたわが国の解説記事の問題点につき、ブログ(Foreign Media Analyst in Japan)が2009年4月27日付け記事「NRIの英国政府の“phorm”に対する取組みと欧州委員会の強硬姿勢の紹介記事の具体的問題点」指摘している。しかしNRIの記事はいまだに修正されていない。この無責任さが問題である。(「平野龍冶」は筆者の第二ペンネームである)

(筆者注25)Reding氏に確認したわけではないが、ここでいう「第三国」は主に米国を指すものと思う。その根拠はEUと米国政府間の「セーフ・ハーバー協定」の存在である。2009年10月6日に米国連邦取引委員会(FTC) は、連邦商務省(U.S.Department of Commerce)の強力な支援のもとで欧州連合(EU)・米国連邦政府間の「プライバシー保護に関するセーフ・ハーバー合意(筆者注1)」に基づく米国企業6社に対する遵守指針違反に基づく個別告訴につき和解に達した旨発表した。
 セーフ・ハーバー合意のもととなったのは1998年10月に発効した個人情報保護に関するEU指令(「個人データ処理に係わる個人の保護及び当該データの自由な移動に関する1995年10月24日の欧州議会および理事会の95/46/EC指令」)である。同指令は、十分なレベルの個人情報保護を行っていないEU域外の第三国に対して、EU域内の個人情報の移転を禁ずることを定めたもので、これにより域外の事業者がEU市場から締め出される懸念が生まれた。
 これに対して米国は、法規制の導入による個人情報保護を提案するEUとは異なり、民間による自主規制を尊重する立場をとっており、法規制のあり方についても個別法によるセグメント方式を採用している。このため、米国政府はEUに働きかけ、1999年4月に個人情報の取り扱いについての保護基準を導入することで合意し、その具体的指針となるセーフ・ハーバー協定を結んだ。セーフ・ハーバー協定は、1)本人への通告(notice)、2)消費者の選択、3)第三者への情報の移転、4)本人のアクセス権、5)セキュリティ対策、6)データの一体性、7)法執行の7つの保護遵守指針(privacy principles)からなり、ここに示される条件を遵守する企業はEU指令のいう「適切な」個人情報保護を行っているものとみなされる。

(筆者注26)「 デジタル欧州戦略(digital Europe strategy)」についてReding 氏が2009年7月9日に“Lisbon Council” (ベルギーに設立された非営利団体(NPO))でスピーチしている。Reding 氏のスピーチはYoutubeでも確認できる。彼女なりのキャラクターがにじみ出たスピーチである。


〔参照URL〕
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/09/446&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
http://ec.europa.eu/research/fp7/index_en.cfm
http://ec.europa.eu/news/science/071113_1_en.htm


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